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ティアナ!~王太子に婚約破棄されたので、もうバカのふりはやめようと思います外伝~  作者: 狭山ひびき
2 誰がために宝石はある

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5/27

1 じゃんけんの意味は違う

二章「誰がために宝石はある」スタートします。

二章の時系列はノベル4巻エピローグ後となります。

ノベル5巻と6巻は来月、11月発売予定です。

どうぞよろしくお願いいたします。

 あー、わたくし、オリヴィア様の侍女になってよかった~!


 宝物庫から忽然と姿を消した呪われたスターサファイアの指輪事件が無事解決した夏のある日のこと。

 わたくしはオリヴィア様のお手伝いという素敵な大義名分のもと、(わたくしの)聖地である宝物庫に足を踏み入れた。


 顔見知りとなった宝物庫の扉番は「また来た!」みたいな顔をしたけれど、当たり前でしょ? わたくしはこの宝物庫の鍵の管理を任されているオリヴィア様の侍女なのよ! いい加減、わたくしが来るのに慣れてほしいわね!


 スターサファイアの指輪盗難事件ではわたくしも一時犯人に疑われたけれど、オリヴィア様の名推理で見事疑いが晴れたの。

 だからオリヴィア様の許可さえあれば、大手を振ってここに出入りできるのよ!


 ……はぁん! す・て・き……!


 かつてわたくしもたくさんの宝石を持っていたわ。

 お父様が失脚して罪人になるまでは、自分で買ったものやプレゼントしてもらったものを合わせると、百を超える宝石類を持っていたの!

 だけどわたくしの宝石たちは、お父様が失脚したときにぜーんぶ没収されちゃったのよね。


 お父様、なかなかな不正を働いていたみたいで、しかも他国にまで迷惑をかけちゃったから、我が家から没収された宝石や貴金属とかはフィラルーシュ国とレバノール国への賠償金の一部に使われたのよねえ。

 ま、労役地に宝石なんて持っていけなかったから、どうあってもわたくしの手元には残らなかったでしょうけど。


 無一文になったわたくしは、紆余曲折あってオリヴィア様の目に留まり(本当はちょっと違う)、こうして侍女に抜擢されたのよ!

 侍女になったおかげでお給料も出るし、オリヴィア様が着ないドレスとかももらえるし、お化粧品も分けてもらえるし、お菓子もたくさんもらえる。これがほかの令嬢の侍女ならこうはいかないけど、テイラーを見ていてわかる通り、オリヴィア様って侍女をとっても大切にするのよ。わたくし、とってもいいところの就職したわ!


 不満があるとすれば、オリヴィア様がおしゃれに無頓着なことかしらね。

 幼いころから最高の教育を受けて育ったオリヴィア様は、やろうと思えばできるのよ。だけど、進んでしないの。相手を不快にしない格好をしていればそれでいいって思っている節があるから。

 この宝物庫を任された時だって、オリヴィア様ったらキラキラと輝く宝石ではなくて、その宝石がここに納められた時の背景とか曰くとか歴史とか、そんなことばっかりに興味を示すんだもの、呆れちゃったわ。


 だからこそ、わたくしがしっかりしなくちゃ!

 オリヴィア様は王子妃になる予定で、このままいけば間違いなく王妃になるわ。

 王妃と言えば、国一番のおしゃれでなくてはならないのよ!


 ……と、言うことで、張り切っていくわよ~!


 わたくしには今、重大な任務があるの!

 来月の社交シーズンのはじまりにお城でパーティーが開かれるんだけど、そこにフィラルーシュから王女夫妻が来るのよね。

 王太子殿下は子供が生まれたばかりだから、今回は王女殿下とその夫である公爵が来るの。

 サイラス殿下の婚約者であるオリヴィア様は、当然そのパーティーに出席しなくてはならない。

 その時身に着ける宝石を、この宝物庫から選ぶようにってモノクルおじさん――じゃなくて、ワットール侍従長が言ったのよね。


 あ、そうそう、伝え忘れたけど、あのモノクルおじさん、侍従長に昇格したのよ。

 カヴェニック侍従長が退職されたからその関係で繰り上がったの。まあ、前々からサイラス殿下とオリヴィア様が結婚した暁にはモノクルおじさんが侍従長になるって話だったみたいだったけど、ちょっと早まったのよ。

 話は戻るけど、パーティーのために宝物庫からオリヴィア様が身に着ける宝石を選ばなくちゃいけなくて、わたくしはその大役を任されたのよ‼


「さぁって、パーティーまであと一か月しかないわ。端から順番に試着していかなくっちゃ~」


 わたくしはスキップしながら宝物庫の端の棚へ向かう。もちろん手鏡持参よ。実際に身に着けた時にどんなふうになるのか確かめて、オリヴィア様に最良の宝石を選ぶの!


 ……ふふふん、このあたりはまだ試着していなかったのよね~。


 はあ、楽しみ……じゃなくて、実に大変で重大な任務だわ! うふふ。

 わたくしはまず目についたイエローダイヤモンドのネックレスを手に取る。


「二十カラット以上はあるわね、これ」


 わたくしはネックレスをいそいそと身に着け、手鏡を掲げてポーズを取ってみる。うんうん、なかなかよ。いいわ~。


「ねえ、ちょっと~」


 これはぜひ第三者の意見も欲しいと、宝物庫の扉番を呼んだ。

 すると、扉の向こうで二人の扉番がじゃんけんをはじめる。


 ……うふふ、わたくしの素敵な姿を見たくてじゃんけんをしているのね~。


 最近、わたくしが呼ぶと扉番たちはじゃんけんをするようになったの。警備があるから二人同時に部屋の中に入れないからだと思うわ。


 しばらくして、扉番の一人がどことなくぐったりした顔で部屋に入って来る。

 どうやら、とっても白熱したじゃんけんだったみたいだわ。




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