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演劇、声劇用台本集  作者: E縞パンだ
3/4

強盗

 上映時間十分程度


 男3 女1(女1は一言だけの出番の為、男性が兼ね役する事で三人台本にする事も可能です)


 登場人物

 男1

 男2

 男3

 女



 男1部屋でくつろいでる


 男2窓から音もなく入場


 男1スマホ弄ってて気付かない


 男2部屋の物色を始める


 物音に気付きチラッと強盗をみて視線をスマホに戻し思わず二度見する男1



 1「え、誰!?」


 2「あ、こんばんは、すいませんお邪魔しますねー」


 1「は? ちょっと待ていつ入った!」


 2「貴重品はちゃんと鍵をかけて仕舞った方がいいですよー」


 1「はぁ!? いや、え!? だから誰だよお前!」


 2「強盗です」


 1「あぁ、なんだ強盗か…って強盗!?」


 2「はい、ですから強盗です」


 1「なんでそんなに堂々としてるんだよ……」


 2「強盗ですから(爽やかスマイル)」


 1「そっか、強盗だもんな……」


 2「ええ、それでは私は仕事に戻らせてもらいますね」


 男2再び物色をし始める


 1「頑張って下さいー……って違う!!」


 2「なんですかもう、うるさいなぁ」


 1「なんですかじゃねえよ! 人の家の物勝手に持っていくんじゃねえよ!」


 2「それが強盗ってものでしょう?」


 1「そうだけど、そうじゃないの! 犯罪! 犯罪だから!」


 2「人というものは罪深い生き物です。生まれてから死ぬまで罪を犯し続ける愚かな咎人。この様に些末な出来事は罪ですらありません。アクシデンツ、そうほんの些細なアクシデンツです」


 1「おう、あ、おう?」


 2「では粗方金目の物は頂いたので、私はこれで」


 1「いや、ちょっと待てお前!」


 2「それにしてもここまで財産のない人は初めてですよ、これを機にもっと真剣に貯蓄をすることをお勧めします。このままじゃ老後が大変ですよ」


 1「大きなお世話だバカヤロー!」


 2「それでは」


 男2窓から退場


 1「あ! 待て! ……ちくしょー、逃げられた。顔覚えられたかな……?俺もそろそろ帰るか……」


 男3入場


 見つめ合う二人


 男1おもむろに立ち上がり、自然な動作で窓から出ようとする


 男3それに気付き指差しながら


 3「誰だお前!」


 1「え、うーん。さっきまでは空き巣だったんだけど今は何だろ、強盗かな?」


 3「ご、強盗だと!? と、取り敢えず捕まえて……いやでもそれだと」


 1「待って待って! もう行くから! 危ないことはしないから!」


 3「危ないとかそういうことじゃねえだろ!」


 1「いや、ほんとほんともうでていくから落ち着いて」


 3「嘘つけぇ! どうせ俺のことそうやって殺すんだろ! いつもそうだ、皆俺のこと騙しやがって、俺はもう騙されねぇぞ! そうだ、そうだよ、お前が俺のこと殺そうってんなら俺がお前のことを殺してやるぅ!」


