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ショッピングホッピング2

 フードコートに行き、うどんを啜る。お嬢様は大盛りのぶっかけうどんにかしわてん、海老天、卵天、かき揚げとその細い体のどこにその量が入るんだという量を注文。


 僕は温玉ぶっかけの小。


 この体になってから本当に体にご飯が入らない。美味しいものをたくさん食べることができなくなるというのは結構辛い。


 「お嬢様、次はどこに向かいますか?」


 ズルズル。僕は温玉は5割を食べ切ってから割るタイプ。


 「服ね、ついでに身長とかも測っちゃいましょう」


 ズルズル、バリバリ。お嬢様は天ぷらをうどんの出汁につけない。何やら食感がなんたらと言っていた記憶はある。

 「ご馳走様でした」


 そう言って、トレーを返却口に運びに行くお嬢様。あまりにも僕のトレーを自分のトレーと重ねる動作が自然だったので、僕はお嬢様のことを止められなかった。


 今まで、こういったことは僕が全部やっていたのだが僕がこの体になってからお嬢様は手伝ってくれるようになった。


 それは人としては成長とか言うのかもしれないけど、僕は素直には喜べない。


 なんか、僕っていらなくなっちゃうのかなぁなんて。重いな僕って。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 冬神 刹那視点


 どーも、最近傑のせいで情緒が安定してない冬神です。


 おい、どうすんだ傑の破壊力ヤバいぞ別に今までなんともなかった傑の行動一つ一つが可愛い。


 重い荷物を一生懸命運んだり、お皿洗ってくれたりさ、なんかいいよね。結婚とかしたらこんな日々が続いたりするのかなぁ?家事の分担とかしちゃったりしてさ、私の家事の腕がないことを責められたりして喧嘩したりさ。


 そんな私達は現在ショッピングモールに来ている。


 傑の下着とか普段着とかを買うためにね。


 傑の立派なお胸に私は敗北を喫したけど、もう立ち直っている。


 だからうどん屋で大量注文をしたのは食べれば脂肪がついてあわよくば、なんて考えていないんだから!


 最近私は気がつかえる人間アピールに忙しい。昔読んだ雑誌に書いてあったのだ、気がつかえるアピで気になるあの子を落としちゃえと、だから食べ終わったうどんのトレーを傑の分まで運んでいる。


 次は少しとんがった言い方をしてしまうのを直さないとね。


 これ治るのか?最早無意識のうちにツンツンしちゃうんだけどさ。


 お昼ご飯を食べ終わった私たちは『グー』というリーズナブルが売りの服屋に向かう、取り敢えず今はそこまでお金を使える状態ではないので服の枚数を揃えることが優先。


 着飾るぞー!


 「なんか傑が着たい服はないの?」

 「そうですね、今まで来てたようなボーイッシュな方が良いです」

 「成る程、そう言うことなら任せなさい」


 ボーイッシュ?今の自分の見た目を見たことがあるのかい?まぁ確かにそれだけ可愛かったらTシャツ一枚とかでも絵になるかもだけど、違うでしょ?


 ロリ巨乳黒髪美少女に着て欲しいのはやっぱり……。


 という訳で私は手に取ったのは少し落ち着いた色のノースリーブやふんわりとしたデザインのブラウス、やっぱり王道フレアスカートやらなんやらをたくさん取って傑のところに戻る。


 「はい、これ」

 「はい?」


 傑は眉を顰める。パチパチと瞬きをした後にゆっくりとこちらを見てきた。


 「大丈夫。似合う似合う。よし行ってこいオシャレガール」


 狐につままれたような表情の傑はフィッティングルームに向かう。ついでに私もイン。


 「お嬢様?」

 「ほらほら、着方とかわかんないでしょ?教えてあげるからさ」

 「お手柔らかにお願いします」


 渡した服をどんどん着ていく傑。心を無にして着せ替えられ人形として生きていく決意でもしたのだろうか?


 靴下やベルトとかの小物も忘れずに購入して着疲れでヘトヘトの傑と店を出る。傑は買った淡い緑色のフレアスカートと、白のブラウスをそのまま着ている。リーズナブルが売りの店であっても三万五千円と印刷されたレシートを受け取ることになった。


 「何かすごい視線を感じるんですけど」


 ショッピングモールの食品売り場に向かう道中、小動物のように体を縮こめる傑。


 「気のせいよ。私を見てるのよ、ほら私って綺麗だからさ」


 おい、なんでこんなこと言ってんだ私。傑が心を読める能力の一つや二つ持っていたら私も強く当たってしまうことを悩む必要がないんだけど……。


 いきなり言動が変えるのも意識してバレそうだから、さりげなく少しずつ態度を変えることに決めたのだが、行動の方はできてもどうも話す方がうまくいって無い。


 傑って元々私の安らぎの場所みたいな存在だったから砕けた話し方になっちゃうんだよな。


 話を戻すと実際、傑は確実にジロジロ見られている。サラシから解放された胸、可愛い洋服、そしてもちろん傑自身もものすごく可愛いからね。


 慣れない視線にビクビクしている傑が少し可哀想になったので、傑を通路の壁際に寄せて私の体で視線をシャットアウトしてあげた。


 まぁ、私はこういうのに慣れてるからね。伊達に十七年美少女をやっていない。


 ショッピングモールのスーパーマーケットで夜ご飯の材料のカレーと明日の昼ご飯のパスタソースを飼って帰路に向かう。


 家に帰る電車でスマホを見ていると、お母様に頼んでおいたあることの準備が終わったというメールが入っていた。


 ふっふっふっ、これで傑と関われる時間が増えるぞ!


 その準備というのは、花鳥高校に傑を入学させるための裏回しである。


 冬神財閥が後ろだてとなって、経営をしている高校だから入学させること自体はそこまで難しくはない。


 女子校のため、傑は入れられないと最初は返信が返ってきてたが、女の子になったと写真を添えるとすぐにオッケーが出た。

 この頭の切り替えはさすが経営者だ。

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