王女凱旋する
圧倒的火力で魔力渦を制したアリスは王女と共に帰還する。
「し、信じられん!」
「だ、誰一人として負傷しておらんぞ!」
T-REXの首を荷馬車に載せ、凱旋する俺たちを待っていたのは王子達率いる2万の軍勢だった。
今回、王都周辺に現れた魔力渦は全部で三つ。
それぞれ1万規模の軍勢を率いた第一、第二王子達が対応した魔力渦は小規模で、発生した魔獣もラプトルクラスで数にしても1000匹ほどだったらしい。
それも戦闘開始から1時間ほどで魔力渦が消失。戦死者も100名ほどで済んだ。
懸念された街や村への損害は軽微で、小さな集落が3つ約300人ほどが集落ごと壊滅しただけで済んだ。
王子達は予定通り城塞に戻り、王女達が討ち漏らしたであろう魔獣を待ち構えていた。
しかし、そこにやってきたのは魔獣の群れではなく、
微笑みを浮かべた王女と200名の騎士と俺とネレイだった。
「お兄様方、無事お役目を果たすことができました」
冷や汗を流す王子達。
なぜ無傷?なぜ生きている?
あれだけ大きい魔力渦にたった200名の護衛だけで向かわせたにも関わらず、生還した王女。
「ま、魔獣は現れなかったのか?」
そうとしか思えなかった。
「いえ、7000匹ほど現れましたわ」
「な!?」
声を失う王子達。
「そして、こちらが今回の首級です」
5メートルほどあるT-REXの生首をドヤ顔で見せる王女。
「ば、バカな…」
「胴体の方も後から到着しますわ」
王女は、俺が鮮やかに仕留めた傷の少ないT-REXの死体を見て、コレを剥製にする事にしたのだ。
「こ、コレをたった200人で…?」
「いえ、殺ったのは私の友人のアリステル・レステル様ですわ」
友人になったつもりはないが王女の顔を潰すこともないだろう。
「こんにちわ〜アリステルですっ。アルフレア様とは懇意にさせて貰ってます」
可愛くスカートを摘み挨拶した。
「ブホッ!」
吹き出すネレイ。
「うっ…くっ」
堪える王女アルフレア。
ネレイのヤツ、今夜は王城にあるであろう拷問器具で虐めてやる!
「あ、あぁ…初めまして…マドモワゼル?」
ほぅ、第一王子は少女漫画に出てくるような金髪爽やか系イケメンだ。
「お前が…本当に倒したのか?」
第二王子は黒髪のハンサム悪役といったコレまたイケメンだった。
「はい、この背中のコレでえいっ!と」
くるりと後ろに振り返り、背中のドラゴン殺しを見せる
「ま、お兄様方。立ち話はここまでにしてお父様に報告致しましょう」
アルフレアは俺の手を取り馬車の中に戻る。
「レステル様…お兄様達がいくら美形でも、取り入られないでくださいね」
「な!?俺が男に惚れる訳ないだろ!!」
うんうん頷くネレイ。
「そ、そうでしたわ。貴方達はそう言う関係でしたわね」
アルフレアには俺たちの関係がバレているようだ。
別に気にしないが。
王都に入る前に隊列を組み直す。
第一王子を先頭に第二王子が続き、その後ろをT-REXの首を載せた豪華な荷馬車が続く。
そのT-REXの首の横に設えた豪華な椅子に座る王女アルフレア。
王女がT-REXを討伐したと国民にアピールするためだ。
隊列が王都に入ると大歓声が上がった。
王子達に声援を送る者や魔獣の首級を上げた王女に対する称賛の声。
そして、俺のウサ耳センサーが捉えた王女が生きて帰ってきた事を罵る声などで溢れかえっていた。
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