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ティアナ!~王太子に婚約破棄されたので、もうバカのふりはやめようと思います外伝~  作者: 狭山ひびき
2 誰がために宝石はある

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8/27

4 牽制と書いてマウントと読む

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「あの中から、よくこれを選んできましたね……」


 アクセサリーを選び終わったと報告すると、テイラーがわたくしが持って来たネックレスとイヤリングを見て目を丸くした。


 ……ふふふん、そうでしょうそうでしょう。普段のわたくしなら選ばない小粒な宝石だけど、これがかなりの価値があるものだって言うのは、アラン様に教えてもらったんだから!


 これはネックレスとイヤリングがセットになっているんだけど、どちらもブルーダイヤモンドが使われている。

 このブルーダイヤモンドだけど、別名「スモールウッド・ブルー」って別名がついているもの。世界中を探しても、これほど見事なブルーダイヤはなかなかないそうよ。


 スモールウッドというのは、このブルーダイヤを王家に献上した人の名前なんだって。

 スモールウッドさんが献上したブルーダイヤは、イヤリングとネックレス、それからティアラに加工された。ティアラはさすがにお茶会に身に付けられないから諦めたけど、ブルーダイヤの石言葉の中には「絆を深める」「幸福を願う」という意味があるから、歓迎会では最適だろう。

 もっと言えば、なんとこのスモールウッドさんだけど、嫁いでくる予定のフィラルーシュ国の侯爵令嬢とすっごく遠いけど一応親戚にあたるんだそうよ。


 ……ま、アラン様もさすがにそこまでは知らなかったんだけどね。


 アラン様と宝石を選んでいたらアラン様を探しに来たバックスさんに見つかって、結局彼も巻き込んで宝石選びをしたのよ。で、最終的にバックスさんの意見を取り入れつつこれを選んだの。


 ……あの丸い顔の弱々しそうなおじさん、意外と博識なのよね。


 さすがは元王太子だったアラン様の筆頭補佐官である。外見で中身を判断してはならない。

 そのバックスさんは、バーバラ様が選んでアラン様に付けたと聞いたことがあるわ。

 アラン様の性格をよく知っているバーバラ様が、最良の相手を探したんだって。


 サイラス殿下は自分で補佐官を選んだみたいだけど、アラン様はそのあたりとっても無頓着だから……。


 たぶんだけど、リッツバーグさんとアラン様は絶対似合わないし、他の人でも喧嘩になると思う。アラン様がストレスなくすごせて、なおかつ彼を支える人材としてはバックスさんより優れた人はいないでしょうね。


 ちなみに余談だけど、ジュール国王陛下が王太子時代に筆頭補佐官だったのは、イザック宰相だったそうよ。

 もともと幼馴染で仲が良かったみたいだけど、ジュール陛下がイザック宰相を指名したんだって。そのまま宰相にまで据えちゃったんだから、どれだけ気に入っているのかって話よ。

まあ、イザック様が有能なのは間違いないんだけど、あの方ってなんか常に苦労臭がするのよね。陛下に振り回されて大変そう。


「色の感じもオリヴィア様に似合うし、オリヴィア様は大きい石より小さい方が好きでしょ?」


 褒めてくれていいのよと胸を張ると、テイラーはあきれ顔をしたけれど、珍しく「考え付く中で最良だと思います」と褒めてくれた。

 オリヴィア様も読んでいた本から顔を上げて苦笑している。


「高価な石すぎてびっくりだけど、石言葉や背景を考えると、一番いいかもしれないわね」

「ふふふっ、これ以上のものなんてないでしょうから、牽制にもぴったりですからね」

「牽制?」


 オリヴィア様がきょとんと首をひねる。


「こっちの話です。それより、実際に付けてください! 宝石とドレスが合わなそうならドレスを変更しなくちゃ!」


 今回のメインはこのアクセサリーだ。ドレスではない。断じてない。というか何を言われようとわたくしはこのアクセサリーを下げないわよ。


「普通はドレスに合わせてアクセサリーを選ぶものですが、まあ、ティアナが言いたいことはわからなくもありません」


 テイラーはオリヴィア様至上主義なので、お茶会でオリヴィア様が最高に輝くためにはなんだってする女だ。

 茶会用のドレスを引っ張り出し、「お茶会はまだ先よ?」と困った顔をするオリヴィア様に着替えてもらう。


 ドレスは白を基調に淡いグリーンが入っているものだ。

 まだ残暑の厳しい日中に行われる茶会なので、会場はお城のティーサロンを使う。だから帽子は着用しない。

 テイラーが手早くオリヴィア様の髪をひとまとめにして、ネックレスとイヤリングを身に着けた。

当日はアップにした髪にプラチナの髪飾りをつけるけれど、今日はひとまず髪を上げるだけである。


「色合わせに違和感はございませんし、シンプルながらとても綺麗だと思います」

「靴をブルーダイヤの色に合わせたらもっとまとまりがよくなると思うわ」

「そうですね。では、ドレスとアクセサリーはこのまま、靴を変更しましょう」


 テイラーが忘れないようにメモを取り、オリヴィア様を着替えさせる。

 元の服に着替えたオリヴィア様が、再び本を開くのを見ながら、わたくしはぐっと拳を握った。


 ……ドレスとアクセサリーは決まったわ! じゃああとは、情報を集めて対策を練らなくちゃ!


 お茶会とは、女の闘い。


 わたくしは、フィラルーシュ国からやって来るという侯爵令嬢の情報を集めるべく、くるりと踵を返して部屋を飛び出した。





ブックマークや下の☆☆☆☆☆にて評価いただけると嬉しいですヾ(≧▽≦)ノ


次章「勝兵は先ず勝ちて而る後に戦いを求むる」は9/27~はじめます。

どうぞよろしくお願いいたします。

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