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帝国の狂人

帝国皇帝ラインハルトを脅し戦争を回避したアリステル一行は無事ランバード王国に帰ってきた

◇◇◇◇◇

アリステル視点


「ただいまー」

ラン○ルの助手席に乗り込む。


「センセ、お疲れ様でした」

後部座席からおしぼりを差し出すネレイ。


「アリス様、首尾の方は?」

心配そうな顔で聞いてくるアルフレア姫。


「完璧だぜ!」

ホッと息を吐く姫。


「皇帝のベッドにナイフ突き立てたし、他の連中もバッチリ脅して、こうなったのはお前らのせいだからな!ってアピールしてきたぜい」


「これで一安心…かしらね?」

「なぁに、抵抗してきたら…5分で帝国を更地にしてやるぜ!」


「姫、発車します」

こうして俺たちはレイチェルの運転で王国に帰った。



◇◇◇◇

第六皇女エターシャ視点


静まりかえる円卓会議室。

厳重な警戒をくぐり抜け、帝国で最も安全な場所である皇帝陛下の寝室に忍び込んだアリステル・レステル


文字通りチェックメイトだ。


「バニーガール族の…平均寿命は何年だ?」

絞り出すような小さな声で尋ねる陛下。


「短命種ですので2〜30年と言ったところです」

「…アリステルが存命の間は…ランバード王国とカラバ獣人国への侵攻計画は凍結する…」


息を呑む大臣達。

これはアリステルには敵わないから戦いを避けると言う、皇帝陛下の実質的な敗北宣言である。


なんて言う事だ…アリステルはたった一本のナイフで帝国を退けたのだ…


しかし…

「父上!お願いがあります!!」

皇帝陛下ではなくあえて父上と呼ぶ。


「なんだ?我が娘よ」

「アリステルの抹殺命令を私にお出しください!」

「ならん!これ以上アリステルに関わって損害を広げる事は許さん!」


「でも、私達の10年が!!仲間の死が!!そしてワイバーンの卵を手に入れるために死んでいった2万人の兵士達の命が!!」


「ダメだ。エターシャよ。貴様には遠征軍に加わって貰う」


「遠征軍…」

「サリュース将軍。ドワーフ国への遠征準備に入れ!」


「ハッ!兵站拠点の確保などで1週間ほどで遠征軍を編成できるかと思います」


「うむ…エターシャ…ワイバーン騎士を貴様の指揮下に入れる。有用活用してやってくれ」


「そ、そんな!?」


ドワーフ王国…

美しい貴金属の工芸品や高品質な武器などを作り出す技術大国。


ドワーフの技術力を手に入れれば、帝国はさらに強くなるだろう。


父が計画している魔力を使わない飛び道具の開発にもドワーフの技術は役にたつだろう。


でも!!

再度、アリステル抹殺をお願いしようと口を開いた時…


「陛下、私に提案があります」

ボサボサのロングヘアーの女性が発言を求めた。


「なんだ?技術開発局長ネスティよ」

目の下に深いクマを作った眠そうな瞳をした女性。


この女性は「帝国の狂人」と呼ばれる技術開発局長だ。

ネスティは帝国に技術革新をもたらした。


象やワイバーンの調教技術も彼女が考案したものだ。


「先程のバニーガール、もしや古代魔導人形(ゴーレム)の可能性があります」


「なに?」

驚く皇帝。


古代魔導人形…失われた魔法技術で作り上げられた、人の姿をした無生命体


人の数十倍の力を持ち、休む事なく与えられた命令をこなす怪物。


「バニーガール族が火竜を倒したり、数千発の魔法を使う事など不可能でございます」


「俺もそう思うが…」

「もし、本当にゴーレムなら数百年は動き続けます」


「むむ…」

「ぜひ、私めにアリステルの調査命令を」


ネスティは帝国軍人の中でもかなりの変わり者だ。

奴隷を生きたまま、体や頭を解体したりする。


そのお陰で医療技術が発達したし、人間を洗脳したり動物や魔物を調教できるようになったが…頭が狂った狂人とし言えない。


「それと…4匹のワイバーンを殺した魔法は…魔法ではありません」


「!!」

私は驚き息を呑む。

魔法でなければ一体あれは…


ネスティはポケットから布に包まれた4つの小さな綺麗な金属を取り出す。


「これは?」

皇帝が尋ねる。


「殺害された4匹のワイバーンの頭蓋骨の中から採取しました」


その金属を摘まみ上げる皇帝。

「これがワイバーン頭に撃ち込まれたものか?」


「はい、ストーンバレットのような魔法ならこのような物は残りません…そしてこの金属から火薬…現在開発中の魔法を使わない飛び道具をすでに王国は開発に成功させた可能性があります」


「なんだと!?……ならばネスティよ。お前の言う通りアリステルの調査を任せよう」


「ははっ!つきましてはエターシャ姫にも協力を願いたいのですが?」


「良かろう…エターシャよ。お前はネスティの助手としてアリステルを調べ上げるのだ!!」


「ありがとございます!」



◇◇◇◇◇

アリステル視点


「ふー久々の王国だ…」

破損した縮退炉エンジンのフレームの素材を手に入れる為、カラバ獣人国を目指したのが1ヶ月前。


象を手に入れたり、帝国の砦を破壊したり、ストームブリンガー達と再会したり、サラを弟子にしたり、帝国皇帝を脅したりと充実した1ヶ月だったな。


城の離れにある離宮で一休みする。


姫は、新たに国王になった兄に帝国での出来事を報告しに行ったきりだ。


とりあえず、サラにダブレットでカレーパンの作り方をダブレットで見せる。


「な、なによ?この板は…小さな人が…中で動いている…フェアリー?」


目を丸くしてダブレットの裏を見たりしている。


「ア、アリス師匠は…一体何者なんですか?」

「まぁ…人間じゃない…逃げるなら今のうちだぞ?」

「いえ、私はカレーパン職人としてアリス師匠に従えます!!」


おいおい、カレーパンに対する執着が凄いな!?

そこまで言うなら立派なカレーパン職人…いや世界最高のパテシエに育て上げよう。


とりあえず、カレーパンを作るための道具をアイテム売買スキルで調達していると、アルフレア姫が帰ってきた。


「はぁ〜お兄様に散々叱られてしまいました」

「どんまい!」

「む〜!」


半分くらい俺のせいな気もするが姫に責任をなすりつける


[否定。半分ではなく84.3%アリスのせいです]


アイの言葉を無視する。


「でも…あのワイバーンをどうにかしないといけませんね」


ガンケースにしまったPSG-1を撫でながら考え込む姫

俺のストーンバレットすら躱されてしまった。


「アリス様でも無理でしょうか?」

「あぁ、空を飛んでいる限り無理だな」


機械の身体の俺は常に最高のポテンシャルを発揮する

(手加減時は除く)


あの白いワイバーンは本気で撃墜しようとして出来なかった。


つまり、最高のポテンシャルを発揮して撃墜できなかった訳だ。


ならば、もうこのアリステルの機体をバージョンアップでもしない限り撃墜は無理だろう。


人間とは違い、機械(アリステル)は限界を超えられない。


「だから…あのワイバーンは、姫に頑張って貰うしかないな」


「え?」

俺は目隠しを取り出した。

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― 新着の感想 ―
[一言] 心眼で見なくても当てられるようになるってやつかな。 あるいは……昔ゴルゴ13で対エスパー(危険を察知して一度はゴルゴの狙撃を避けた)のエピソードがあったんだけど、それに近い特訓でもやるのかな…
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