気を確かに
冬神 刹那視点
「傑ー、帰ったよー」
いつもだったら「おかえりなさいませー」と返ってくるのだが、それがないのだから傑はまだ帰ってないのだろう。
と思いきや、リビングに電気が付いていて、買い物袋もあるのだから傑は帰ってきているのだ。
もしかしてと思い、死角になっているソファーの方を見ると傑が横になって苦しそうな顔で横になっていた。
「傑?大丈夫?」
「お……お…じょ…う…さま、申し訳ありません。ちょっと、体調がす、ぐれ、なくて」
「全然良いわよ、二人暮らしなんだから頼り頼られで……」
傑の様子を見ると、どうやらお腹の下の方を押さえている。
「傑、もしかしてさ、あんた最近心が安定しないとかない?」
「いや、あの、それは」
「あるのね」
「は、はい」
私は自分の部屋からいろいろなものを持ってきて傑に渡して、トイレに向かわせた。
「傑、気をしっかり持ってね」
一応言っておいた方がショックも減るだろう。
「えぇーー!何、何?」
傑の大きな声がトイレから聞こえてきた。
「多分、その、思ったより、ショッキングなのかもしれないけど、いや、うん。ごめん」
「その優しさがなんか嫌です!」
成る程ね、傑の様子がおかしかったのはこのせいか、傑は情緒が不安定になるタイプか出血量はそんなに多そうじゃあないけど。
「ねぇ、使い方わかる?」
「はい、一応、形的に予想はつきます」
「じゃあ、もう寝てなさい。後は私がやっておくから」
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家に帰って来た時には僕の体の重さは気のせいのレベルではなくなっていて、買い物袋を置いたところでソファーと一体化してしまった。
それだけではなくて、お腹の下のあたりが滲むような鈍痛もあったからどうにも動けない、というか動く気になれない。
お嬢様が帰って来たのはわかったけど、あんまり大きな声が出なかった。
僕の顔を覗き込むように見てくるお嬢様の顔を見て思わず目を背けてしまう。
お嬢様は僕の様子を見て何かに気づいたのか僕に質問をして来て、それが全部当たっていた。
そうしてお嬢様に何やら袋を渡され、トイレに行かされる。
その時のお嬢様の表情は暖かい、母親のようだった。
何やら気を確かにと言われてショーツを脱ぐと血がべっとりとついていて、自分史上最高の出血量をやすやすと更新している。
ひぇ、何これ……。
お嬢様に言われて初めて思い至ったけど生理だったのか、女の人ってこの量の出血を毎月経験してるの?
お嬢様に渡された袋の中には、ナプキンと新しいショーツが入っていて僕は一枚取り出してみる。
えっ、この小さいのにそんな防御力あるの?あんまり信用できないな。
多分形からして折って使うんだろうけど……
取り敢えず、ショーツを履いてお嬢様に寝ていろと言われたので、今度はベッドと一体化して目を閉じた。
「入るわよー」
ノックの音とお嬢様の声が聞こえて、僕は目が覚めた。
時計を見ると、もう20時になっていて、さっき飲んだ鎮痛剤が効いたのか痛みは完全に治ったとは言えなくとも、大分マシにはなっていた。
「どうぞ」
そういうと、お嬢様は部屋の中に入ってきてベッドに腰掛けている僕の隣に座った。
その手にはお盆があってその上には卵雑炊が乗っていた。
「ねぇ、傑、食べさせてあげる」
「えっ、あっ、じゃあ、お願いします」
お嬢様はスプーンで掬いあげた雑炊をフーフーと冷ましてから僕の口に運んでくれた。
「一応、ネットにあがってるレシピ見ながら作ったから味は心配ないとは思うけど」
「ハフハフ、美味しいです。ありがとうございます」
僕の顔は多分耳まで真っ赤になっているだろう。それは卵雑炊が熱かったからではないということは言っておきたい。
短めです




