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カレーライス

3週間の長旅の末、ついに王都に辿り着いたアリステルとネレイ。

「おーーー!ここが王都かぁ…」


あれから3週間、のんびりネレイと科学の話や魔法の話をし、時には魔物と戦い、時にはエッな事をしたりのんびり歩き続けた。


そして、ようやく王都に辿り着いたわけだが…


「でけーなぁ!!」

王都を見渡せる小高い丘の上からその一望を望む。


中央に大きなお城があり、そのお城を囲むように城壁があり、その城壁の外に貴族街が広がり、さらにその貴族街を囲むようにまた城壁があり、その城壁の外に市民街が広がっていた。


さらに王城を守る城門には巨大なドラゴンの翼のような化石が埋め込まれている。


「あのドラゴンの翼の化石は神代の時代に天使様がこの国を襲ったドラゴンから斬り落とした物とされてます」


「ドラゴン!?どこにいるの!?」

「ド、ドラゴンは500年前に絶滅したらしいですよ」

なんだ残念。



「あ、そうだ。先生、良かったら私の家に泊まりませんか?」

「そう言えば、ネレイはここの神学者だったんだな」


「えぇ、小さな家ですけど私しか住んで居ませんし、お気遣いなく泊まってください」

「ん、じゃお世話になるか」


途中、商店街による。


おぉ…エルフだ…ドワーフも…あれはハーフリングか?


それに…ツノとコウモリの翼を生やした悪魔のような人間もいる

「ネレイ…王都の人間は魔族とも交友があるのか?」


どう見ても悪魔にしか見えない人間?が買い物カゴを持って、屋台のおばちゃん相手に大根を値切っている。


「えぇ、昔から魔族の方達と一緒に働いたりしてますよ」


魔族と仲良しなのか…意外とこの世界は平和?


魔王相手に力試しをする目論見が消えた。


「先生、今夜の食事は何が良いですか?」

「うーーん、カレーライス!」

「カ、カレーライス?」

「辛くて美味しい料理なんだが…知らないか?」

「はい…初めて聞く料理です」


(アイ、ここにある食材でカレーライス作れるか?)

[スキャンします…カレーライスに酷似した物なら制作可能です]


お、作れるのか!


「なら、今夜の食事は俺が作るよ」

「え!先生の手料理を食べさせて貰えるんです!!嬉しい!!!」


アイに必要な食材と量を指示してもらい買い集め、ネレイの家に向かった。



◇◇◇◇

トントン…鮮やかな包丁捌き。

無論、俺は料理などできない!!


何せ、簡単レシピにあった卵かけ御飯を作ろうとして、卵を綺麗に割れず、卵の殻かけご飯になったくらいだからな。


なので俺は身体のコントロールをアイに任せ、オートパイロットで料理している。


見ろ!!このアリステルの超高性能をハンドを!!


握力五トンを超えるアリステルのマニュピレータで卵を割らずに掴めるのだ!


さらに微妙な力加減と角度で包丁を操りジャガイモの皮を1ミリの厚さで途中で千切れる事なく剥いていく。


「先生…すごい。」

ふははは!!

このアリステルはただの脳筋戦闘仕様ではないのだ!!


一流の料理人としても活躍できるのだ!




「美味しい!!!」

再現率90%のカレーライス。

白いライスに白いカレールー…味は間違いなくカレーライスだったが…ご飯にお粥をかけているようにしか見えない。


ネレイが喜んでくれてるから良いか!

「これがカレーライス!この辛さが食欲が増しますね」


ネレイの前髪で隠れた瞳が輝いている。

「何杯でもいけますぅ!」

「おう、たっぷり食べてくれ」

コクコク頷くネレイ。


そして濡れた布で互いの身体を拭きあってから一緒にベッドに入る。


「せ、先生…きょ、今日も…縛って…ください…」

すっかり特殊性癖に目覚めてしまったネレイ。


まぁ目覚めさせた責任はとる!

