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〈静寂の魔女〉〜天才は極度の人見知り〜  作者: クロ
第一章 エリンツィア学園潜入編
4/7

ピギャぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?(悲鳴)

下書きに保存されていたもの。作ったことを忘れてました…すみません!

「ん…」


目が覚めると、そこには高い天井が広がっていた。


「ここ、は。」


見知らぬ場所だ。見知らぬ香りだ。聞き覚えのある声だ。

声…?


「あら、目覚めたようよ。お久しぶりね、ニア?」


「あ、あ、あなたは。な、なな、ななんでここに!?」


「あらあ?あなたが倒れたと星が言ったからみんなで駆けつけて来たのだけれど。」

目の前にいたのは、綺麗な女の人。

そしてわたしが焦っているのは、彼女が<七賢人>が一人、<星読みの巫女>シルビア・メイデンだからだ。

そして、彼女を含め、わたしを囲む四人の人。

「セイ、久しぶりだね。<七賢人の儀>以来かな?」

<自然の神>に認められた<風樹の使者>エバリット・ガーデン。肩まである緑がかった髪を揺らす、わたしより二つ年上の人。

七賢人の中で一番常識が身についている人だ。

「お、お久しぶりです…リト…」

「うん。調子はどう?森で採れた果物を持ってきたんだけど。食べれるかな?」

確かに、彼が手荷物カバンには大量の果実が入っていた。さすが、森育ち。

実は、わたしが住んでいた山小屋を用意してくれたのは彼なのだ。わたしの家は殆どが七賢人の力で作られている。場所と恵みは<風樹の使者>、リトが。建築は、<創成の魔術師>ルイス様が。家具などの設計は<星読みの巫女>、シル様と<生きる図書館>クローディア様が。<冥界の使者>ハディス様は…うん。<慈悲の巫女>レティシアちゃんはみんなの癒し係としてそこにいた。

「ありがとう、ございます…い、いただきます…」

大量の果実の中から林檎を一つ受け取り、ペコリと頭を下げる。

「いいんだよ。ねえ、クロ。なんか、体にいい料理、知らない?」

「…りんごを剥けば良いじゃない。簡単なことよ。」

壁際に立っていた黒髪の美少女、もとい、<知恵の女神>に認められた<生きる図書館>、クローディア様が答える。

リトと同い年ながら、その頭に入っている知識量は凄まじく、なんでも答えられる。

彼女はツカツカとこちらに歩いてくると、わたしの手から林檎を取り魔法で出した包丁で器用に剥いていく。

「はい。食べなさい。」

「あ、ありがとう、ございます。」

ずい、と差し出された林檎を受け取る。口に入れると、しゃき、とした食感と共に溢れんばかりの果汁が漏れ出す。果汁で溺れそう…

「あの、クロ?それ、僕が採ってきたんだけど?」

「良いじゃない。剥いたのはわたくしよ?」

「無茶苦茶だよう…」

なんだかんだ言ってこの二人は仲がいい。社交界では婚約するのではないかと言われているそう。(ルイス様情報)

