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ゾルダー教とケーキ

王家の陰謀に巻き込まれる襲撃を受けたアリス。

「し、信じられん…12人だぞ…12人のゾルダー教徒が…本当に死んだと言うのか!?」


「チャーク卿…誠に申し訳ありません」

コーシギン・チャーク侯爵にひざまづく黒衣の男。

ただその声に感情はない。


「ただが小娘一人殺すのにゾルダーが12人で襲って、なぜ失敗する!!」


ゾルダー教は人殺しをこそが人類を救済する手段とする一種のカルト集団だ。


彼らは生まれた時から殺人技を経典としてその身に叩き込まれ、一切の感情を教えられず、ただ教祖から与えられる使命[殺人]をを果たす為だけに生きる。

その強さはS級に並ぶ。


王家の歴史の影で生きてきた者たちだ。


そんな彼らに領地を与え、その血を代々受け継がせ管理してきたのがチャーク侯爵家である。


その王家の暗部を知るのは歴代のチャーク家当主と王のみだ。


「ワルダーは?ワルダーはどうした?」

「おそらく王女の手に落ちたかと…」


薄い髪を掻き毟るコーシギン。


先程12人のゾルダー教徒のうち、4人の死体が発見された。

どの死体も自分の矢で自分の頭を撃ち抜くと言う意味不明な死に方をしていた。


残り8人の行方は不明。

しかし、アリステルを襲撃したと思われる場所に大量の血痕が残されていた事から、恐らく返り討ちにされたのだろう。


「あの小娘…」

王国騎士団団長のカイエン将軍を一撃で倒したと言う報告は聞いていた。


だからこそワルダーにゾルダー教徒を12人も与えたのだ!


大陸一の騎士カイエン将軍でさえ、ゾルダー教徒3人に襲われたら助からないだろう。


それほどの戦力を与えたと言うのにあの男は失敗した。


「くそ…」


12人のゾルダー教徒を平然と返り討ちにするアリステルを倒せる手段はもうこちらにはない。


ならば!!


「0番よ!王女アルフレアを暗殺せよ!」


「ハッ!」

0番と呼ばれた男はゾルダー教徒のリーダーを表す番号だ。


彼らは名前を持たない。

使命のたびに番号を振られる。


0番は侯爵家5階のバルコニーから飛び降り闇夜に消えた。


できれば姪っ子であるアルフレアは殺したくない


むしろ、良い縁談に恵まれ子宝を生み、女性として平和に生きて欲しいと本気で願っていた。


「アルフレア…すまん…すまんな…お前が女王になると言わなければ…天使様のご意向に逆らわなければ…こんな事にはならなかった…」



◇◇◇◇


「はい、消去っと。」

ワルダーをアイテムボックスに入れ、死体を消去する


「あの…アリス様。私も困った時があったらそのアイテムボックス使わせてくださいますか?」

おねだり王女かわいい。


「もちろんだぜ」

多分、アルフレアは兄貴たちを消去するつもりなんだろう。


「う、うぅん…うっ!」

背後のソファーに倒れているネレイ。

どうやら初めてのコロシで熱を出したようだ。


まぁネレイも一人前になったと言う事でお祝いをするか!


普通なら赤飯を炊くところだが…よしケーキを作ろう!


「姫さま、今からケーキを作るけど食べるか?」

「ケーキ?初めて聞く食べ物ですね」


レシピはアイが知っている(再現率98%)

材料もアイテムボックスにある


「作る所を見学させて頂いても?」

「2時間ほどかかるけど?」

「構いません。面白そうです」


王城の調理場を借りる。

コックやメイド達が調理場に入ってきた王女の姿に慌てる。


「皆さんお気になさらず。少し調理場を借りますよ」

ささっと下がるコック達。


時間的にも夕食の支度の邪魔にはなるまい。


さっそくケーキを作り始める。

隣で興味深げに観察する王女。その後ろで俺が毒を入れないかと見張るレイチェル。


「王女さま。私も見学させて頂いてもよろしいでしょうか?」

とコック長らしき男がアルフレアに声をかけてくる。

「構いませんよ」

「ありがとうございます」


背後にギャラリーを集めてレッツ!クッキング。

最初は姫達とネレイ用に1ホールだけ作るつもりだったが…


ケーキの美味しさでこいつらコック長達の度肝を抜いてやろうといたずら心が湧いた。


(アイ、イチゴのケーキだ!3ホール分)

[了解。オートパイロットに切り替えます]


これであとは寝ていても完成する。


…と思っていたが…


「これはなんですか?」

と姫が質問してきたり、


「これは何をしているのでしょう?」

とメモを持ったコック長に質問されてピンチに陥った。


知らんがな!


