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ティアナ!~王太子に婚約破棄されたので、もうバカのふりはやめようと思います外伝~  作者: 狭山ひびき
1 モノクルおじさんの弱点を探せ!

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2 ぎゃふん計画

お気に入り登録ありがとうございます(*^^*)

 ……あのモノクルおじさん、一度ぎゃふんと言わせてやりたいわね。


 散々計算問題を解かされたわたくしは、ぐったりしながら廊下を歩いていた。

 もう一日分の労力を使った気分だわ。

 お菓子を食べてお昼寝したいところだけど、三十分ほど休憩したらオリヴィア様の部屋に行かなくちゃ、テイラーがうるさいのよね。


 テイラーってばほーんとくっそ真面目で、ちょっとでも仕事をさぼろうとすると目を三角に吊り上げて怒るのよ。

 だけど、テイラーからオリヴィア様のティータイムに関する仕事を分捕ろ……いえ、引き継ごうとしているわたくしとしては、あんまりテイラーに逆らうわけにはいかない。


 不真面目だって言われてお仕事を取り上げられたらたまったものじゃないもの!

 だって、ティータイムよティータイム!

 ティータイムの準備を任せてもらえるってことは、ティータイムに出すお菓子の発注も任せてもらえるってことなのよ!

 つまりー、わたくしが好きなお菓子をオリヴィア様のお金で購入できるってことよ!

 オリヴィア様は優しいから、ティータイムに買ったお菓子をお裾分けしてくれるの。好きなお菓子をオリヴィア様のお金で買って食べられるなんて最高じゃないの!


 だから、ティータイムの仕事は早めにテイラーから分捕りたいのよね~。

 あと、オリヴィア様を着飾るのって楽しいから、ドレスとかの発注もしたいし、お化粧も任せてもらいたい!

 そのためには、テイラーの中のわたくしの評価を上げておく必要があるわけで……、仕方ないから、三十分後はおとなしくオリヴィア様の部屋に戻ろうっと。


 ……って、それはいいとして! モノクルおじさんよ、おじさん‼


 こーんなにぐったりするまでわたくしに計算問題をさせるなんて、あんまりだと思わない?

 これは、報復が必要よ!

 ええ、ぎゃふんと言わせてやらないと!


 ……三十分もあれば、多少の聞き込みはできるわね。


 わたくしは、善は急げと、モノクルおじさんをぎゃふんと言わせるために、彼の弱みを探して回ることにした。






「ワットール様について? そうだねえ……」


 わたくしがまず向かったのは、お城のキッチンである。


 ……だって、ちょっと小腹がすいたんだもの。喉も乾いたし。


 キッチンメイドのおばちゃんたちとはすっかり仲良くなっていて、わたくしがふら~っと顔を出すと、陛下たちにお出ししたデザートとかの余り物とかをお裾分けしてくれるの。

 あんまり香りのしない薄くて味もいまいちな紅茶と(たぶん出がらしねこれ!)、それから余り物のとびきり美味しいロールケーキの切れ端をもらったわたくしは、それをもぐもぐしながら頷いた。


 このキッチンメイドのおばちゃんは、お城に務めて二十年と長い。

 お城に務めていたらそれなりに情報が入るものなので、きっとモノクルおじさんの恥ずかしい過去の一つや二つ知っているはずよ!

 わたくしも、まだ伯爵令嬢だったときには、メイドたちを買収していろんな情報を手に入れたものよ。

 不思議なのは、このおばちゃんは金品で釣らなくても、結構何でも教えてくれるってことなのよね。


 ……人って、お金や物で釣るのが一番動いてくれるって思っていたんだけど、例外もいるみたい。


 これは、伯爵令嬢だった時には気づけなかったことよ。

 オリヴィア様には金品で釣らなくても協力してくれる人がたくさんいる。それを人徳って呼ぶんだろうけど、わたくしにはそんなものはこれっぽっちも備わっていない。だけどこのおばちゃんは、わたくしにいろいろ教えてくれるの。きっとおばちゃんの方に人徳というものが備わっているのね。


「ワットール様と言えば、最近やたらと肩がこるってぼやいていたねえ。そのせいで頭痛もするんだとか」

「肩こりと頭痛に因果関係があるの?」

「それがね、あるみたいなんだよ。あたしはよくわからないけど、医学に詳しい人に聞いたら教えてくれるんじゃないかい?」


 いや、別に肩こりと頭痛の因果関係なんてわたくしこれっぽっちも興味ないわ。

 オリヴィア様あたりなら詳しそうだけど、肩こりと頭痛がモノクルおじさんの弱みになるとは思えないし。


「ほかには?」

「ほかにかい? そうだねえ……ああ、そう言えば、ご子息の婚約者選びに頭を抱えていたよ。結婚に興味がない息子で、いまだにいい人がいないとかなんとか。お嬢ちゃん、顔が広そうだし誰か紹介してあげなよ」

「紹介もなにも、わたくしモノクル……ワットール侍従次官の息子の顔なんて知らないわ」

「そうかい? あたしもちらりと見ただけだし、何年も前だからはっきりとは覚えていないけど、なかなかの美男子だったよ。ワットール様を二十歳くらい若返らせた感じでねえ」


 おばちゃんはそう言ってポッと頬を染めた。どうやらおばちゃんは、あのモノクルおじさんの顔が好みらしい。


 ……あんな気難しそうなおじさんとか、嫌だし!


 それにわたくしは理想が高いから、モノクルおじさんを若返らせた程度のイケメンなんて、およびじゃないわ!

 でも、ちょっぴり気になったらから訊いてみる。


「それはアラン殿下とどっちがイケメンなの、おばちゃん」

「そりゃあ殿下に決まっているよ! あんなとびっきりの美丈夫と一緒にされたら世の中の男性は泣いちゃうよ?」


 まあそれもそうね。

 とはいえ、わたくし、あのレベルのイケメンを数人知っているからね~。

 サイラス殿下はもとより、ロナウド様だって負けず劣らずって感じだし、オリヴィア様の従弟もかなり顔立ちが整っているし。

 ま、その中でもアラン殿下が一番だろうけど!


「息子はどうでもいいから、他にないの?」

「他、他ねえ……。ああ、そういえば、ここ一、二週間くらい前から、ワットール様が暇さえあれば薔薇園に足を運んでいると聞いたことがあるよ」


 どうもおばちゃんの情報の中にはモノクルおじさんの弱みになりそうなものはなさそうね。

 とはいえ、何の手掛かりもないことだし、わたくしはひとまず薔薇園に向かうことにした。


「おばちゃん、ロールケーキごちそうさま! また来るね~」


 おばちゃんは「はいよ」と笑ってから、そして首を傾げた。


「……あの子、侍女だよね? なんでいっつもキッチンに来るんだろうねえ」


 それはそこにとびきり美味しいお菓子があるからよ、おばちゃん。





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