姉妹機
◇◇◇◇◇◇
アリステル視点
「ほほう…たしかにそっくりだな」
俺はじっくりとラインハルト皇帝の首を刎ねた魔導人形を観察する。
まるで鏡を見ているようだ。
俺との違いがあるとすれば、うさ耳がないぐらいだ。
あとは着ている服がメイド服と言うぐらいか…
メイド服なのはサリュース将軍の趣味なのだろうか?
[機体識別コード確認…機体形式番号 殲-III
アリステル(改)強攻型。信じられませんが…アリスの姉妹機…新型機です]
アイから信じられない報告を聞く
「なんだと!?」
何故、俺の新型機があるんだ?
しかもこの異世界に?
[可能性として…]
「ここは…未来の地球」
[肯定]
俺はアリステルの機動実験に失敗し、縮退炉エンジンの爆発で時間軸が歪み、この未来の地球に吹っ飛ばされてしまった訳か…
しかしなんとまぁ…ここは何万年後の地球かは知らんが…
西暦はとうの昔に終わり、科学文明は消え去り、
そして新たな魔法文明を築いていたか。
「くははは!さすがの貴様もこの魔導人形の力に驚いているようだな!!」
ここは未来の地球だったと言う衝撃の真実に驚き、感慨に耽っていた俺を見て、なんやら勘違いしているようだ
「くく…あまりの美貌に見惚れてただけだ」
俺はとぼけてみせる。
「ふざけるな!この魔導人形は貴様のような邪悪な笑みを浮かべたりはせん!!」
とりあえず、そんな些細な事はどうでも良い。
目の前の俺の後継機。
俺の名を冠した新型機だ。
さぞかし強いのだろう…
「殺れ!アリステル!!!」
魔導人形に命令を下すサリュース将軍。
くくく…見せてもらおうか!C国製アリステルの性能を!!
俺と魔導人形は互い正面30cmで相対する。
◇◇◇◇◇
サリュース将軍視点
7万の帝国兵のど真ん中に、堂々と単騎で現れたアリステルに驚愕した!!
そして、俺のアリステルを見て動きを止めるアリステル
「くはは!さすがの貴様もこの魔導人形の力に驚いているようだな!!」
この三日間の間。
アリステルの夜の性能にも驚かされたが、行軍中にドワーフの残存軍と戦闘があったが…
500人のドワーフ兵をたった一人。しかも素手で殲滅させた。
俺は最高の娼婦と最強の武器を手に入れたのだ!
アリステルにもこの魔導人形の強さが感じ取れたのだろう。
動きが止まっている。
「くく…あまりの美貌に見惚れてただけだ」
などと強がるアリステル。
まぁ、たしかにこの魔導人形はあのアリステルと瓜二つだ。
だが、私のアリステルは決してあのような悪魔のような微笑みを浮かべたりはしない!!
「ふざけるな!この魔導人形は貴様のような邪悪な笑みを浮かべたりはせん!!」
あの悪魔のような歪んだ笑み浮かべるアリステルの存在は許されない!!
「殺れ!アリステル!!!」
進みでるアリステル。
正面から向き合う二人のアリステル。
先制攻撃は儂のアリステルだった。
目で捉える事ができない速度で放たれる一撃必殺の右フックがうさ耳アリステルの左頬に見事にヒットする!!
ガキャァァンンン!!!
絶対人体では出るはずのない殴打音が響く。
うさ耳アリステルを殴った右フックの衝撃波が辺りにいた帝国兵を吹き飛ばした。
微動だに出来ず動きが止まったままのうさ耳アリステルにさらに左フックを撃ち込む儂のアリステル。
ガシャァァァァァン!!!
これもうさ耳アリステルの右頬にクリーンヒット。
さらに吹き飛ぶ帝国騎士団
シュッ!
拳を戻す儂のアリステル。
そして…
ドサッ!
うさ耳アリステルの両ヒザが崩れ落ちた…
勝った…儂のアリステルが勝った!!!!
「勝った!!儂のアリステルが勝ったぞぉぉぉぉぉ!!!」
「うおおおおおお!!!!」
勝鬨をあげる帝国騎士団!!!
これで帝国もアリステルも全て儂のもんだ!!
◇◇◇◇◇
アリステル視点
[核反応確認…この新型アリステルのエンジンは核融合炉です]
「なに!?」
俺の動力は縮退炉エンジンだ。
何故。核融合炉などと言う貧弱なエンジンを採用している?
[推測。C国は縮退炉エンジンを再現できなかったと思われます]
なるほど、C国は設計図があっても俺なしでは縮退炉エンジンを造る事ができなかったか。
[さらに殲-IIIアリステル(改)強攻型は攻撃特化型と判明]
「ほう?」
[自律思考AI及び探索機器を外した純粋戦闘タイプです]
俺のような自律思考し、戦略を立て単独で任務遂行する豪華なオール イン ワンタイプではなく、戦闘に必要な装備だけにした戦闘特化型と言う訳か。
だからうさ耳レーダーがない訳か。
メイド服でうさ耳がないのは、この新型を作った奴の趣味かと思っていたが違ったようだ。
[メイド服は現地調達したようです]
メイド服はともかく、そう言う理由の特化型なら核融合炉エンジンとは言え、単純な戦闘だけなら俺を上回る可能性がある。
楽しみだぜ!!
俺は30cm前にいる戦闘特化型アリステルに左頬を差し出す。
バウン!!
音速を超える右フックを放つ新型。
音速を超えた右フックはマッハコーンを纏い俺の左頬に直撃する。
ガキャァァンンン!!!
激しい音と共に壊れる新型アリステルの右マニュピレータ。
さらに左頬に新型アリステルの左フックがヒットする。
ガシャァァァァァン!!
これもまた呆気なく破損する新型アリステルの左手…
[機体ダメージ0…脅威レベル 無…です]
今の攻撃力で新型アリステルの脅威レベルを測定したアイの報告は…無。
俺は目の前が真っ暗になった。
あんなに楽しみにしていた古代魔導人形が…帝国を乗っ取ってまで研究所を設立したのに…
それが…ただの俺のコピーでしかも劣化品…
これが他人が作った魔導人形なら、多少性能が悪くても参考になる個所はあったかも知れない…。
それもコピー商品で劣化品では参考になる訳がない。
しかもコレ…戦闘に特化じゃなく、センサーやらAIを外した戦闘だけしかできない粗悪品じゃねーか!!!
しかも壊れたマニュピレータが直る気配もない。
こいつ…3Dプリンタによるナノマシン修復機能すらないのか…
ふふふ…新型の攻撃は、俺のボディに全くダメージは与えられなかったが…
俺の精神に与えたダメージは大きい。
俺のヒザがその場で崩れ落ちた。




