ネレイvs殲III
◇◇◇◇◇
ネレイ視点
[さて、ネレイ君…と言ったかな?]
「なんですか?」
私は杖を構え、箱脳みそから倒れた先生を庇うように立ち塞がる。
[どうだね?私の助手にならないか?君は魔法にも科学にも通じているようだしね]
「お断りします。先生を早く解放しなさい!」
10枚のファンネルが箱脳みそを取り囲む。
[ふむ。交渉決裂か…残念だよ]
「行け!ファンネッ!!!あ!!」
突然、私の足元に空洞が広がる!!
落下する。
落下する私を庇うように集まるファンネル。
スタッ!
20メートルほど落下したが、ファンネルの支えで無事着地できた。
「暗い…」
[ネレイ、囲まれました]
私のサポートAIのアイさんが囁く。
私はライトの魔法を発動する。
「殲IIIか…」
ライトに照らし出された30体のアリステル[改]強行型 殲IIIが私を囲む。
しかも殲IIIは、メイド服ではなく水色のドレスに白いエプロンを付けた先生お馴染みの服を着ていた。
「C国の出来損ないが先生の格好をするなんて…冒涜です!!」
救いは、先生の最大のトレードマーク「うさ耳」がない事だ。
それ以外は全く先生と瓜二つで、他人の目では区別が付けられないだろう。
ブンッ!
殲IIIの音速を超えるパンチが私を襲う。
キュイン!
特殊複合装甲を模して強化した防御シールドがそれを弾く。
弾かれバランスを崩す殲III。
シュッ!
ファンネルから射出されたレーザーが殲IIIの首を切断する。
J型じゃなければ対応できる!
先生とのVR戦闘訓練の成果がここで出てくる。
数を頼って攻めてくる殲III。
先生のように360度全周警戒は出来ない。
「アイさん!背中の防御は任せます」
[了解、お任せされます]
基本、殲IIIの攻撃パターンはパンチのみだ。
シュッ!
殲IIIの音速パンチ!
当たれば即死。
その死のパンチを、手のひらに集中させた魔力シールドで受け流す。
そして
「ハッ!」
ジッ!
魔力生成した小指の先ほどの鉄球を磁力の力で撃ち出す。
2024m/sの速度で撃ち出される鉄球。
対先生用に、とあるアニメをヒントに私が開発した魔法「超電磁砲だ!」
そのレールガンを顔面に受けた殲IIIは、一瞬で顔の中心に小さな穴が開き、機能を停止する。
バシュ!バシュ!!
背後から襲ってくる殲IIIはアイさんのファンネルで撃退。
「あと残り7体!」
私が10体。アイさんが13体撃破した。
[残り2体]
私が13体。アイさんが15体撃破。
「これで最後」
ジッ!
シュッ!
私とアイさんが最後の一撃を放つ…
倒れた殲IIIの残骸を確認する…31体
「1体…多い」
その瞬間!
残骸の中から31体目の殲IIIが飛び出してくる!!
私はその31体目の攻撃を冷静にシールドを展開し…
[危険!]
アイさんのファンネル10枚が私の正面で重なり合い盾となる。
パキッ!
31体目の殲IIIの攻撃を受け、ファンネル9枚がまるでポテチのように簡単に砕ける。
そして最後の一枚。
10枚目の砕け散るファンネルの破片がスローモーションで見えた。
[ネレイ!防御シールド全開!!]
アイさんの言葉に反射的に全魔力をシールドに注ぐ。
パキン
簡単に砕ける私の魔力シールド…
「…うさ耳?」
31体目の殲IIIの頭にはうさ耳が付いていた。
スローモーションで私の腹部に突き刺さる、うさ耳付きの殲IIIのパンチ。
「ガハッ!」
え!?私の口から赤い水が大量に吹き出した。
内臓と膀胱が破裂した。
口から血反吐を吐き、尿道から真っ赤な尿を撒き散らしながら私は背後の壁まで吹き飛ばされ、叩きつけられた。
「カフーカフー」
声が出ない。
[救急処置します。喋らないで]
アイさんの声が遠くに聞こえる…
「出来損ないとは言え、儂の殲IIIをここまで破壊できるとは…かなりの強者だな」
私を殴ったのは先生だった…
いや、違う…先生ならこんな不意打ちはしない。
正々堂々舐めプしてくるはずだ…まさか!?
「ふふ、察しが良いようだな。そう私は有栖川だ」
カフーカフー…
肺も損傷しているようだ。身体が全く動こない
「少し手加減したつもりだったが…やり過ぎたか…どうだ?助手になれば助けてやるぞ?」
「だ…れ…が……なる…もの…か……」
最後の力を振り絞ってそれだけを言って、私は力尽き…た。
◇◇◇◇◇
有栖川視点
時間はネレイが地下に落ち、少しした頃…
[さて、この身体返して貰うぞ]
機能停止したアリステルの機体を巨大な試験管に入れるJ型。
C国にこの箱脳みそに改造された時は悲観したが、今となっては感謝している。
何故ならば、ほぼ無限の命を手に入れられたから。
さらに…
儂の指示でスイッチを押すJ型。
試験管に電流が流れ、目を醒ますアリステル。
そして…
パリン!!
巨大な試験管を破るアリステル。
「こうやって意識を移植できるからな」
儂は、儂の本体である箱脳みそからアリステルの機体に儂の意識と五感をフルダイブさせる。
これで本体は別にありながらアリステルと完全一体化し操作できるようになったのだ。
「ほほう…あの娘…やるじゃないか」
地下で殲IIIと戦闘するネレイの姿を巨大なモニターで確認する。
「ふむ。儂の計算では殲IIIの敗北率が100%だな」
やはり…殺すには惜しい人材だ。
儂は、地下に降りる。
だが、地下で直接ネレイの戦闘を見て儂は驚愕した。
「な、なんだ!?あの魔法は…まるでレールガンじゃないか!?」
破壊された殲IIIの状態を見て、その威力を計算する。
何という事だろう。
あの魔法は儂を…このアリステルを破壊できる威力がある!!
少し痛めつけて言う事を聞かせるつもりだっだが…舐めてかかると返り討ちに遭う…
儂はネレイの不意を突くことにした。
儂はネレイの隙を見て、倒れた殲IIIの残骸の下に潜り込む。
儂の計算通り、殲IIIは壊滅した。
30体目が倒れた瞬間!
儂は最速のスピードで飛び出しネレイの腹に向かって拳を叩き込む!!
その際、儂の拳がファンネルとか言う板10枚と肉眼でも確認できるほどの強力な魔法シールドを簡単に砕き、ネレイの腹に深々とめり込む。
血反吐と尿を撒き散らし吹き飛ぶネレイ。
アリステルの機体は儂の想定を超える出来だったようだ。
「少し手加減したつもりだったが…やり過ぎたか…どうだ?助手になれば助けてやるぞ?」
儂はネレイに最後通牒を突きつける
「だ…れ…が……なる…もの…か……」
「そうか…では苦しいだろう?トドメを刺して…その必要はないようだな…」
アリステルのセンサーがネレイの死を確認した。




