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天使降臨

脅威レベル 危 に挑むアリス。

ゴアァァァァ!!


俺に向かって放たれた鉄すらも溶かす火竜のファイアーブレス。


真っ赤な炎が視界いっぱいに広がる。


[推奨 回避]


俺はドラゴン殺しを天に翳す。


そして…力を貯め………!


「うおおおおりゃぁぁぁぁぁ!!!」

俺は、この世界に来て初めて全力でドラゴン殺しを振った。


その剣先は音速を超え、大気を切断する!

切断された大気は真空となり広大なファイアーブレスを一瞬で呑み込み霧散させた。



ドオォンッ!!

剣圧で生じた真空の渦は衝撃波となり、火竜の顔を打つ。


グルルルッ!!

火竜の額からツゥと血が一筋流れる。


大気を切り裂いた摩擦熱でドラゴン殺しが灼熱化する


怖気ついたのか、俺から距離を取る火竜。

[高度500メートル]


さすがジャンプで届く距離ではない。

俺を品定めするかのように観察する火竜。


そして背を向け飛び去ろうとする火竜。

「逃がさねーよ!!」


縮退炉(ブラックホール)エンジンの力で周りの重力磁場を反転させる。


万有引力の力が逆転し、空が大地に大地が空になる。

俺は空にいる火竜に向かって全力で飛び降りる!!


「重力ダイブキッィィィク!!!


縮退炉エンジンで重力変動した俺の体重は現在125tに達している。


その125tの質量で僅か20tの軽量な火竜の腹部に激突!


ガァァァァァ!!

絶叫をあげ血反吐を吐く火竜。


そのまま絡み合い、俺と火竜は空に落ちていく。


[高度2000メートル]

重力磁場を正常に戻す。


ぐおおお!!ぐおおお!!

なんとか羽ばたこうとする火竜だが、さすがに背中に125tの重量物(俺)を乗せて飛ぶ事は出来ないようだ。



ズドオォォォォォン!!

城外の農村地帯に落ちる


ギャオオオオオン!!

まだ生きてる。なかなか頑丈な生物た。


逃げられないと悟ったのだろう。

ガオオオオオオ!!


俺に向かって巨大な前爪による斬撃を振り下ろす!

ガキィィンン!!


ドラゴン殺しで受け止める!

「ふん!」

125tの体重はビクともしない。


その爪を跳ね返す!


よろける火竜。


その爪を掴み、振り回す!


ボキッ!!

ギャオオオオオン!!

火竜の前腕が折れ、絶叫をあげる


ドサァァァン!

地響きを立て大地を転がる火竜。


身体を引きずり俺から逃げ出そうとする火竜…


遥か昔、天使は火竜の翼を斬り落とし、それを後世に残した。


ならば俺は火竜の剥製を後世に残すとしよう。


過去、T-REXを喜んで剥製にした姫だ。

無傷の火竜の死体を渡せば狂喜しながら剥製にしてくれるだろう。


ズルズルと腹ばいで逃げる火竜。


俺はその火竜の首の上に跨り…頚椎に向かってドラゴン殺しを突き立てる。


脳神経を破壊された火竜は静かに息絶えた…


[目標 生命活動停止]


「ふ〜〜、意外と弱かったな」

大地に寝転び一息つく…

そうしていると…


「センセーーー!!」

「アリスさまぁ〜〜!!」

「ご主人さまーー」

「ほ、本当に倒したのか…」


ジークで駆けつける姫さまたち。


その火竜の大きさに目を剥く姫さまたち。


「こ、これ…剥製にして…良いですか…?」

口をパクパクさせながら姫はそれだけを口にした。

「おう、後世に残してくれ」


「アリスさま!市民の誘導、無事完了…」

5000の騎士を率いて戻ってきた第一王子カインは火竜を見て言葉を失った。


火竜の後始末は王子に任せて良いだろう。


あとはこの火竜騒ぎに紛れて、どこかにいる王を殺ってしまえば良いだろう。


王女の王位簒奪の手順を考えていると…


[アリス。城内地下に高エネルギー体を感知]

アイが第二ラウンドを告げた。


◇◇◇◇◇◇

王国騎士団団長 カイエン将軍視点


「ぐ、うううう」

火竜の一撃で弾き飛ばされた俺は、どうやら気絶していたらしい。


目の前にはスレイン卿とマーファ司祭の無残な死体があった…


俺は両手のガントレットを見る。

火竜の一撃を受けたにも関わらず無傷だ。


これは天使の加護 [金剛不壊]の恩恵、あらゆる鎧を砕き。あらゆる攻撃を防ぐによるものだ。


これがなければ俺は死んでいた…


だが、ガントレットは壊れてなくても、その中身…俺の両腕は折れていた。

これではもう戦えない…


グオォォオ!!

城の上空で誰かが火竜と戦っている!?


一体どんな勇者だ!!

