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リタの希望

「さぁ〜て、どうやって蹂躙しようかなぁ〜」


僕は人形の魔女ドロシー。

可愛い可愛い女の子のゴーレムマスターさ。


王様からのヒミツの依頼で、一週間かけて外れの村にやってきた。


んで、この村で暴れて〜王女とアリステルを誘き出すのが目的なんだけど…


いきなり村を全滅させちゃぁダメだよね?

何人かは生き延びさせて、王都まで救援依頼が行くようにしないと。


そこから王女様達に討伐命令が出されて…ここに来るのに2週間ぐらいかな?


まぁ、いいか。あまり早く全滅させちゃうと姫が来るまで退屈しちゃうかな。


「ジーク!出番だよ〜」

鞄からライオンのぬいぐるみを取り出す。

それがみるみる大きくなって…


20メートルの巨大なライオン型のゴーレムになる。

「ジーク。とりあえず村を半分にして〜」



◇◇◇◇◇

リタ視点


ある日の朝。

なんの前触れもなく、村は地獄になった。


唐突に、村を守る防護壁よりも大きな怪物が壁の向こうからヌッと顔を出したみたい。


そして村を守る兵隊さんも自警団のお兄さん達も食べられてしまった。


兵隊さん達が戦って時間を稼いでいる内に私達家族は教会に逃げ込んだ。



教会に次々と逃げ込んでくる村のみんな。


ズズーン!!

地上で私達、エサを探してライオンが暴れている。

怖い!怖いよ!!


窓をバリケードで塞ぐ大人達。


「だ、誰か隣町のギルドに助けを求めに行かないと」

「兵隊さんが馬で飛び出して行ったのを見た」

「なら王都から騎士団が来てくれるはずだ」

「しかし…往復で2週間以上かかるぞ…」

「いや、隣町の兵隊さんが来てくれるから、そんなにはかからないだろう…」


それでも3日はかかるし…隣町の兵隊だけで倒せるのか?


お父さん達が話し合う声が聞こえる。


恐怖に震えていた私は…

盗賊から私を助けてくれた小さな少女…

アリスちゃんの事を思い出した。


村の兵隊さん達よりもずっと強いアリスちゃん。

そのアリスちゃんが隣町で冒険者になるって言っていた。



アリスちゃんならきっとあのライオンを倒してくれる!!

