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アリステルの誤算

「こ、これが…自動車…」

初めて見る自動車の現物に驚きの声を上げるネレイ。


「これが天使さまの馬なし馬車ですか…綺麗…」

感嘆の声をあげる姫。


ラン○ルを遠巻きに囲む騎士達。

「カッコイイ…」

などと言う声が聞こえる。


異世界人達の心を鷲掴みにした日本の工業製品。


それはト○タ ラ○ドク○ーザー

パールホワイトのボディが昼の日差しを浴びてキラリと光る。


ボンネットを開けると3.3リッターV型6気筒ツインターボエンジンが顔を見せる。


「す、ごい…これが内燃機関…魔法に頼らない技術」

シャーシの下に潜り込むネレイ。


「ドロシー、これゴーレム化出来ないか?」

「やってみる…無理だった」


残念。

ラン○ルをゴーレムにする事で自動車運転レベル5以上を達成できるかと思ったが流石に無理か。


とりあえず、試運転。

ここ騎士団訓練所から職人街にあるギムリの工房を目指す。


「みんな乗ってくれ」

ドアの開け方を説明する。

助手席にネレイ。中央の席に姫とレイチェル。後部座席にドロシーが乗り込む。ちなみ七人乗りタイプだ。


もちろん運転席には俺が座る。

が!!そこで問題発生。

誤算だった。…………………前が見えねぇ。


ラン○ルは4歳女児が運転できるようには作られていなかった…

今の俺に運転できるのは補助輪付きの16インチの自転車ぐらいだろう…


「センセ?」

「アリスさま?」

「どうしたん?ご主人さま」


動き出さない俺に怪訝な顔を見せるネレイたち。


「ネレイ、特別に運転させてやる」

「ほ、本当ですか!!」

スマートキーを受け取り笑顔を見せるネレイ。


ポジションを入れ替わる。

念のため、ネレイと俺以外には降りてもらう。


スマートキーの説明からエンジンスタートまで説明。

ブレーキを踏みDレンジに入れ、サイドを外しゆっくりブレーキを離す。


ノロノロノロ…

訓練所内のランニングコースでクリープ現象で動き出すラン○ル。

「動いた!!!魔法使ってないのに動いた!!」


「ゆっくりアクセルを踏んで」

「は、はい!」

時速20キロで周回するラン○ル。

徐々にスピードを上げる。

なかなか飲み込みが良い。


騎士達にコースにパイロンがわりに案山子を立てて貰う。


定常円旋回から始まり、八の字、クランク、車庫入れ。縦列駐車までこなすネレイ。


これならラン○ルのハンドルを任せても良いだろう。

「合格だ。この車のメインドライバーに任命しよう」

「ありがとうございます!!」


念のため、ドロシーとレイチェルにも運転を学ばせる。姫は俺と同じで身長の問題で運転出来なかった。


◇◇◇◇◇

ブロロロ…

訓練所を後にし職人街のギムリの工房を目指す。

新たなドラゴン殺しの発注とそれまでの代わりの武器を探すためだ。


街を抜けるラン○ルにパニックになる住民。

サンルーフから身を乗り出し、住民達を落ち着かせるレイチェル。


姫も窓越しに住民達に手を振る。

そのお陰でラン○ルを一目見ようと道沿いに人で溢れる。


これからも街中をラン○ルで走るからな。

住民達には慣れてもらうしかない。


ヤンチャなガキどもが併走してくる。

ネレイの視線がガキを巻き込まないか(せわ)しなく

サイドミラーへ動く。


◇◇◇◇

ギムリの工房に着く。

そう言えば…火竜騒ぎで死んでないだろうな?


工房から飛び出してくるギムリ。

「嬢ちゃん!!生きておったか!!!ってなんじゃこりゃ!!つか、小さくなっておる!!!」


ラン○ルを見て腰を抜かし、さらに小さくなった俺に驚くギムリ。


「俺の愛馬だ。小さくなったのは火竜の呪いだ」

と説明する。


小さな身体で開いたドアから中身を覗き込むギムリ。

「なんと…まるで貴族さまの部屋みたいな馬車じゃな」


豪華なエクステリアに感心するギムリ。


「とりあえず、これ壊れたから新しいの頼むよ」

天使戦でボロボロになったドラゴン殺しをアイテムボックスから取り出す。


「な!?ア、ア、アダマンタイトのドラゴン殺しが…いや、伝説の火竜が相手なら仕方がないのか?」


「いや、火竜にやられた訳ではなく、天」

「う、うんん!!」

咳き込む姫。


天使は内緒なのね。

「悪いけど新しいの鍛刀(たんとう)してくれよ」

「うむ、また地金を打ってくれれば作れるぞ」


早速、アダマンタイトを叩こうとするが…体が小さく上に体重が軽くて上手く均等に叩けない!


「くそ、ドラゴン殺しは身体が直ってからだな」

「残念じゃ」

「なんか代わりになる武器あるか?」

「普通の人間用のしかないぞ?」


アダマンタイトのドラゴン殺し以外の武器だと、素手で殴った方が強いが…やっぱり武器は欲しい。


「そうじゃのう…これなんかどうじゃ?」

ギムリが持って来たのは鋼鉄製のトゲがいっぱい付いた金棒だった。


「お、いいね」

全長1メートル。重さ20キロ。

火竜クラスだと役不足だが、普通の魔物や人間相手なら十分だろう。


背負いベルトとセットで買う。


ボロボロになったドラゴン殺しは記念に欲しいとギムリが言うので譲った。

「お礼に次のドラゴン殺しはタダで作ってやるぞい」


これで旅の準備は完了した。

明日は王都を出てカバラを目指す事にする。


しかし…まだ何かを忘れているような気がする…


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