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ティアナ!~王太子に婚約破棄されたので、もうバカのふりはやめようと思います外伝~  作者: 狭山ひびき
1 モノクルおじさんの弱点を探せ!

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3 モノクルおじさんは薔薇がお好き?

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 薔薇園にやって来たわたくしは、中に入ると、その入り口のあたりでせっせと薔薇の挿し木を行っていた庭師のおじいちゃんを見つけた。


「こんにちはー」

「うん? ああ、嬢ちゃんかい」


 白髭のおじいちゃん庭師は、好々爺然とした顔で笑いながら腰を叩きつつ立ち上がる。


「そんなにたくさんの挿し木をどうするの?」

「これはね、薔薇園の中に植えるものもあれば、王妃様のご友人に分けるもの、他国のお偉い様にお届けするものだねえ。あとは、ロナウド様がいくつか分けてほしいとおっしゃっていたから、それだよ」

「ロナウド様が? ……ということは、またなんか儲け話があるのね」

「そうかもしれないし、違うかもしれないがね。ロナウド様は品種改良した新しい薔薇をよく王家に献上くださるから、王妃様も外に出してはいけない品種以外の薔薇なら快くお渡しになるからねえ」


 なるほど、ロナウド様はそうして点数稼ぎをしているのね。


 ……あの方、本当に抜け目がないわ。


 常に金儲けに傾いているロナウドの思考回路は、わたくしには到底理解できない。

 というか、別に理解したくもない。

 もちろんお金は好きだけど、そのためにあくせくと汗水たらして、ついでに頭もフル回転させて仕事に励むなんてわたくしには到底無理よ!


 その点、オリヴィア様の側はいいわ。

 オリヴィア様は口うるさくないし(テイラーはうるさいけど)、美味しいお菓子はあるし、綺麗で可愛いものもたくさんあるし、わたくしの向き不向きを考えて仕事を振ってくれるから、苦手なことはあんまりしなくていい。


 うんうん、オリヴィア様って人を使うのがとってもうまいわ!


 その点ロナウド様は好き嫌いとか関係なく、一切の容赦なく仕事を振りそうだから、あの方の下では働きたくない。平気で実力以上のものを求めてきそうだもの。冗談じゃないわ。

 まあ、働きは充分評価してそれに見合うお給金は払ってくれるみたいだけど、ロナウド様に関わるのは、たまのお小遣い稼ぎくらいがちょうどいいのよね。


 ロナウド様は女性の流行調査で、たまーにわたくしに意見を聞きに来るの。

 その意見がロナウド様のお眼鏡にかなうものだったら、お小遣いをくれるのよ。そう言うところはいい人だなって思う。


 おっと! ロナウド様はどうでもいいのよ! 今はモノクルおじさんの弱みを探らなくちゃ!


「おじいちゃん、ここにモノクルをかけた気難しそうなおじさんが来ない?」

「ワットール侍従次官様だね。そう言えば最近よく来るね」

「何をしに来るの?」

「うん? 何って……別に何もないよ? ただ薔薇園を見学して帰っていくだけだねえ」

「それだけ?」


 ちぇっ、無駄足だったわ!

 薔薇の一つでも手折ってくれれば、勝手に薔薇を手折ったっていう弱みを握れたのに!


 というのも、ここの薔薇って、許可なく手折っちゃダメらしいのよ。

 前に薔薇を取ろうとして怒られたのよね。王妃様の許可がなければだめだって。


 ……まあ、そのうちここの管理責任者もオリヴィア様になるでしょうから、そうなれば薔薇の一本や二本手折ったところで厳しく言われたりしなくなるでしょうけど!


 少なくとも、オリヴィア様の侍女ということでわたくしは目こぼしされるはずよ。

 別に薔薇がとびきり好きってわけじゃないけど、見ていたらほしくなるじゃない?

 薔薇ジャムに使う品種の薔薇は、たまに、剪定で出た花とかをもらったりするんだけど、剪定で出たもの以外は勝手に切ったらダメなのよね~。


 ちなみにその薔薇はキッチンメイドのおばちゃんに横流ししてる。そうしたら出来上がった薔薇ジャムを分けてもらえるの。紅茶に入れたら美味しいのよ。オリヴィア様も好きみたい。


「ワットール侍従次官って、薔薇が好きなの?」

「嫌いではないだろうが、こんなに頻繁に来られることは今までにはなかったねえ。そう言えば、香りの強い品種の薔薇の前でよく足を止めて見ているよ」

「香りの強い薔薇ねえ」


 その手の薔薇は、部屋に飾る以外に、お風呂に浮かべたりする。

 わたくしも、薔薇の花びらを浮かべたお風呂は大好きなの。ゴージャスな感じがするから! ま、今はそんな無駄遣いはできないから、オリヴィア様の元に届けられたもので、余っているものとかをもらって使うだけだけどね。


 おじさんキラーのオリヴィア様は、貰い物がとっても多いのよ。

 金品や宝石なんかは、オリヴィア様はやんわりと断って受け取らないんだけど、お菓子とかバス用品とか、賄賂にあたらない程度のものは好意として受け取っているのよね。断りすぎると角が立つから。

 だけど、そういうものを贈ってくれた方の、本人や家族の誕生日とか何かあるときに、花やお菓子にカードを添えてお返ししたりもしている。とってもマメよね。オリヴィア様って。プレゼントをくれた方の名前と何をくれたのかを、全部記録しているのよ。お返しのために。

 忙しい時でも、お返しについては必ずオリヴィア様が最終確認をするの。

 購入はテイラーやわたくしに任せてくれるけど、ちゃんと自分の目で確認して、それから直筆のカードを添えるのよ。あんなの絶対真似できないわ。ただでさえ忙しい人なのに、せっかくの余暇をそんなことに使うなんて、わたくしには無理だもの!


 だからなのか、オリヴィア様って同年代の女の子のお友達はとっても少ないのに、年上のご婦人方にはとっても人気があるの。もちろんおじさんたちにもね!

 オリヴィア様自身も、同年代の女の子たちとおしゃべりするより、年上の方を相手にする方が楽みたい。

 たぶんだけど、同年代の「わーっ」っていう若いエネルギーに、オリヴィア様はついて行けないのよ。昔から年上の人たちに囲まれていた弊害だと思うわ。


 ……モノクルおじさんの目的はよくわかんないけど、たいした用事じゃなさそうね。


 そしてそろそろオリヴィア様の部屋に帰らないと、テイラーが怒るわ。


「おじいちゃんありがとう、もう行くね」

「それなら、そこの剪定で出た薔薇をいくつか持ってお行き。そっちが香りの強いもので、そっちがあまり香りのしない品種だが、さっき選定したばかりでまだ綺麗だからね」

「ありがとう! じゃ、遠慮なく」


 オリヴィア様の部屋にでも運んでおけば、テイラーが適当にどうにかするでしょ。


 わたくしは庭師のおじいちゃんからもらった薔薇の籠を抱えて、オリヴィア様の部屋に戻ることにした。





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