俺はネレイを縛り上げた…




次の日

「先生はすぐ王都を出るのですか?」

昨日のカレーライスで朝食を取っていると、ネレイが聞いてきた。


「うーーーん、冒険者ギルドに行って強敵とかの情報が手に入れば直ぐにでも出発するつもりだ」


「なら、ギルドに案内しますね」

それは有難いが…


「ネレイ、学校は?」

「はい、神学校には退学届け出しますから大丈夫です」


さらりと人生の大事な決断をするネレイ。

「おいおい!退学する事ないだろう!?」

「いえ、もう神学で学ぶ事はありませんし…先生から学ぶ科学技術の方が大事です!!」



◇◇◇◇◇

「じゃ、休学届け出してきますね」

退学すると言い出すネレイを説得し、1年間の休学届けを出す事でなんとか収まった。


俺は、神学校に向かうネレイに同行する。

一度、この世界の学校という物を見学したかったからな。


あっちこっちから「なんだあの剣!?」「オモチャだろ?流石に!!」「可愛い、お人形さんみたい」

など称賛やら畏怖と言った学生達の声が聞こえる。


その声に隠れて…

「チッ!ネレイの奴、生きて帰ってきやがった…」

「あの異端者め!」


その声が聞こえたのか、走り出すネレイ。

俺はその後を追いかける。


「いいのか?」

「はい、いいんです…もう私には関係ありません」


ネレイがそう言うなら俺が口を挟む事はない。


ないが…

「おい!この神学の面汚しめ!」

休学届けを出し、授業が始まったのか人気のない校庭を歩いているとさっきの悪口を言っていた男子生徒3人と女子生徒2人が絡んできた。

お前ら、授業はどうした?


「あら、ハウンドウルフの餌にならずに帰れたのね」

「悪運だけは強いのね」


ふむ…イジメってやつか?

しかし…ハウンドウルフがうろつくような所に1人置き去りにするのはイジメの限度を超えている…。


「先生…行きましょう」

あいつらシメてやりたいところだが…


「なんだネレイ!そんなガキ連れて」

「隠し子かぁ?」

「しかもこんなでかいオモチャの剣担がせて、冒険者ごっこか?」


それでも無視して歩くネレイ。


「待てよ!!」

グイ!

「いてぇ!」

いや、痛くはない。つい反射的に言葉が出ただけだ。


ネレイに絡む男子学生の1人が俺の美しいロングヘアーを無造作に掴んだのだ。


「何するんですか!!」

男子生徒に掴みかかるネレイ。

俺に被害が及んだ事で、流石にネレイもキレた。


そのネレイを押さえつけるもう1人この男子学生。


「抵抗すんじゃねーよ!!」

バシッ!!

ネレイの頬を叩く女学生!



ブチッ!

俺も我慢の限界だ。


「いつまで人の髪を掴んでやがる…」

俺の髪を掴む男子学生の手を握る。


「なんだいお嬢ちゃん?こんなちっちゃな手で何ができる……ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


「精液クセェ汚ねぇ手を握り潰す事ぐらいはできるさ」


男子学生の手にゆっくりと握り潰さないように100kgの圧力を加える。


「ひぎゃぁぁぁぁ!!ひぎゃぁぁぁぁ!!離して!!ひぎゃぁぁぁぁ!!」

鼻水を流し号泣する男子学生。


「オラオラ、どうした?子供に手を握られただけで情けない声だして?」


「テメェ、モーブを離せ!」

殴りかかってくるもう1人の男性学生。

パシッ。

軽く手のひらで受け止め、握りしめる

「ぴぎゃぁぁぁぁぁ!!」


小便まで漏らし始めた…

「チッ…汚ねぇなぁ…」


ネレイを羽交い締めにするもう1人の男子学生を睨みつける。


「ひっ!」

ネレイを解放する。


「おい、そこのネレイを殴った女!」

「ひゃ!」

女学生2人は腰を抜かしているようだ。


「ご、ごめんなさい!!」

土下座する2人。


[周辺に目撃者はいません。殺るなら今です]


「先生!も、もう止めてください!!」

俺は2人の手を解放する


手を押さえ地面に蹲る男子学生2人。


「おい…次、ネレイにチョッカイ出したら殺るぞ」

「ひっ!ヒィィ!!」

逃げ出す学生たち。


「ごめんなさい、私のせいで先生に迷惑をかかてしまって…」

「気にするな。荒事は俺の存在理由さ」


「先生って…見た目通りの年齢じゃないですよね?…もしくは王女教育を受けてるとか…ってまさか王女様じゃ!!!」


「違うって…」


と少々トラブルに巻き込まれたが、俺たちは無事ギルドに着いた。





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