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23話

 


「さあ魔王、約束したんだからちゃんといいものをくれよ。その為に俺は自分の特殊魔法を見せてやったんだからな」


 オレンジ色の髪のをした背の低い若者が元気よく言った。


「もちろんだ、お前たちが見たことのないものを用意しよう」


「楽しみだぜ。なあショウタ、モートン、お前たちも楽しみだろ?」


 笑顔で振り返ってみたが、そこにはギャンブルで有り金を全部スッた顔をしている友達がいた。


「どうしたんだよお前ら」


「どうしたんだじゃないよ!もう終わりだよ!エイトが自分の特殊魔法を魔王にばらしたってことが大人に知られたらどうなると思ってるんだよ、きっと僕らは終わりだよ、死刑だよ!」


 丸顔の若者が涙の大声を上げた。今まで魔王の前で一言もしゃべっていなかったモートンだが、ここに来て感情が爆発していた。


「何大げさなこと言ってんだよ、死刑になんかなるわけないだろ?」


「モートンの言う通りだ!誰が敵に自分の能力をペラペラしゃべる奴がいるんだよ。そんなことしたら罰せられて当然だ!全部エイトが悪い!前から思ってたけどやっぱりエイトは馬鹿野郎だ!」


 眼鏡をかけた細身の若者も叫ぶ。


「ちょ、ちょっと待てよどうしたんだよお前ら」


「どうしたんだよ、じゃない!この馬鹿野郎!」


「大丈夫、大丈夫だからふたりとも落ち着けって!」


「触るな!」


 なだめようとしたエイトの手を振り払うモートン。


「わかった、触らないから落ち着けって」


「喧嘩ならどこかよそでやってくれないか」


「そんな冷たいこと言うなよ、こうなってるのはお前のせいでもあるんだぞ魔王」


「まだ分かんないのかよ!全部お前が悪いんだよ!」


「痛った!」


 ショウタの肩パンが炸裂した。


「そうだ!全部エイトが悪い!」


「痛った!」


 モートンの肩パンが炸裂した。


「全部お前が悪いぞ」


「痛っっった!!」


 虎丸の肩パンが炸裂した。


「おい魔王!ふたりに肩パンされるのはまだわかるけど、なんでお前までやって来るんだよ!しかもめっちゃくちゃ痛てえよ!」


「ノリで」


「何がノリだよ!魔王なんだから人間みたいなことすんなよ」


 肩をさすりながらいうエイト。


「魔王と遊ぶな!」


 肩パン。


「全部エイトのせいだ!」


 肩パン。


「俺が悪かったからもう止めてくれ、このままじゃ肩が無くなっちまうよ。ごめん、本当にごめん!俺が悪かったよ、頼むから許してくれよ。な、ショウタ、モートン、ごめん!」


 跪いて頭を下げるエイト。


「魔王城で絶交か………」


 腕組みをしながらニヤニヤしている虎丸。


「………」


 無言で魔王を見つめるエイトの視線には助けてくれ、というメッセージが込められている。


「それでは約束の物を出してやるからこれで仲直りするんだな」


 魔王虎丸が指を鳴らすと、人間くらいの大きさがあるアメコミ風のカエルが床からゆっくりと姿を現した。


「は!」


「ひ!」


「ふ!」


 エイト、ショウタ、モートン、が驚きの声をあげたが、カエルはそれに少しも関心を示さずに、ゆっくりとその大きな口を開いた。


 そして勢いよく伸ばしたピンク色の舌の上には、ファストフードでお馴染みの物が乗っていた。


 おぼんの上に薄い紙で包まれたチーズバーガー、赤い紙の箱に入ったフライドポテト、Wのマークが入った白い縦長のコーラ。


 それは世界中でお馴染みのチーズバーガーのセット。


 独特な香ばしい香りが混乱している3人の若者たちの鼻腔をくすぐる。たとえ一度も食べたことが無くてもこのセットには人を引き付ける力がある。


 いつの間にか諍いが止まり、吸い寄せられるように集まって来る。


「さあ、これは魔王が召喚した見たこともない食い物なわけだが、お前らにはこれを食うだけの勇気があるかな?」


 魔王が挑発的に言った。





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