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魔導人形からの逃亡

◇◇◇◇◇◇

ドワーフ王国王女エルサ視点


「姫、ここは私に任せてお逃げください!!」

呆然とする私の背を押すドギ。


突然の帝国の襲撃。

奪われる古代魔道具。


そして父と母は私の目の前で殺されてしまった…


魔道具研究家ドギの機転で何とか私と数名の騎士が、魔導人形と帝国軍の手から逃げ出すことができたが…


「クソ!!剣が通じない!!!」

「ま、魔法だ!!」


帝国に奪われた魔導人形が私達を追ってくる。

私達は深い森に逃げ込むが…30分もしない内に追いつかれてしまった。


全裸の魔導人形は狼よりも速く、音も立てずに森を抜ける疾風のように私達に迫ってくる!


「アルン!姫を連れて逃げろ!!」

「ハッ!姫、こちらへ!!」


幼い頃から私の近衛騎士を務めている女騎士アルンに手を引かれ駆けだす私の背後から聴こえる騎士団達の怒号。


「は、速い!!あ!!グァ!!」

「畜生!!ドクが殺られた!!ガハッ!!」

「怯むな!死んでもここを通すな!!」


ごめんなさい!!ごめんなさい!!!

私のために死んでいく騎士達に謝ることしかできない。



◇◇◇◇◇

王女エルサ付き女近衛騎士アルン視点。


「はぁ…はぁ…はぁ…」

姫の体力がそろそろ限界だ。

肩で息をするエルサ姫。


森を抜け、川沿いに沿った崖の上にでる。

このまま川に沿って西に向かえばランバード王国に辿り着く。


「アルン、ごめん…なさい。すぐ息を整え…ます」


私が8歳の時、エルサ様の護衛騎士の見習いとして任命された。


それ以来、10年。

エルサ姫とは主従関係を超え、まるで姉妹のように生活を共にしてきた。


この10年は私にとって最高に幸せな時間であり誇りでだった。


でも、それも終わりのようだ…

「エルサ姫…どうやらお供できるのはここまでのようです…」


私はミスリルアックスを構える。

「アルン…なぜです?」

「ヤツが来ました…」


森の中からゆっくり姿を現わす全裸の魔導人形。

その手にはドム団長の生首を持っていた。


「ドム!!あぁ…なんて…事…」

愕然とするエルサ姫。


私は魔導人形と対峙する。

ここが私の死に場になるようだ。


ならば!!

姫の剣として。

姫の盾として。

その務めを果たす!!


あぁ、そうだその前に…

「姫…ドギの言葉。覚えていますよね?」

笑顔でエルサに確認する。

姫は意外と抜けている。


「もう!覚えていますぅ!」

私の笑顔にふくれっ面で答えるエルサ。


そして…大粒の涙を零すエルサ。


「アルン…感謝…します。今まで…ありがとう」

そして、背を向け駆けだすエルサ。


それを見届けると私は腰のバッグから痛覚遮断のポーションを取り出し一気に飲む。


吐き出した胃液のような味だが、これで痛みを無視して戦い続ける事ができる。


私は死の恐怖も身体の痛みも感じない死兵となる


「ここから先は一歩も通さない!!」

私は魔導人形に斬りかかった。



◇◇◇◇◇◇

ドワーフ王国王女エルサ視点


「はぁ…はぁ…はぁ…」

アルンと別れ、私は心臓が張り裂けそうになるまで走った。



大勢の民が殺された

両親も殺された

家臣も私に尽くしてくれたメイド達も殺された。

騎士達も殺された。


全て帝国に殺された。


そして私の騎士であり、親友でもあったアルンも…殺されたみたい……だ。


ゆっくりと近づく魔導人形。

綺麗な長い金髪を靡かせ、透き通るような白い肌を晒し…


騎士達やアルンの血で真っ赤に染まった手で、倒れた私の髪を掴み引き起こす魔導人形。


「いや!いや!!いやぁぁぁぁぁ!!」


私の髪を掴む魔導人形のその細い腕に噛みつく。

痛みすら感じないのか無表情のままの魔導人形。


そして魔導人形に腕を引かれ、今まで必死に逃げてきた道を連れ戻される私。


途中、粉々に砕けた血塗れのアルンのミスリルアックスと潰れ引き裂かれた血塗れの鎧があった。


「うわぁぁぁ!!アルン!!アルン!!アルン!!!」


泣け叫ぶ私の腕を、それでも無表情に引く魔導人形。



「う、うぅ…」

靴が脱げ、足の裏が擦りむけ血が流れる。

それでも魔導人形の歩みは緩まない…


「あ…」

原型を留めないドワーフ王国の騎士達の死体が転がっていた。


「ドム…隊長…」

首なしの死体はドム隊長だろう。


貴方達の死も無駄になってしまった。

私はこのまま、ドワーフ王国に連れ戻され、侵略した帝国軍に引き渡され処刑されるのだろう…


私の眼は、唯一のアリステルと言う名の希望を見失った…





◇◇◇◇

ドワーフ王国王女付き近衛騎士アルン視点


「うわぁぁぁぉぁ!!!!」

私は跳ね起きる!!


柔らかいベッド…

見知らぬ天井…

そこは王国貴族の寝室のような部屋だった。


「おはようございます」

優しく微笑む女の子…


「ここは…天国?」

私は魔導人形と戦っていたはず…アレは夢だった

のか?


「ふふ、ここは天国ではありません。ランバード王国の王城ですよ。ドワーフの騎士様」


「ラ、ランバード王国!!で、では貴女は?」

優雅に一礼する少女


「この方はランバード王国王女アルフレア様です」

少女の後ろに控えた女性騎士が答えてくれた。

そして、にっこり微笑むアルフレア王女。


「こ、これは失礼を!!うっ!!」

私はベッドから降り、騎士の礼をしようとしたが体の痛みで動けなかった。


「偶然、川に流される貴女をアリス様が見つけられてここまで連れてきたのですよ」


川に…だんだん蘇る記憶。

そうだ…私は魔導人形と戦い…追い詰められ崖から落ち…川に沈んだ…


「!、姫さまは!!エルサ姫さまは!!」

「貴女以外はいなかったそうですけど?」


ひ、姫は無事なんだろうか…こうしてはいられない。

痛む身体を起こし、ベッドから降りる。


「私は姫を護り、アリステルにアリステル・レステルに会わなければなりません!」


私をベッドに押しとどめようとするアルフレア王女。


「アリステル様なら貴女の後ろに居ますよ?」

「え?」

アルフレア王女の声に従い後ろを見る。


「おう、さっきから寝言で俺の名を言ってたな?なんか用か?」


そこにさっきまで戦っていた魔導人形が居た。


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