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ティアナ!~王太子に婚約破棄されたので、もうバカのふりはやめようと思います外伝~  作者: 狭山ひびき
3 勝兵は先ず勝ちて而る後に戦いを求むる

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9 大丈夫よ、オリヴィア様がついているもの!

お気に入り登録、評価などありがとうございます!

 オスマンタスのお茶についてテイラーからも許可が下りた。

 オリヴィア様もいい香りがすると言って喜んでいたし、どうやらオスマンタスには美容に嬉しい効能とかもあるみたいだから女性のお茶会にはうってつけみたいだし、本当、おじいちゃん庭師はいいことを教えてくれたわ。


 今日はお茶会の前日。

 わたくしは当然、王妃様の侍女の休憩室でモニカと作戦会議よ。


「アイリッシュ・ルドマン侯爵令嬢について何かわかった?」

「少しだけね。あの方、滅多に外出しないのよ。だからあんまり情報は得られなかったんだけど、今のところ、無口で物静かな方って印象よ。あんまり喋らないの。常に隣にいる侍女が代弁して、本人は侍女にこそこそと耳打ちするだけよ」

「何それ。わたくしは高貴な生まれだから下賤のものとは口をききませんのオホホホって感じ」


 気に入らないわ。たまにそういう勘違い女がいるのよね。


「いや、単純にブリオール国の言葉がわからないだけかもしれないじゃない」

「嫁ぎ先の言葉くらい先に勉強しておきなさいよ」

「いやいや、言語の習得って難しいからね?」

「オリヴィア様は複数の言語が喋れるわよ」

「あの方は特別よ。普通は無理だから」


 まあね。わたくしもオリヴィア様と同じことをしろって言われたら困っちゃうけど。

 でもさー、結婚しようって言うのに、結婚相手との会話に全部通訳挟むの? なんかそれって離婚まっしぐらって感じじゃない。せめて少しくらい努力すべきだわ。郷に入っては郷に従えって言うでしょ。


 ……とはいえ、わたくしがもしアイリッシュ様と同じ立場だったら努力しない気がするから、大声では言えないけど。


「わたくし決めたわ。結婚相手は絶対にブリオール国内の人にする」

「なんでいきなり決意表明してるのよ。あと、ティアナはたぶん王妃様が他国には出さないだろうから、結婚できたとしても国内の男性限定よ」


 あんたいろいろ難しい立場だからね~ってモニカが言う。

 まあ、難しい立場なのは認めるわ。元囚人で、レネーン・エバンスをぶっ潰すときに、クローレ商会って武器商人集団を敵にまわしちゃったし、身の安全には気をつけないといけないのよね。


「わかんないじゃない、もしかしたら他国からわたくしと結婚するためにブリオール国に移住するイケメンが現れるかもしれないわ」

「なんでイケメン限定なの。あと、なんでそんなに自信満々なの」

「わたくし、顔のいい男が好きなの。あとお金持ちで地位がある人ね」

「知ってる」


 モニカはネタ帳を広げて続けた。


「ええっと、アイリッシュ・ルドマン侯爵令嬢の代弁係をしている侍女は、オーフェリアって言う名前よ。年齢は二十四歳。黒髪に黒い瞳で、眼鏡をかけているわ」

「がり勉タイプね」

「ティアナは眼鏡に悪意があるの?」


 悪意はないけど、ほら、サイラス殿下のところの補佐官のリッツバーグは眼鏡をかけてるじゃない。リッツバーグはがり勉タイプっぽいもの。


「通訳係なら、お茶会にオーフェリアって女も来るのかしら?」

「その可能性が高いわね」

「アイリッシュ様が嫁ぐことが確定したら、そのがり勉眼鏡もついてくるのかしら」

「がり勉眼鏡はやめてあげなさいよ。でも、そうね、ついてくると思うわ。他国から高位貴族が嫁いでくる場合侍女を連れてくることが多いし、代弁を任せるほど信頼しているのなら離さないでしょ」

「そうよね。でもわたくし、がり勉タイプは苦手なのよね。がり勉眼鏡の攻略はテイラーに任せようっと」

「だから、がり勉眼鏡はやめなさいってば。本人の前でうっかり口にしたら大変でしょ?」

「しないわよ、そんな迂闊なこと」

「ワットール様にモノクルおじさんって言ったって聞いたわよ」


 さすがモニカ、情報通だわ。

 つい、と視線を逸らすとモニカがやれやれとため息をつく。


「ともかく、通訳がくっついてくるのなら、アイリッシュ様を攻略するにはがり勉……じゃなくて、オーフェリアごと攻略する必要がありそうね。二人まとめてオリヴィア様のすごさをわからせて下僕にするにはどうしたらいいかしら?」

「待ちなさい。いつの間に計画に下僕の二文字が増えたの?」

「最初からよ」

「そんなの言ってなかったでしょ」


 あら、モニカってば何を言っているのかしら? 最初からオリヴィア様に舐めた真似できないようにわからせるって言ったじゃないの。つまりはそれはオリヴィア様の下僕にするってことよ。おんなじ意味でしょ。


「ちょっとティアナ、相手はフィラルーシュ国の王族とも血縁関係がある侯爵令嬢よ。下手なことをしたら国交問題に発展するから、ほどほどにしなさいよ。わかった?」


 モニカは大袈裟ね。ただ単に、この国の女社会の序列を認識させるだけじゃないの。

 でも、確かにやりすぎるとテイラーからお小言を食らいそうね。最初だし、手加減くらいはしてやるか。


「ところでモニカ、がり勉についてほかに情報ないわけ?」

「とうとう眼鏡まで取っ払ったわね。じゃなくて! だから、がり勉はやめなさい!」


 本当にぼろが出ても知らないわよってモニカが言うけど、大丈夫よ。もしぼろが出ても、多分きっと、オリヴィア様が華麗にフォローしてくれるわ!





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次章は「無口令嬢は敵か味方か」です。

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