7万対1
元帝国皇帝ラインハルト視点
「陛下!王城の包囲完了しました!いつでも突撃できます!!」
アリステルに城を占拠されて5時間。
王城を包囲する帝国常駐兵7万人に対し、アリステル側の戦力は9名。
古代魔導人形のアリステル・レステル
その配下の錬金術師ネレイ・サージ
SSS級冒険者の人形使いの魔導師ドロシー・ドロレス
そして我が娘…いや、娘だったエターシャ。
それとエターシャの護衛騎士5名。
7万人対9人の戦い。
戦闘にすらならない戦力比だが…
「まだか!?まだ結界に穴を開けられないのか!!」
城全体を包む古の魔法「聖なる教会」
これはSSS級冒険者のドロシーの魔法だ。
SSS級冒険者一人で1個師団に匹敵する戦力になると言われている。
そのSSS級の化け物すら手下にしているアリステルとは一体何なのだ!!
「まだだ!!もっと撃ち込め!!!魔力を集中しろ!!!」
魔法師団長マーロイの号令の下、魔道士達が聖なる教会に向かい魔法弾を撃ち続けるが、一向にラチがあかない…
そんな途方に暮れていた時…
「ドッカンドッカンうるせーぞ!!」
飛んでくる魔法を両手剣で弾きながら、アリステルが結界の外に出てきた!!
◇◇◇◇◇
アリステル視点
「どれ、ちょっくら遊んでくるぜ」
ドロシーの聖なる教会に向かって魔法を放つ騎士団達。
その中にラインハルトの姿も見える。
俺はゆっくり聖なる教会から外に出る。
「ドッカンドッカンうるせーぞ!!」
目標を結界から俺に切り替えたようだ。
魔法が、俺めがけ無数に飛んでくる。
それを両手剣で弾く。
直撃すると、ネレイに直して貰ったヘアースタイルが乱れてしまうからな。
「ば、馬鹿な!!!城壁すら崩す魔法だぞ!!」
魔法使いのジジィが喚いている。
「騎士隊!!ファランクス陣形!!!!」
一際ゴージャスな鎧をきた男の号令で、最前列にいたバケツヘルメット集団が盾を構えて長槍を突き出す。
5×5の騎士達で構成されたファランクス部隊が八つ。
「突撃!!!」
剣を振り下ろすゴージャスな鎧騎士。
「うおおおおおお!!!」
八つのファランクス集団が俺の正面と左右側面から突っ込んでくる。
突き出した槍の長さは2メートル。
対して俺の竜殺しは3メートル。
槍が俺の身体2センチまで接近した瞬間。
竜殺しを振る。
ファランクス最前列の騎士達が竜殺しで輪切りにする。
すぐさま二列目の騎士達が盾を構え直すが、返す刃でそれらも輪切りにする。
それをファランクス最後尾の騎士達が全員が二つになるまで繰り返した。
◇◇◇◇◇
元帝国皇帝ラインハルト視点
「馬鹿な…そんな…馬鹿な…」
一騎当千の猛者達で構成された我が帝国騎士団が…一瞬で倒された。
「ククク…」
輪切りにされ絶命した騎士達の死体を踏み越えこちらに歩いてくるアリステル。
「マ、マーロイ!足止めを!!…マーロイ?」
隣に居るはずの帝国屈指の大魔導師マーロイの返事がない。
「冗談じゃない!あんな化け物倒せる訳なかろう!!!」
真っ先に逃げ出していた。
「ぜ、全軍!と、と、と、突撃しろ!!!!」
だが、俺の突撃命令は実行されず…
「うわぁぁぁぁぁぁっ!!」
鋼鉄の盾ごと、鋼鉄の鎧をぶった斬るアリステルの力に騎士達は戦意を失い、我先に逃げ出す!
「クソ!!撤退だ!!!撤退のラッパを鳴らせ!!!!」
7万の軍勢がいた所で、同時にアリステルに攻撃できる数はせいぜい10人ぐらいが限界だ。
そしてアリステルをたった10人で倒すのは不可能
対してアリステルはたった7000回、剣を振るだけで7万の騎士団を殲滅できるのだ。
俺はアリステルに背を向け城外に逃げ出した
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