私はアリスちゃんを心の支えにして、お母さん達と一緒に息を潜めて恐怖と戦った



◇◇◇◇

アリス視点


「アリス様、お父様から討伐命令が下されました」

「ほほう…内容は?」


離宮でネレイとイチャついていると王女アルフレアがやってきた。


「5日程前、外れの村に20メートルクラスの巨大な獣が現れたそうです」

「そりゃまた随分でかいw」


ソファから跳ね起きる俺。

「殺ってくれますか?」

「チャチャと片付けてくるよ」

戦闘用ローブに着替えるネレイ。


「私も連れて行って下さい」

「王女様は足手纏いだ」

「王の命令です。最前線で指揮をとれと承りました」

王に嫌われてるなぁ姫さまはw


◇◇◇◇

中庭に出ると王女の騎士団(プリンセスガード)100名がレイチェルの指揮下の元、出発準備していた。


「馬車で行くの!?」

「はい」


俺は無言で姫さまを抱っこする。

これこそ本当のお姫様抱っこだ。

「な、何を?」

驚く王女。


「ネレイ、背中に乗れ」

「はい」

背に乗り、ギュと両足で俺の胴体を締め付けるネレイ。


「レ、レステル 殿!?何をする気ですか?」

いきなり姫を抱っこしネレイを背負った俺に驚く女騎士レイチェル。


「走っていく。お前らは後から来い」

俺はそう言い残すと…全力で外れの村を目指して走り出した



◇◇◇◇◇

「村がめちゃくちゃだ」

王都から最短ルート、文字通り一直線で駆けてきた俺。王都からたった7時間で到着した。


そこで見たものは、俺が初めてやって来た村の変わり果てた姿だった。


廃墟となった村の中央に巨大なライオンが寝そべっている。


「ひ、ひぃひぃ…」

お姫様抱っこで高速移動を体験した王女は息も絶え絶えだ。


「ひどい…」

村の現状を冷静に把握するネレイ。


あっちこちに倒れている兵士達や冒険者らしき者達。


蠢くブリキ(!?)の鎧をきたアンデッドや

キの字型磔台にみえる樹木型モンスターで溢れかえっていた。


生存者達は中央のボロ教会に避難しているようだ。

教会の外で冒険者や兵士達、村の男達が頑張って中にいる村の女子供を守っているようだ


俺は、王女とネレイを担いだままその教会の屋根飛び上がり、天窓から中に入った。



◇◇◇◇

冒険者チーム ストームブリンガー視点


「な、なんだアレは…」


外れの村に化け物が現れた。

俺たちはその一報をギルドで聞いた。


ギルドマスターからその村の様子を見てくるようにと依頼を受けた俺たちが村で見たのは、ヘビモスより巨大なライオンだった。


そしてその周りにいる兵士達。

しかし兵士達の様子がおかしい…

ライオンと戦う様子もなく、ただウロウロと歩いているだけだった。


それに着ている鎧も鉄や革でもないブリキの鎧だ。

ブリキなどその辺の小枝でも貫通できる。なぜあんなものを?


さらに奇妙な物が蠢いている。

キの字型した磔台のような植物だ。


人をその身に縛りつけるためなのか、手と足と胴体部分からロープのような触手を出している。


あ!逃げ遅れた若い女性がその磔台の植物に捕らえられ、磔になる!その姿はまるで案山子のようだ。


その女性を助けようとした男性がブリキの鎧を着たアンデッドに襲われ…その男性もブリキの兵隊にされてしまった。


「ロイ!どうするの!?」

「助け出すのは無理だ。ブリキや磔台は兎も角、あんなでっかいライオンは倒せない…」

「我々に課せられた依頼は偵察です。」


俺達は報告する為撤退しようしたが…遅かった。

無数のブリキの兵士や磔台の化け物に取り囲まれていた。


「糞!!逃げ道はない!教会の兵士達と合流するぞ!」


俺たちは教会に走った。



◇◇◇◇◇

リタ視点


(アリスちゃん助けて…アリスちゃん私達を助けて…アリスちゃんアリスちゃん)

心の中でアリスちゃんに助けを求める私。


教会に立て籠もってからもう何日が過ぎたのだろう。

教会の外で兵隊さんや駆けつけてきた冒険者さん達が戦ってくれている。

けど…


「リタ…リネ…お父さんは行ってくるよ。」

「お、お父さん…」


「兵隊さん達だけだとここは守りきれない。だからお父さん達も戦ってくるよ」


「や、ヤダ…お父さん…」

止めようとする私の手をお母さんはそっと抑える。

父に別れのくちづけをするお母さん


隣のおじさんも、お兄さんも鍬や鋤を手に取る。

ヤダ…みんな食べられちゃう!

大きなライオンに食べられちゃう!!


「アリスちゃん!!!助けてぇ!!!」

心が裂けそうになり、ついにここに居ないアリスちゃんに助けを求める声をあげてしまった。


「おう!助けに来たぜ!!」

その私の前に、教会の天井から小さな女の子が飛び降りてきた。


その女の子は白いエプロンドレスに水色のスカート。

頭には大きなウサギさんの耳飾りを付けていた。


見間違うハズはない。

こんな格好した女の子は一人しかいない!

「アリスちゃん!!」


「リタ、久しぶりだな!」

冒険者になって少し口調が男らしくなったアリスちゃんがそこにいた。


「アリスちゃん!!!」

こんな絶望的な中でもニヤリと笑うアリスちゃんを見て私は自然と微笑みが出た。


「おら、おっさん達邪魔だ。あとは俺が殺る」

アリスちゃんは自分の身長より大きな黒い剣で、扉のバリケードを払い飛ばす


「ネレイは中の人間と姫さまを守ってろ!死人を出したら一週間の放置プレイだからな!」


「は、はい…センセ、頑張ります」

アリスちゃんの声に顔を紅くして答える女の子と

お姫様と呼ばれた綺麗なドレスを着た少女


「ア、アルフレア王女さま!!!」

大人達が一斉に膝をつき頭を下げる。


「皆さん、もう安心です。私の騎士がこの村の魔物を1匹残らず殲滅する事でしょう!」


お姫様の言葉に沸き立つ村のみんな!

「我が騎士アリステル・レステル!魔物を皆殺しにしなさい!」


「仰せのままに」

お姫様に一礼して、ドアの外に出て行くアリスちゃん

アリスちゃん、冒険者じゃなくお姫様の騎士になったんだ…すごい…


私はアリスちゃんの姿に安心し、そのまま気を失うように寝てしまった…

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