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エルフ

◇◇◇◇◇

ランバード王国アルフレア姫視点


「日本人…ですか?」

「あぁ、そうだ。」


異世界だと思っていたこの世界は、遥か未来の地球だった可能性があるのだ。


もし、本当に未来の地球なら、俺の研究施設が残っている可能性がある。


そして日本にある俺の兵器研究施設が残っていれば、俺専用の兵装が手に入る可能性もある。


俺はアルフレアに日本人の特徴を伝える。

ここが未来の地球なら、日本人の血を受け継ぐ種族がいるかも知れないと思ったからだ。


「八百万の神を信仰していて、それでいて神を信じず、そのくせ他教徒の神を祝ったりもする民族…節操ない民族ですね」


「心辺りないか?」


俺の問いに、しばし考え込むアルフレア。

「一番、それに近いのはエルフ…でしょうか?」


エルフ!?

え、見たい!!!


「黒髪黒目じゃありませんが、平均身長は低めで

集団行動が得意。自然や万物に神が宿ると言う宗教観を持つが別に戒律はない。やはりこのエルフ族が一番、日本人に近いかと思います」


日本人うんぬんを除いてもエルフに会いたい!


「よし、エルフに会いに行くぞ!!」

古代魔導人形に幻滅し、意気消沈していた俺はエルフと言う単語で元気を取り戻した。


エルフかぁ…デ◯ート◯ットが理想だけど、フ◯

ー◯ンも悪くない。あ、でもポテトフライ食べまくるデブエルフはちょっとがっかりかなぁ…


まだ見ぬエルフに想いを馳せる俺。


「…どうやって行くつもりですか?」

「遠いの?」

「船で約1ヶ月。航海中に嵐やシーモンスターに襲われ、無事たどり着けるのは30隻中15隻前後と言われてます。」


ほほう…シーモンスター。

それは楽しそうだ。


「まぁ、この世界の船でならそうかも知れないが…」


俺はアイテム売買スキルを覗く。

…あった。

イージス艦。価格4000億円也。

「姫、これ買って!」


俺は自衛隊のDVDを購入し、姫にイージス艦の紹介動画を見せる。


「なっ…まさに洋上の要塞…たしかに、これ一隻で海の守りは万全になりますが…予算が…王にこのDVDを見せても?」


俺は姫にイージス艦の素晴らしさをプレゼンする。

元男として、戦う乗り物は魂を熱くさせられるのだ。


なお、維持費等は一度俺のアイテムボックスに仕舞えば無料で新品状態に整備される仕組みのようだ。

さすが天界のアイテムスキルと言わざるを得ない


しばらくして、アルフレア姫の兄である国王と財務大臣、海軍大将を交えての会議が開かれた。


「こ、これはまさに無敵の戦艦…」

対地ミサイルに度肝を抜かれる国王達。


「海の守りだけではなく、陸地の城落としすらできるぞ!!」


「それにクラーケンの討伐も簡単にできる…」

「しかもアリステル殿がいる限り、維持費がかからないとあらば、20年かからずに元が取れますぞ!」


国王達も男。

この兵器ロマンに魅せられる。


特に海軍大将が乗り気だ。

まぁエルフ探索が終えた後、このイージス艦は王国海軍の所属艦になるわけだし、自分の旗艦として乗り込むつもりなのだろう。


本当は俺の所有艦にしたかったけど、金を出すのは王国だし、俺一人では操艦できないし、致し方あるまい。



「しかし、軍事費の二十年分…しかも一括で予算を捻出しろと…」

頭を抱える国王。


やはり予算の関係で難しいか?


「アリス様、しばし私と陛下達とで相談させて貰ってよろしいでしょうか?」


アルフレアに何か考えがあるらしい。

「あぁ、アルフレア。頼むぜ!」

頷くアルフレア。

俺は一度離宮に戻る。



◇◇◇◇◇◇

アルフレア姫視点


「兄様!!あの船は断然買うべきです!!」

アリス様が離宮に戻った後、私は国王である兄様の説得にかかる。


「あぁ、あの船はたしかに凄い。あの船一隻でどんな大艦隊でもどんな海の大型魔獣で倒せるだろう…しかし…予算が」


「兄様…アリス様に条件を付けるのです」

私は兄にだけ聞こえるように耳打ちする。


「今後30年間の半年に一度のアリス様によるイージス艦のメンテナスを条件に加えるのです」


「いや、メンテナス費用が浮いただけでは…」


「違います…この条件を盾にアリス様を今後30年間、王国に縛りつけるのです!」


「!!!」


アリス様と言う無敵のモンスターが30年間王国居る。立ち去らない。敵対しないと言うことは、天使なき後の王国にとって計り知れない恩恵がある。

兄もアリス様のお力は大陸の軍事バランスを左右する事を理解している。


「うむ。アリステル様がその条件を呑んでくれるなら承認しよう」


私の一言で陛下の説得に成功した。



◇◇◇◇◇◇◇

アリステル視点


「承認出ました」

微笑みを浮かべるアルフレア。

さすが出来る姫は違う!


「ほんとか!?」

「えぇ、ただイージス艦のアリス様による今後40年間の一ヶ月ごとの定期メンテが条件です」


「40年!?」

うーん…まぁ売りっぱなしと言うのもスポンサーに対して不義理と言うものだろう。


それに7万年の寿命を持つ俺にとって40年は大した事はない。

…が、しかし一ヶ月ごとのメンテは面倒くさい。


「40年、半年ごとじゃダメ?」

「決まりですね」


よっしゃ!これでエルフ探索の足が手に入った!!


この時、俺の背後で小さくガッツポーズする姫に俺は、気がつかなかった。





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― 新着の感想 ―
[一言] こういう中世・封建時代は経済規模自体が小さいから国家予算と言っても現代国家からみればたかがしれてるのよね。国家財政≒王家の財政みたいなところもあるし。 なので4000億円というのは一国がポン…
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