あの子と生きる必須条件
「今日も生き抜いた」
私はそれだけで胸がいっぱいになる程満足をしている。今日を生き抜けば明日も生きれる。さも当然すぎることだが、それはとてもすごいことだと思う。
これは私なりの人生論の一つだ。だからこそ私は安堵のため息を着く。
ここからは私の時間。それを理解し、私は声を出した。
「ねぇーねぇー聞こえる?今日もお話ししよ〜」
「うん。いいよ。今日はどんなことを話そうか?」
私の言葉に反応を返してくれたのは最近仲良くしてくれている子である。
いわゆるこの子は高嶺の花と言われる存在なのだろう。そんな彼が私ともちゃんと喋ってくれる。これを見ている人がいるのなら問いたい。こんなに幸せなことがあるのだろうか?
彼にその気がないとしても、私からの一方通行だったとしても、この時間だけは事実で、幸せに満ちていた。
今思えば、この生活に幸せがなかったことなんてないのかもしれない。彼と話すようになってから過ぎゆく人ですらも輝き美しく見えてしまう。「恋は盲目」意味合いは少し違うかもしれないが、ニュアンスとしては似ているのかな?私にはあまりよくわからない文化でもあったのでそんなところだ。
「それでねそれでね」
彼はいかなる時でも会話を続けてくれた。
こんな時間は永遠に続いて欲しい。だから私は明日も生き残らなければならない。
私の亡き同僚の想いも込めて。
彼らが今この世界にいないのに、私は生きていていいのだろうか?私だけこんなに幸せになっていいのだろうか?でも、、でも仕方がないだろう。私は奇跡に高い確率で生き残った。周りがほぼ死んだと言うのに私は生き残った。これは私に残された不幸中の幸い。その中から幸せを見つけてきただけなのだ。彼らも許してくれるだろう。
でも、やっぱり怖い。彼らが許してくれても本当にいいのかと思ってしまう。それに、いた私が彼らと同じ道を辿ってもおかしくないのだ。それがあまりにも怖い。この時間が崩れてしまうその瞬間を考えるだけで身体の震えが止まらなくなる。
「大丈夫?調子悪い?」
私の微かな震えに気がついたのか、彼がそう声をかけてくれた。優しい限りだ。
「うん。大丈夫だよ。心配してくれてありがと」
「本当〜?震えてるように感じたけどそうでもないの?」
一目瞭然だったのかもしれない。でもバレてなかったのなら良かった。私はそのまま誤魔化すことにした。
「かぜのせいかな〜ちょっと寒いし」
「そうだね〜季節もそろそろ冬か〜」
「そうだね、、」
その言葉はとても寂しかった。
それでも会話は続けたいし、この時間は幸せなので私はその日話を続けた。
そして次の日が来た。今日も生き残ろう。そう思う。
今日の夜はどんな話をしようかな〜とそれを考えるだけで時間は溶けるように過ぎ去っていった。
「これきれー」
「そうだね〜」
親子だろうか?そんな声が聞こえる。あぁ〜きっとこの子も幸せな道をこれから辿るのだろう。本当に本当に全てが美しいな。
そしてその時間はきた。
「聞こえる?今日はなんだかいつもより楽しかったな」
私はいつものように声をかけたのだが、それに応答する声はなかった。
嫌な予感がした。
「ねぇ、聞こえないの?嘘」
そこでよぎるあの時の声。
「………きれい?」
その時私は悟ってしまった。
私のような雑草は踏み潰され、狩られることでしか死ぬ可能性はない。
でも彼のような高嶺の花。いや、綺麗な花はその美しさゆえ、抜かれてしまうのだ。
これで、彼は死んだ。それをわかってしまった。
私たちのような植物は自由に生きることすらままならない




