錬金術士
ストームブリンガーを馘になったアリスは王都を目指す
「さぁて…行くかぁー」
無事、タブレットの出産を終えた俺は宿屋を出で王都を目指す。
最初は馬車で行くつもりだったが、赤の他人とぎゅうぎゅう詰めの馬車に乗せられるのはゴメンだ。
という事で徒歩で王都に続くあぜ道をテクテク2時間ほど歩く。
「うーーん、そろそろ戦闘イベントないかなぁー」
と思っていると…
[前方2015mの森の中から救援を求める声を確認]
「キターーー!!」
俺は全力ダッシュする。
1分で到着。
「誰か!誰か助け…もごぉ!!」
ガラの悪い男達五人とそれらに抑え込まれ、口の中に布を押し込まれている少女がいた。
ヒロピンいいね〜。
女学生かな?よく分からないけど魔法学園の生徒ぽい服装だ。
「はい、そこまで」
まぁ、処女を奪われる前なら少女の貞操を守ってあげよう。
ちなみにもし少女が犯されている最中なら最後まで鑑賞してから助けるつもりだった。
「なんだ!!テメェ…って子供?」
「なんでガキが?」
当然現れた幼女に戸惑う男達。
「こいつら悪人か?」
俺は少女に問いかける。
コクコク頷く少女。
「おーけー、ほらお前ら今なら見逃してやるから金目の物を置いて帰れ」
俺と敵対してないなら殺す必要はない。
なにせ、俺は正義の味方ではないからな。
男達に向かって犬を追い払うようにシッシッと手を振る。
「この野郎…子供でも容赦しねーぞ!犯っちまえ!!」
「「「「おう!!」」」」
こいつら背中のドラゴン殺しが見えないのかね…
向かってきた子分四人をドラゴン殺しの腹の部分で一気に薙ぎ払う。
「グエッ!」
「うごっ!!」
「ブヘッ!!」
「あべしっ!」
奇声をあげ、弾き飛ばされ木々に叩きつけられ気絶する男達。
「な、なんだ!?ま、魔法か!!」
一瞬で仲間を失った男は青ざめ戦意喪失した。
「おら、アジトはどこだ!!貯め込んだ金あるんだろ?」
俺の中で、盗賊は金とアイテムをドロップするボーナスモンスターの扱いだ。
男の顔面にアイアンクローをかます。
「ひぎゃあ!いてぇぇぇぇ!!!言う!お金なら差し上げますから命だけは、た、助けてください!!」
「おら、さっさっと案内しな」
男を放り投げる。
「ひ、ひいっ!」
這いつくばる男のケツを蹴ってると、さっき犯されかけていた少女がおずおずと話しかけてきた。
「あ、あの…け、剣士さ…ま?私も着いて行っていいでしょうか?」
「ん?」
「奪われた魔法書を取り戻したいのです」
前髪で目元が完全に隠れている。
根暗な小動物系美少女と言った感じだ。
「うん、いいよー」
可愛い子ちゃんとなら仲良くしないとな。
怖がらせないように幼女モードで接する俺。
「は、はいぃっ」
怯えてしまった。幼女偽装プログラムは解除しない方が良かったかな…ま、アフターフィスティバルだ。仕方ない。
◇◇◇◇
「も、もうこれで全部ですぅ…」
盗賊のアジトの洞穴の中に留守番が二人だほどいたが、そいつらもボコってやった。
「ジャンプしてみろ!」
俺は盗賊達に命令する。
「は、はいぃっ!」
チャリ、チャリーン。
「まだあるじゃねーか!」
盗賊のポケットに入っていた小銭を奪い取る。
「あ、あった!!」
宝箱から奪われた魔法書を見つけ抱きしめる少女。
「ありがとございます!わ、私はネレイ・サージと…言います。王都の錬金術士です。」
「俺はアリステル・レステル。冒険者だ。アリスと呼んでくれ」
「ア、アリス様はこれからど、どちらへ?」
「ん、とりあえず王都かな」
「あ、あの良かったら私も同行して良いでしょうか…護衛料も払いますから…」
錬金術士か…鍋でグツグツ煮込んで物を創り出すのだろうか?
実に興味深い。
このネレイと友誼を結んでも損はないだろう。
「うん、いいよー!護衛料は要らないし」
一瞬だけ嬉しそうな表情を見せるネレイ。
こうしてネレイと俺のふたり旅が始まったのだ。
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