「あも、そえで、あなははちはいっふぁい何をしにきふぁんでひょうか…?」

「飲み込んでからしゃべりなさい。あなた、それでも本当に社交界に出る令嬢なの?」

シルが呆れたような目線を送ってくる。

しかし、私は引きこもりだ。そんな、社交界とか、舞踏会とか、卒倒ものである。考えただけで吐き気が…

「そうだったわ…あなた、引きこもりね…」

「はい…」

シルが珍しく表情を歪めた。普段の笑顔が抜け落ちて、無表情になっている。怖い…

「セイ様、大丈夫?早くよくなるように、お祈りしておくね。」

「あ、あり、ありりがと」

小さな女の子。

彼女がベットの横で手を組んでお祈りてくれている。

この子は<慈悲の巫女>レティシア・アディロンド。

彼女には12歳年上の婚約者様がいて、とても幸せそうだ。

小さなただの女の子に見えるけれど、彼女はいわゆる『転生者』らしく、中身は立派な大人だそうだ。

そんな世の理から少しはみ出た彼女はその容姿も飛び抜けて美しい。まさに、天女。

大きな青色の瞳。小さな赤い唇。絹のような触り心地の長い水色の髪。

彼女の婚約者様は、一度しか見たことがないけれど、見事な金髪と、レティシアの髪と同じ水色の瞳だった気がする。

キラキラしていて、本当に人かと思ったけれど、(容姿面で)1秒見たらすぐ目を逸らしたので実際の顔は朧げだ。

なんでも、この国の王弟らしい。

任務に役立つ情報を持っているといいのだけれど…

人と会うのは苦手だ。レティシアとか、何回もあっている人ならまだマシだ。フラフラするけど、意識を失うことはない。

レティシアがしばらく祈っていると光の粒が天から降ってきた。

その光に触れると体が軽くなる。この光は癒しの魔力の塊で、触れると体が回復するのだ。

「あ。ああああの…わたしの質問に、答えて、いただけますか…」

「ああ。そうだったわね。ここにきた理由は、貴女のお見舞いもあるけれど、重要なことを伝えにきたのよ。」

「重要、なこと。」

シル様から紡がれた言葉を復唱する。

「そう。あなた、第二王子の護衛をしているんだってね。しかも、秘密裏に。」

「はい。」

「その第二王子、死にかけるわよ。」

「…!?!?」

平然とした顔で、わたしの命に関わることを言わないでほしい。

狙われてる…?誰に。第二王子はどこにいる?守らなきゃ。そうじゃないとルイス様に殺される…!

「だ、だだだ誰に!?」

「知らないわ。それを突き止めるのがあなたの仕事でしょう?仕事を邪魔しちゃいけないもの。」

「そんなぁ…」

シルがニコッと笑う。絶対、楽しんでる。

ベッドの上でヘナヘナと落胆するわたしの横から笑い声が聞こえた。

ゆるゆると顔を挙げると、壁の方に背を向けてわたしの頭を撫でる黒いローブを被った人物がいた。

その方は地味に震えている。

「ハディ様…笑い事じゃないんです!下手したらわたし死ぬんです!ルイス様に殺されちゃうんです!」

彼は<冥界の使者>ハディス・アルレロス。黒髪の好青年でアメジスト色の瞳を持つ好青年だ。

「くくく…ごめんごめん。まあ、どんまいだね、セイ。」

「うう…」

四人に囲まれて私は嘆き続けた。

しばらくして。最近起きたことを四人が話していると、ハディ様が動きを止めた。

「おや。誰か来るね。じゃあ、僕はこれで失礼するよ。バレると厄介だからね。」

「え…?」

それは、つまり、バレると都合が悪いということだ。

「そ、そうね。私も失礼するわ。ニア。」

ちょっと焦ってるシル。

「シルビア様…?」

「じゃあね〜うまく誤魔化しといて〜」

ひらひらと手を振るリト。

「リト…?」

「「…」」

レティシアとクローディア様は黙っている。

「ちょ、ちょっと待って。そういえばみなさん、どうやって学園に。ここは部外者の出入りは禁止だったはず…」

「「「「まあね…」」」」

全員がふい、と目線を逸らした。

「れ、れ、れ、レティシア…これは一体…ま、まさか…」

一番信用、というか、正直に答えてくれるレティシアに聞く。

「え、っとですね。はい、ご想像通りかと。」

「…!!!!!!!!」

声にならない悲鳴をあげる。それと同時にブワッと涙が溢れた。

「ななんで…もっとやりようがあるでしょう…し、し、侵入だなんて…なんでもっと穏便に…」

「「「「ごめん…」」」」

みるみるうちに布団の色が涙で変色していく。

ずび、と鼻を啜って顔を上げると、そこには誰もいなかった。

「ひどいでふ…あんまりです…私、もう帰りたい…うわああああああああん!!」


その声を聞きつけたクラスの保健委員。驚いたのだろう。ドアを開けて部屋に入ってきた。

しかし、その時の私には人と接触するなんて逆効果。

「ピギャぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?」

「キャァァァァァァァァァ!?!?」

人の姿を見た私は奇声を上げて、その声に驚いて入ってきた子は悲鳴をあげて腰を抜かし、私は再び気絶するというとんでもないことを成し遂げた。

留学初日。こうして私の学園生活が幕を上げた。

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