 男3カバンから刃物を取りだし構える


 1「ええ!? ちょ、おい、なんだどうした! 情緒が不安定すぎるだろ! なんで刃物なんか持ち歩いてんだよ、銃刀法違反だぞ!」


 3「お前がいうなぁ!」


 1「いや、確かに俺も不法侵入してるけどそれとこれとは別じゃん? ダメだって人に危害加えるようなのはさぁ」


 3「お前も人の財布に危害加えてんだろうがぁ!」


 1「まぁ、そういう見方も出来るよね」


 3「お前絶対殺す」


 1「まぁまぁ、落ち着いて。一回深呼吸して、ほら吸ってー、吐いてー、吸ってー、吐いてー、吸ってー、吸ってー、吸ってー…………吸ってー」


 3「殺す気かぁ!!!! 吐かせろ! 息を吐かせろぉ! 落ち着かねぇよ、何にも落ち着かねぇよ! 心臓ばくばくだよ!」


 1「生きてる証拠です」


 3「お前絶対に許さねえからな」


 1「うーん、どんどんヒートアップしちゃってるなぁ」


 3「お前のせいだろうがぁ!」


 ドアが叩かれる


 2「ちょっとー、今何時だと思ってるんですかー

 うるさいですよー」


 3「あぁ!? うるさいだとこのやろう! お前も殺してやるぅ!」


 1「今あんまり刺激しない方がいいんで逃げてくださーい!」


 男3ドアを開ける


 男2が立っている


 2「あ、2度目まして」


 1「お前さっきの! なんでいるんだよ!」


 2「家、隣ですから」


 1「隣の家に強盗入ったの!? お前の神経どうなってんだよ!」


 2「それで、この方は?」


 1「え、この部屋の人じゃねえの?」


 2「違いますよ、この部屋に住んでるのは女性です。というか貴方彼氏さんとかじゃなかったんですか?」


 1「いや違うよ、俺はただの空き巣だよ、今は強盗だけど」


 2「なんだじゃあ仲間じゃないですか」


 1「嫌な仲間だなぁ」


 2「で、結局この人は? なんかさっきからプルプル震えてますけど、どうしたんですか?」


 3「どうしたんですかじゃねえよ!!!! 人を間に挟んでピーチクパーチクピーチクパーチク!!!! お前ら二人とも殺したらぁ!!!!」


 1「うぉっ! あぶな!」


 男2に切りかかる男3

 すんでの所で避け、男3切りかかった勢いのまま外へ

 その間に男2は部屋の中へ入りドアを閉める


 ドアをガンガン叩く男3

「開けろー!」「このやろー!」「殺してやるぅ!」等叫び散らす


 2「ふぅー、間一髪でしたね」


 1「すげーよ! お前まじすげえよ! ありがとう! 助かった!」


 2「はっはっは、それほどでもありますね」 


 1「ちょっといらっとしたけど今は許そう! うん! 命の恩人だから!」


 2「取り敢えずチェーンも掛けてと……。一先ずは安心ですね」


 1「そうだなぁ」


 2「しかしこれからどうしましょう、彼が諦めるの待ってる間に家主が帰ってきたら僕らもお縄ですよ。というか彼は誰なんです?」


 1「さぁ? 俺もてっきり家主だと思ってたけど違うみたいだし、それこそ彼氏とか?」


 2「あぁー、ですかねー。でもなんで包丁なんて持ってるんです?」


 1「あぁ、そう! あいついきなりカバンからあれだして興奮しちゃってさ、まじ怖かった」


 2「痴情の縺れとかですかね? 怖いなぁー」


 1「なぁー、嫌なのに巻き込まれちまったなぁ」


 会話の間に外の声が段々と小さくなっていき、嗚咽が混ざり始める。完全に涙声になり、嗚咽混じりに中に向かって喋りだす男3


 3「悪かったぁ……俺が悪かったから俺も入れてくれよぉ……なんにもしないからぁ……」


 2「なんか言ってますよ、怖いなぁ」


 1「あぁいうのは絶対に聞いちゃダメだぞ」


 3「俺も強盗なんだよぉ……お前らと一緒なんだよぉ……ちょっと興奮しちゃっただけなんだよぉ……許してくれよぉ……」


 1,2「「えーー」」


 1「まさかの」


 2「まさかですね」


 1「お仲間かぁ……」


 2「どうします? 入れて上げます?」


 1「いや、刃物振り回す人はちょっと……」


 2「私もご遠慮願いたいですねぇ」