なんでこんなシャカシャカかき混ぜているのか俺だって分からん。


アイに聞いてもレシピ通りに作業するだけです。

と言われた。


返事に困った俺は…

「ひ・み・つ!」

と可愛らしく答えて誤魔化した。


…90分後。

完成!!

我ながら美味そうだ!

イチゴの色が黄色。それ以外は完璧だ!


とりあえず毒味と称して、

1ホールをコック長やメイドさん達で食べてもらう。


ナノ単位で正確に人数分に切り分ける。

それぞれの手にイチゴのショートケーキが行き渡る。


「では、僭越ながら先に頂かせて頂きます。」

パクッパクッパクッ!


コック長やコック。メイドさん達が一口食べる。

動きが止まる…


「あの?大丈夫ですか?」

動き止まったみんなを心配する王女。


「お、美味しい…」

「こ、こんな料理があるなんて…」


再び動き出すコックやメイドさん達。

中には感極まって泣いているメイドさんもいる。


さすが俺!

[作ったのは私です]


「お、お嬢様!ぜひ!ぜひ私にこの料理…ケーキの作り方をご教授くださいませ!!」


土下座するコック長。

お、教えろと言われてもオートパイロットで作ったから説明なんてできない。


「お願いします!」

うわっ足に抱きつかれた。


「分かった分かった!明日来てやるから、見て覚えろ」


「そ、そんなに美味しいのか!?」

コック長やメイド達の反応に驚愕する王女だった。



◇◇◇◇

ネレイ視点


「うう!」

目を覚ますと離宮の天井が見えた。


手を見る。血は綺麗に洗われていた。

でも喉を切り裂いた感触は洗い流されていない。


怯え、恐怖の眼差しで私に命乞いするワルダーの

哀願を無視して喉を切り裂き、その命を終わらせた手。


ワルダーの怯えて眼を思い出すと身体が熱くなる。

私…人を殺して…嬉しいと思っているの?


ううん。先生の命令通りに人を殺せたのが嬉しい。

そして、先生が認めてくれた。私をパートナーと言ってくれた。


なら私はもう人を殺す事を躊躇わない。先生と一緒にいられるなら誰でも殺せる。


「よぉ、ネレイ!起きたな」

先生が私の隣に座る。


天使のような愛くるしい笑顔。

そしてその笑顔の下にある冷酷な微笑み。

そして、私を責める時の妖艶な笑み。


…どれも好き。


「今日はネレイが一人前になった祝いにケーキを作ったぞ」


テーブルに見たこともない料理が並べられる。

「先生の手料理…ですか?」

「おう!コック達が涙を流して喜ぶほどうまいぞ!」


皆んなの分を切り分ける先生。


テーブルに着く。

「レイチェルも座れ」

先生は王女さまでも騎士さまでもただの平民の私にも分け隔てなく接してくれる。


「さ、食ってくれ」

「「「頂きます!」」」


フォークで白い部分と薄黄色の部分を切り取り、一口食べる。


…私は何を食べたの!?

脳が味を堪能し思考が止まる。


「な、何という…美味しさ…」

「こ、これほどとは…コック長が土下座したのも分かる」

「美味しい…美味しい…」


甘すぎず、柔らかく、そして私には言葉にできないほど美味しいだ。


気がついたらお代わりをしていた。

王女さまも騎士さまも何度もおかわりをしている。


「アリスさま!このケーキのレシピを私に買い取らせて頂けませんか?」


「うん?」

「これは武器になります!」


先生はこのケーキのレシピを100万で王女に売った。

「これでこのケーキは「王女のケーキ」として勝手に販売してはいけない事にします」


王女さまはきっと、このケーキを独占して賄賂とか勧誘の手段にするんだろうな。


それにしても

自然の知識も料理の知識もある先生は本当に賢者だ。


こんな凄い先生に少しでも認めて貰えるようにもっと強くなろう。


そう決意した。

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