28話
耕之助「他の人いるかな?」
「…」
無言で泣き始めた。
それが物語るのは一つのこと。
耕之助「ご飯一緒に食べよう?」
―
余程お腹が空いていたのか、無言で食べ始める。
耕之助「少し周りを見てくる。リル、この子お願いしてもいいかな」
リル「わかった!少し変な匂いするから気をつけてね!」
耕之助「変な匂い…?わかった。気をつけるよ」
―
悲惨な光景を目の当たりにする。
波止場、高めの壁が設置されていたにも関わらず、波に飲まれた…。
壁の近くであった一軒だけが残ったみたいだ。
この一軒以外何も見当たらない。
本当に1人だけ取り残されたのだろう。
壁から飛び降り、リルたちの元へ歩いていく。
どうやら女の子と仲良くなったのか、辿々しくではあるが、リルと会話をしているようだ。
―
お腹がいっぱいになったようで、リルが家の中で寝かしつけてくれている。
―
耕之助「何かわかった?」
リル「お友達も親も全部流されちゃったって」
耕之助「やっぱりそうか…」
リル「みんな船に乗ったり、遊んだりしてたんだって。たまたま調子が悪くて家で眠っていたらこんなことになっちゃったって…」
耕之助「…寂しかっただろうな」
リル「どうするの?」
耕之助「どうするも何も…少し、ここに居よう」
リル「そうだね…あとこの変な匂いも気になるし」
耕之助「ああ、そのことなんだけど…見ない方がいいと思うよ」
リル「何かわかったの?」
耕之助「ああ…あれは見ない方がいいと思うよ」
―
目を瞑り、手を合わせる。
人間が腐り果てた匂いを初めて嗅いだんだろう。見るに耐えなかった。




