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再会

アリスの生死を確認するため、カラバを目指すストームブリガーたち。

ストームブリンガー ロイ視点


「凄いね、アリスちゃん。救国の英雄になってるなんて」


今、王国では火竜を倒した英雄アリスとその火竜の素材を売り出すオークションの話で王国はかつてない盛り上がりを見せている。


その火竜は王城の騎士訓練所で解体作業が行われているそうだ。


火竜の内臓や血肉、骨などは王国主催のオークションにかけられるらしく、商人達がこぞってこの国に集まってきている。


「そうだな、もう俺たちが気楽に声をかけられる人物じゃなくなったな」


「そうだね…」

ラビィが少し寂しそうな表情を見せた。


「でも偽物の可能性もあるでしょ?」

最近、期間限定で俺たちのチームに加入したソーサレスのサラだ。


「まぁ、それを確認する為カラバを目指す訳だしな」


「その前に火竜を討ち取ったと言う、竜殺しの剣を見に行きませんか」


職人街にある名工ギムリの工房に飾られているらしい。


◇◇◇◇◇

「こ、これは…」

職人街の広場の中央に折れた竜殺しの剣があった。

立派な保管ケースに収納されたドラゴン殺し。


そこは大勢の戦士や騎士、冒険者や子供達でひしめき合っていた。


「間違いなくアリスちゃんが使ってた剣ね」

真っ二つに折れ、ボロボロに刃がかけたドラゴン殺し


「ア、アダマンタイト製だったの…これ」

ドラゴン殺しの素材に驚くサラ。


「え!それってヘビモスの巣でしか取れない金属じゃない!」

「マジかよ!?」

アダマンタイトの大剣なんて…いったい何キロあるだ?


そんなヘビー級の剣を片手で振り回していたアリスちゃんの腕力に驚き、そのアダマンタイトの剣を粉々にした火竜の力に慄き(おののき)、さらにそんな火竜を討伐したアリスちゃんに戦慄する。



「とりあえず、出発しようか…」

俺達は獣人国カラバを目指した。


◇◇◇◇◇

途中、火竜のオークションに参加する為王国を目指す商人達を盗賊から救ったりしながら旅を続けていた。


「商人を狙って盗賊達も王国に集まってきてますね」

街道から少し外れた広場で野営の準備をする俺達。


「そうだな。活気が良いのはいいが治安が悪くて仕方がないな」


「ご飯できたわよ」

今夜の料理当番はサラらしい。


「またこれか!」

サラの得意料理、カレーライスモドキ。

不味くはないが辛すぎるのだ。


「うーーん、そうなのよね…あの味を再現しようと頑張っているんだけど…」


サラが言うあの味とは、アリスちゃんの弟子ネレイに一度だけ食べさせて貰ったと言うカレーライスと言う料理の事らしい。


その味にいたく感動してレシピを教えてとネレイに頼んだが断られ、それ以来自力で研究しているそうだ。


次の日…

カラバを目指し、街道を歩いていると…

突然、地面の中きら這い出してきた巨大なヘビ!


「ちくしょう!!何でこんな所に!!」

頭から尻尾の先まで20メートルはある巨大なビッグハイパーに襲われた!


B級になったばかりの俺達にはキツイ相手だが、幸いA級のサラがいる。


俺達はサラの魔法詠唱の時間を稼ぐ。


シュ!シュ!

俺に向かい噛みつき攻撃してくるビッグバイパー。

ローリングで噛みつきを交わす。


しかし、奴の牙から滴り落ちる毒液の飛沫が俺の体力を削る。


ビシュ!ビシュ!

ラビィの弓矢での援護射撃。


魔法はまだか!


「アイスシックル!!」

サラの魔法が発動した瞬間!

一瞬で地面に潜り、魔法をかわしたビッグハイパー


「な!?」

高レベルの冒険者の中には、魔力の高まりを感じて魔法をかわす達人はいる。


しかし爬虫類にそんな芸当はできないはずだ!!


「ど、どうして!!」

驚くサラ。


「ぐあ!!!」

地面の中から飛び出して来たビッグハイパーに空高く跳ね飛ばされる。


「ぐふぅ!!」

10メートル近く空に跳ねあげられ、そのまま地面に落下した俺。


「ヒール!!」

エトの回復魔法のお陰で気絶こそしなかったが、ダメージが高く立ち上がれない。


シャァァァ!!!

動けない俺に向かい鎌首を伸ばすビッグハイパー


「ロイ!!!」

丸呑みされる!!

迫るビッグハイパーの5メートル近い口腔!


死ぬ…全てがスローモーションで見える…

俺に向かい駆け出すラビィとエト。

悲鳴をあげるサラ。


俺に構わず逃げろ!!

そう叫びたかったが口が回らない。


目前に迫るビッグハイパーの牙と先の割れた舌。

そして赤く脈動する口腔。


これが俺の死に場所か…

と思った瞬間。


割れたシャボン玉のようにパッと消えるビッグハイパーの口。

その背後の美しい青空が見えた。


そして…

「ラ○ダァァァァキック!!!」

意味不明の言葉が聞こえた。

と思ったら、突然の轟音と突風で俺は弾き飛ばれた!!



◇◇◇◇◇

アリステル視点


「うおりぁぁぁぁ!!」

倒れたロイを丸呑みしようとするビッグハイパーに向かい駆け出す俺。


縮退炉エンジンのリミッターを解除。

1歩目で音速を超える

2歩目で灼熱化する

3歩目で大地を蹴り飛翔する


大気との摩擦で灼熱化し紅く染まるエプロンドレス。

「ラ○ダァァァァキック!!!」

ビッグハイパーの横っ面に飛び蹴りをかます。


音もなく霧散するビッグハイパーの頭。

ついでにソニックブームに巻き込まれる飛ばされるロイの姿が見えた。


スカートを広げパラシュートブレーキ代わりにし、着地する。

ズザザザザ。


わずか2秒で3000メートル移動してしまった。

ネレイのお陰で縮退炉エンジンは完全に、いやそれ以上に直ったようだ。


俺はソニックブームで飛ばしてしまったロイを確認する…


◇◇◇◇◇

ストームブリンガー ロイ視点


「な、何が起きた!?」

「わ、分かりません。突然ビッグハイパーの頭が消えたとしか…」

エトに回復魔法をかけて貰う。


「突然、ビッグハイパーの頭が消えたように見えたわ」


サラの言葉に後ろを振り向く。

たしかに頭部を失ったビッグハイパーの巨体が大地に横たわっている。


「良かった。無事だったんだな」

俺の顔を覗き込むうさ耳をつけた少女。


「「「「ア、アリスちゃん!!!」」」」

そこに俺達が探していたアリスちゃんがいた。

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