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アリス、自然科学を教える

盗賊から金品を奪いとったアリスはネレイ共に野宿する

「アリス様は本当にお強いのですね」


陽が傾き始めたので、俺たちは旅人達が休憩ポイントにしている大樹の下で野営の準備をしていた。


ネレイに焚き火を起こしてもらい、盗賊から巻き上げた魚の干物を炙って二人で食べる。


「ネレイはなんで一人であんなとこにいたの?」

俺より背は大きいとは言え、まだ15.6歳ぐらいだろう


前髪で隠された瞳が揺れたのが見えた。

「あ、仲間達に置き…はぐれてしまって…」


ふーん、仲間に置きざりにされた訳か。



「わ、私は…錬金術を学ぶ神学者ですけど…神の魔法に疑問を感じていて…それで他の方と意見が合わなくて…」

学者とは孤立するものだ。同情する気は無いが…

気になる単語があった。


「神の魔法?」


「はい、例えば…雨は神の魔法によってもたらされています」


「ふむ、続けて」


頷くネレイ。

「でも魔法を使うにはマナが必要なんです。雨を降らすマナを神は一体どこから集めているのか?こんな広域に雨を降らせたらマナは枯渇します」


焚き火に薪をくべながら、ポツポツと話すネレイ。


「雨は水が熱で気化して水蒸気となり上空に登る。

そして上空で冷やされた水蒸気は水分となり雨になって落ちてくる」


と現代日本の小学生の理科程度の知識を言ってみる。


動きが止まるネレイ。

1分経っても動かない…

「おい、ネレイ?」

瞬きもしない…てか、呼吸止まってないかい!?


慌てて肩を揺さぶる

「はっ!…い、今…私…世界の真理に…触れた!?」

わなわなと震えるネレイ。


そうか魔法文明の世界だからな。こういう自然現象すら魔法で起きていると思ってしまうわけか。


肩下げ鞄から羊皮紙を取り出し、今の俺の言葉を寸分違わずメモるネレイ。


「なるほど、そう考えれば水たまりの水が消える理由もわかりますね…」

ぶつぶつ独り言を言うネレイ。


「ア、アリス様は今の知識をどこで?」

「俺の国では一般常識だ」


ガーン!と言う文字が背中に見えるほどの衝撃をネレイは受けたようだ。


「ぜ、ぜひアリス様のお国に連れて行ってくださいませんか?」

ドアップで俺に迫るネレイ。


「残念ながら馬に乗っても船に乗ってもたどり着けないところにあるんだ」


「それは…滅んだと言う…事でしょうか?」

「ま、そんなとこかな」

と、言うことにしておこう。


実際、俺の研究で開発したAI技術や完成直前まで漕ぎ着けた縮退炉エンジン、それの副産物の亜空間収納ボックスを使って、今ごろ大陸が世界に向かって戦争を仕掛けているかも知れないし、縮退炉エンジンの起動に失敗して地球ごとブラックホールに呑み込まれているかも知れん。


「も、申し訳ありません!!辛い事をお聞きしてしまって…」


「気にすんなって!」

ケラケラ笑う俺。


「あ、ありがとうございます」

「さぁ、クソして寝ようぜ!!」


「は、はい」

顔を真っ赤にするネレイ。


「見張りは俺がするから大丈夫だ」

うさ耳センサーの有効範囲は平坦な地上なら半径3キロメートルだ。


「い、いえ…今夜は眠れそうにありません。私が見張りします」

俺の言葉をメモった羊皮紙を何度も読み返すネレイ。


「そっか、眠くなったら寝ても平気だからな」

一心不乱にメモを読むネレイ。あれじゃ真後ろで盗賊がコサックダンスをしても気がつかないだろうw


そうだな…ネレイに少し現代科学を教えてみるか…

もしかして、俺の有能な助手になるかも知れんしな…


俺はセンサー以外をスリープモードにし、アリステルのボディに自己診断プログラムを流しながら眠りについた。

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