18話
リル「何もないね…」
耕之助「そうだね…この辺りにはないみたいだ。もう少し食料が調達できたらあそこも出立しようか」
リル「そうだね…」
耕之助「どうかした?」
リル「…ちゃんとした村ってあるのかなって」
耕之助「どうだろうね…」
リル「このままここで過ごすわけにはいかないの?」
耕之助「リルは自分の村はもういいの?」
リル「耕之助がいるところだったら…どこでもいいよ」
耕之助「それじゃもう少しだけ僕の旅に付き合ってくれないか?」
リル「…わかった」
お腹の鳴る音が聞こえる。
リル「お腹空いたね」
耕之助「戻ろうか」
リル「うん!」
―
耕之助「うん、見つかったね犯人」
リル「妖精族?」
「妖精族のシークです…」
耕之助「一人?」
シーク「はい…」
耕之助「あの量を一人で…?」
シーク「いえ…里に持ち帰ってみんなで…」
耕之助「あの量を二日で…相当だね」
シーク「今までは村があって手を取り合って助け合っていたんです。狩りなどはできていても調理ができなか
った。なのでその…」
耕之助「なるほどね…それで味見をして食べられるかどうか調べたのね」
シーク「こんなに辛いものがあるなんて…」
耕之助「ごめんね、犯人がわからなかったから」
シーク「いえ…盗み食いをしていたのは私なので…」
耕之助「でも、なんで果実を取らなかったの?」
シーク「皮が剥けないのです…」
耕之助「あー…皮剥けなくてもこれなら食べられるんだけど」
シーク「え?でも前の人たちは剥いてくれていたから」
耕之助「過保護が裏目に出ちゃったのか…」