百円ライター
ストームブリガーと合流したアリスは自分の死体を放置しっぱなしだった事を思い出す
「よぉ!久しぶり!」
やっぱりロイ達だ。
ストブリとは外れの村で共闘して以来だ。
「アリスちゃん!やっぱりアリスちゃんだ!!」
「生きてたんだ!!」
俺の姿に驚くストームブリンガー。
「ん?死んだ事なんてないぞ?」
「じゃ…あの首なし死体はやっぱり別人?」
「首なし…死体………!!」
思い出した!!
何か忘れているような気がしていたのはコレだ。
おれの傀儡になった王子を国王にする計画で作った死体だ!!
(第32章 処理水)
結局、例の火竜事件のせいで無駄になってしまったが…生首の方は俺のアイテムボックスに入れたままだが、胴体の方は捨ててきてしまった。
◇◇◇◇◇◇
「そっか、迷惑かけちまったな」
勘違いとは言え、俺の頭を取り戻そうとしてくれたストームブリンガーになにかお礼をしよう…
とは言え、何か良いだろう?
(ネレイ…冒険者が貰ったら嬉しい物ってあるか?)
(センセイのアイテム売買スキルの物でですか?)
ネレイとはアイを通して近距離なら思考伝達ができる
(うーーーん…!!百円ライター!魔法なしで火を起こせるのはすごく有難い事ですよ!)
(百円ライター…お礼の品としてはめちゃくちゃ安いが…冒険に役に立つならそれで良いか)
とりあえず百円ライターを1ダース買う。
「迷惑かけたみたいだし、俺の首を取り返そうとしてくれたお礼だ。受け取ってくれ」
「いや、俺達が勝手に勘違いしただけだ。気を遣わないでくれ」
「いや、その気持ちが嬉しい。だから受け取れ!」
無理矢理ロイの手に押し付ける。
「痛たた!わ、分かった分かった貰う!貰うから力抜いてくれ」
なんとか受け取ってくれた。
「これは?」
物珍しそうにライターを眺めるストブリ達。
「ここをこうすると火がつく」
シュボッ!
「おおおおお!!!」
「凄い!!」
「ま、魔法?」
思い思いに火をつける。
「こんな凄い物、ありがとう!!」
「いいって事よ。売って金にしても良いし、好きにしてくれ」
こうして死体の件も一件落着し、
俺達は、ストームブリンガーと共に野営する事になった。
木々を利用してタープを張るストームブリンガー。
その下に薄手のマットを敷く。
タープやマットを使うとは冒険者にしてはなかなか良い装備だ。
「アリスちゃん達はそのラン○ルと言う天使の馬なし馬車で寝るのか?」
「寝心地よさそうなソファよね」
ラン○ルのシートのクッションを確かめるサラ。
「貴族様の部屋みたい」
一瞬、ドキっとするアルフレア姫。
彼女が王女である事は内緒にした。
ストームブリンガーに変な気を遣わせたくないからな。
「いや、別の専用のテントがある」
俺はアイテムボックスから高級大型トレーラーハウスを取り出す
「な!?」
「ひゃ!?」
「な、なんと…」
「なに!?これぇ!!!」
突然、現れたトレーラーハウスに驚くストームブリンガー達。
「これが…アリスちゃんのテント?」
「貴族の屋敷じゃないか…」
ふっふーん!
8000万した高級大型トレーラーハウスだからな。
中に招こうとしたが、装備品が汚れているからと遠慮されてしまった。
◇◇◇◇◇◇
「こ、これがサラの言っていたカレーライスか!」
サラがネレイのカレーライスがどうしても食べたいと頼み込まれた事もあり、夜食はネレイ特製カレーライスとなった。
トレーラーハウスの前にテーブルをセットし、みんなで食卓をかこむ。
ガツガツとカレーライスを頬張るロイ。
「たしかにこれは癖になる旨さだ!」
「本当!こんな美味しい料理初めて!!」
ラビィも三杯目のお代わりをしている。
「素晴らしい…」
僧侶のエトも味を噛み締めて食べている。
「でしょでしょ!!一度食べたら忘れられなくなるのよ〜コレ!」
豊満な胸部装甲を揺らし、カレーライスを頬張るサラ。
褒められ顔が赤くなっているネレイ。
九人分と言う事で業務用の大鍋で大量に作ったが、全部なくなってしまった。
まぁ、こんな美味しい美味しいと食べ、さらに自作までしようと独学で勉強したサラだ。
レシピを教えてやってもいいだろう。
「ネレイ、サラにレシピ教えてやってくれ」
「!!」
「よろしいのですか?」
「あぁ、金儲けに使わないと言う条件付きだが」
「うん!誰にもレシピは教えないわ!!」
俺の両手を握りしめるサラ。
羊皮紙にレシピを書き込むサラ。
色々、ネレイに詳しく聞いている。
さてあたりも暗くなってきたし、ドロシーの案山子とブリキの兵隊を見張りに出し、俺達は眠りについた。
良いねありがとうございます




