「わぉん!」
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「それで、デイビス様はアラン殿下のワンちゃんたちの臨時お世話係に任命された、ってことでいいんですかぁ~?」
オリヴィア様から休憩をもらったわたくしは、アラン様の愛犬たちが暮らす離宮を訪れて、そこで大型犬に潜りつかれている一人の男性を発見した。
いったい何事だろうかと思っていたら、アラン殿下がいらっしゃって、ファレル公爵家のデイビス様にアニマルセラピーとか言うのほを施すため、しばらくここで生活させることにしたという。
対外的には、アラン様のワンちゃんたちの臨時のお世話係ってことらしい。
「でもあれ、思いっきり襲われてません? アニマルセラピーとか言うので癒される前に、動物恐怖症になりませんか?」
「うーん……」
アラン様の愛犬たちに潜りつかれたデイビス様は、自身の頭をかばいながら「ひーんっ」と泣きべそをかいている。
わたくしは持参してきたジャーキーを取り出した。これはお城のキッチンからもらってきたものだ。
「ほら、みんなおいでー」
わたくしが呼びかけると、わおんっと鳴いてアラン様の愛犬たちが尻尾を振りながら走って来る。大きいから最初はびっくりしたけど、しつけも行き届いているいい子たちなのよ。……本当は。だからどうしてデイビス様がおもちゃにされているのか謎なんだけどね。
ワンちゃんたちにジャーキーを配りながら、わたくしは犬のよだれまみれにされて、ぼろぼろになっているデイビス様を見た。
ジャーキーを食べ終えたワンちゃんたちはまたデイビス様の元まで走っていって、わんわんきゅんきゅん鳴きながらデイビス様をおもちゃにしはじめた。構ってほしいんだと思うけど、デイビス様はそれどころではない様子ね。
「動物には好かれるようなんだが、本人が臆病すぎてどうしようもないな」
「もっと小さな動物から鳴らしたほうがよかったんじゃないですか?」
「うん? 私の鷹とかか?」
「余計に怖がるからそれはやめたほうがいいですよ」
鷹と犬なら犬の方がましである。アラン様の鷹はアラン様には懐いているけれど、そうじゃない相手には容赦なくかみつてくるのだ。爪も鋭い。
「そうは言うが、うちの犬たちはみんな大型犬だぞ。小型犬も中型犬も可愛いんだが、何故かみんな大型犬をくれるんだ」
「アラン様が大型犬を飼っているから大型犬をくれるんですよ。というかあの中に小型犬が混ざっていたら踏みつぶされないか心配になります」
だって、一番大きなワンちゃんはアラン様の身長ほどもあるのよ。その中にチワワとかが混ざっていたら絵面的にどうかと思うわ。みんないい子たちだけど、だから安心かって言えばそうじゃないのよ。興奮してうっかり踏んづけるかもしれないでしょ?
「じゃあ、とりあえず一匹だけから試してあげたらどうですか?」
さすがに大型犬八匹に潜りつかれるのは可哀そうだわ。さっきから「ひーっ」とか「わーんっ」とか悲鳴が上がっているもの。舐められて飛び掛かられて引っ張られて……うーん、悲惨。
アラン様がやれやれと息を吐いた。そして、短く言う。
「ステイ!」
ぴた、と八匹の大型犬が動きを止めてその場にお座りをした。この子たち、アラン様の言うことには絶対に従うのよね。
「いい子だ。おいで」
アラン様がその場にしゃがんで呼びかけると、八匹の犬たちはいっせいに走って来る。
アラン様にわしゃわしゃと順番に撫でられてとっても嬉しそう。
大型犬から解放されたデイビス様はぐったりとその場にうつぶせに倒れたまま動かない。まるで屍って感じ。
アラン様は八匹のワンちゃんをぐるりと見渡して、ホワイトと呼ばれるまだ生後一年に満たない子に視線を止めた。
「よし、ホワイトにするか。ホワイト、デイビスと仲良くするんだぞ」
どうやら、ホワイトだけをデイビス様に付けるらしい。
ホワイトは真っ白くてふわふわした尻尾をぶんぶんと揺らしながら「わぉんっ」と元気よく返事をした。
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