俺は痛む身体を引きずり、尖塔の上にいる人物を見る


小さな幼い少女が自分の身長の2倍はありそうな漆黒の大剣を構え、火竜と対峙していた。


「アリステル…」

王の御前試合で俺をいとも容易く倒した少女。

その強さは身をもって知っている。


ゴアァァァァ!!!

炎を吐く火竜!!


「ツっ!」

こちらまで届くファイアーブレスの熱波!!


これでは狭い尖塔の上にいるアリステルに逃げ場はない!!


黒焦げになったアリステルの姿が一瞬頭に浮かぶ。


「し、信じられん…」

アリステルは黒焦げになるどころか、ファイアーブレスを一刀両断したのだ!

しかもその剣圧で、あの火竜に一太刀浴びせた!!


さらに信じられない出来事を目撃する!

火竜が、あの火竜が背を向けアリステルから逃げ出したのだ!!


逃げる火竜に向かい、信じられない距離を飛び、蹴りをお見舞いするアリステル。


そして火竜と絡まり合い、農村地帯の方に落ちて行った…


できの悪い夢のような光景。

「アイツの方が…よっぽど化け物じゃないか…」

俺は再び気を失った。



◇◇◇◇◇

第二王子クロード視点


ズズンッ!!

揺れる王城。


ここは王城地下深くにある天使の間。

ここまで揺れが伝わってくるとは…おそらく外は地獄と化しているだろう。


パラパラと天井から小さな石屑が降ってくる。

「ひっヒィイ!」

情けない声を出す我が父、ランバード14世。


そして頭を守り蹲る貴族達。


ランバード3世は国民のために、あの火竜に立ち向かったと言うのに情けない話だ。


「や、やむ得ない…また天使さまのお力を借りるとしようぞ!!」


天使の骸に国宝である錫杖を捧げようとする王。

「王よ!おやめください!!そんな事をすれば更に強い魔獣が…」


「煩い!!たとえ更に強い魔獣が現れたとしてもこの王国に出るとは限るまい!!」


「そ、そうだ!!そうだ!!王の言う通りだ!!!」

王子である俺に歯向い、王に味方する貴族達。


他国を犠牲にしてでも自国を守る…国を守る王として正しい考えなのか…


アルフレアならこんな時、なんと言うだろう…



アルフレア…か…我が妹は小さな頃から天使の夢を見ると言っていた。


夢の中で天使はいつも泣いていた。

天使は人を愛した。

その愛で人々は守られて繁栄していく…


そして、大地は人で溢れ、食料が不足していった。


豊かな地に住む人たちは、貧しい地に住む人に食料を分け与えた。


分け与えられた食料を貪る貧しい人々。


天使は貧しい人たちに、糧を得るため農地を作る方法を教え、働く事を教え、種もみを与えた。


しかし、貧しい人たちはその種もみを育てる事も働く事も畑を耕す事もなく種もみを食べ尽くしてしまった。


そして貧しい俺たちを助けろー!もっと食料をタダで寄越せ!と豊かな人たちに要求する。


貧しさを武器に豊かな人たちから食料や薬を当然のように貰う事に慣れた貧しい人々。


そんな彼らを嫌い、豊か人々は食料を分ける事をやめてしまった。


貧しい人々はタダで食事を貰えなくなり、豊かな人たちから強奪するようになる。



真面目に働き豊かになった人々を守るため、天使は心を鬼にして貧しい人々をこの世から消す。


貧しい人々が消え、世界は再び平和になる。

時が過ぎ、また人が増え、食料が不足し貧しい人々が生まれる。


そして貧しい人々が豊かな人たちを殺し強奪する

それを天使が殺す。

天使は何度も何度もこれを繰り返してきた。


ついに天使は壊れ始める。

人を助けると人が増える。

人が増えると戦争が起きる。


なら…100人守ったら、100人殺そう。

天使は人を守るたびに魔力渦を発生させ無差別に人を殺すようになった。


アルフレアはいつもそこで眼を覚ますと言う。


やはりアルフレアの言う通り、このままだといずれ世界が滅ぶ。


「王よ!天使に頼るのはもうおやめください!!」

王の手から錫杖を奪い取る。


その瞬間!

俺の胸から剣が生える。


「0番よ、よくやった」

王の腹心の部下によって刺された俺は静かに倒れる。


「錫杖を天使ルディアル様に捧げる…」

天使の骸に祈る王。


王の手から消える錫杖。


そして、まばゆい光が溢れ、天使の骸が姿を変える。


「こ、これは…」

今まで見たこともない変化に驚愕する王。


光が収まると…長い金髪の女性が立っていた。

「おおお…天使様が…天使ルディアル様が降臨…なされた」


陶器で出来た白い肌。

体の関節は全て球体で出来ている。

そして見たこともない美しい天使の翼。


身体中から操り人形の糸のような光が天に昇っている。


だが、綺麗な目には何も映っていない。


軽く手を振る天使。

バシュッ!!


一瞬で血煙になり、この世から消える王達。

この地下で息をしているのは俺だけになった…


天使はそっと俺の胸から剣を抜き取り、その傷を癒すと天使の間から出ていった…

いいね感謝です^_^

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