 1「どうする、取り敢えずあいつこのままにして窓から逃げるか?」


 2「いえ、無理です私の部屋もう窓閉めちゃったんで入れません」


 1「飛び降りればいいだろ」


 2「何言ってるんですか、ここ十階ですよ?」


 1「そういえばそうだった」


 2「貴方どうやって逃げるつもりだったんですか」


 1「入ってから初めてそこに気が付いてさぁ、もうしょうがねえやって家主帰ってくるの待ってた。そしたらお前が入ってきたんだよ」


 2「なんと計画性のない……」


 1「隣の家に盗みに入るような奴に言われたかねぇよ!」


 2「まぁ、それは置いといて。ほんとどうしましょうね」


 1「うーん、正直あいつも仲間に引き込んじゃってさっさととんずらこくのが一番無難だよな」


 2「そうですねぇ、引き込めるかどうかはともかく」


 1「まぁ、悩んでても仕方ないし、やってみますか」


 2「えぇ、そうしましょう」


 二人ドアの方へ行き男3に向かって声をかける


 1「おーい、聞こえるかー?」


 3「なんだよぉ……」


 1「今包丁持ってるか?」


 3「持ってるよ……」


 1「じゃあそれ捨ててくれ、遠くに、おもいっきり」


 3「なんでだよぉ……」


 1「危ないからだよ! それ捨ててくれれば中にいれてやる。どうだ?」


 3「わかったよ、捨てればいいんだろ……」


 男3舞台袖へ包丁を投げる


 3「おい、捨てたぞ! 俺もいれてくれぇ……」


 1「本当に捨てたのか?」


 3「本当に捨てたよ……」


 1「証拠を見せろ!」


 3「証拠も何も捨てたんだからあるわけないだろう……」


 1「それもそうか、じゃあお前のこと信用して開けるからな? まじで頼むぞ! よし、せーの」


 そこには泣き腫らし何も持っていない男3の姿があった


 1「よし、本当に捨てたみたいだな入っていいぞ」


 3「ありがとう……」


 部屋中央のテーブルを囲む三人


 1「で、お前は誰なんだ?」


 3「俺は、向いのマンションに住んでる者だ」


 1「お前もかよ! どいつもこいつもなんでそんな近場を狙うんだよ! 足ついちゃうだろ!」


 3「え、お前らもここら辺に住んでるのか?」


 2「はい、隣です」


 3「隣!? もうちょっと考えろよ!」


 2「いや、貴方には言われたくないです」


 3「う、それもそうか、すまん。で、あんたは?」


 1「へ? お、俺はどこだっていいだろ? 俺は風来坊、そう俺は根無し草の風来坊さ!」


 2,3「「ホームレスかー」」


 1「ちがわい!! 家はちゃんとあるわ! 居候だけど!」


 3「あぁー、そういう」


 2「納得です」


 1「あれ、なんだろう体がポカポカしてきた。殴っていい?」


 拳を固める男1


 2「まぁまぁ、平和的に平和的に」


 1「なーんか府に落ちねぇなぁ……!」


 2「まぁ、それはいいとして。どうします? こうして同じ部屋に強盗に入ったのも何かの縁ですし飲みにでも行きます?」


 1「お、いいなぁ! 行こうぜ!」


 3「それは、俺も行っていいんだろうか?」


 2「勿論ですよ! なんではぶる必要があるんですか」


 3「ほんとか!? ありがとう、ありがとう……!」


 2「そんなに感謝されるような事でもないと思うんですが……」


 1「まぁ、人にはいろいろあるからな! 気にせず飲みにいこうぜ!」


 2「どこ行きます? 近いしとりき?」


 1「あー、昨日鳥食ったんだよなー。魚がいい」


 2「じゃあ磯丸にしますか」


 1「賛成ー」


 3「大丈夫だ」


 2「それじゃ……」


 その時ドアがガチャリと開き女性が入ってくる


 寛ぐ三人を見て言葉を失うが気を取り直し叫ぶ


 女「あ、貴方たち誰ですか!!」


 三人顔を見合せ笑いあい、女性に向かって同時に


 1,2,3「強盗です(爽やかスマイル)」



 暗転

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