3話
耕之助「うん、少し生焼けだけど美味しいな」
火を作り、絶やさないようにする。
その間、鍼で自分の治療もする。
この世界では治療効果が高いのは数秒鍼を刺しているだけで症状が緩和する。
耕之助「円皮鍼でもあったら少し動くのが楽になるんだけどなぁ…」
当分の目当てを円皮鍼作成することにした耕之助。
耕之助「鍼は製作できるけど、シールが問題だなぁ…」
木と水しかない。火が大きくなったのを見て、少し移動範囲を広げる。
と言っても心配性なのでそこまで遠くには行けない。
火がついているのを確認できる範囲で探す。
木の実や茸があるんだけど…
耕之助「これって食べられるのかなぁ…」
見たことあるように見えるが、世界が違ければ全く別のものかもしれない。
茸と木の実を採取しているのに集中し過ぎて火が消えていることにやっと気がついた。
耕之助「あ…やっちゃ…?」何かが動いているように見える。
耕之助は声を殺す。大きさは自分と同じくらい。
木を念じ、動きを止める。
「んぎゃー!」女の子?みたいな声が聞こえる。
耕之助「君は誰?」四肢を吊るされた女の子?に聞く。
「ごめんなさいー!離してー!」
耕之助は解除する。
「…あれ?本当に解放された?」キョトンとした顔でこちらを見つめる。
耕之助「ごめんね。何者かわからなかったから少し拘束させてもらったんだけど、女の子にするようなことじゃなかった
ね」と女の子に謝る。
「え…あの…その…」
耕之助「それで君は…獣人?」
「獣人?私の名前はリル」しっかりとした耳と尻尾が目に入る。
耕之助「リルはこの辺に詳しいの?」
リル「私はこの森に捨てられたの…」耳と尻尾がしゅんと下がる。
耕之助「捨てられたって…何か悪いことでもしたの?」
リル「穀潰しだって言われて…」
耕之助「そうなんだ…」
リル「あなたは誰?」
耕之助「僕は耕之助って言うんだけど多分珍しい名前かな?」
リル「コーノスケ?」
耕之助「うん、コーノスケ」