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要するにロリ巨乳

 起こったことを思い出し、かけられている布団を蹴飛ばしてリビングに向かうと、そこにはお嬢様が……


 「も、申し訳ありません。私としたことが、執事失格です」


 「ああ、いいのよ私、今日学校休んだから」


 「僕のためにすみません」


 「ちょうど私も休みたかったし……」

 

 僕の耳にはそこから先の声は急に小さくなってしまって、よく聞こえなかった。


 せめて洗濯だけでもと思い、洗面所に行くともうすでに乾燥機にかかった洗濯物がある。


 洗面所からお嬢様の方を見ると、ドヤ顔でこちらを見てくる。


 あまりに微笑ましかったので、僕の頬も緩んでしまった。

 

 「ありがとうございます。お嬢様」


 「まぁね、あんた休みなんてないくらい働いてるから、たまには」


 「今日の夕飯はロールキャベツにしますね!」


 「あんまり期待してないけど」


 そうして、冷蔵庫を開けて僕は気づく。


 なっ何も入ってない……


 いつもお嬢様が学校に行っている間に、買い物に行くのだが、今日はそうはいかなかった。


 「申し訳ありません、お嬢様、買い物に行ってきます」


 お財布と鍵と、エコバッグを急いで手に取り玄関に向かう。


 「待ちなさい!」


 お嬢様に呼び止められ、振り向くと顔を真っ赤にしたお嬢様がそこにいた。


 「あんたね、自分の格好見たことある?」


 そう言われて、今の自分の格好を見るとお嬢様が引き止めた理由もわかる。


 朝から着替えておらず、サイズが合っていない上下セットのスウェットの上は両肩が見えており、下は気づかなかったが何も履けていなかった。


 というか、ノーパン……上のスウェットが一応の露出を防いでくれてはいるが、この格好で外に出たら痴女として捕まってしまう。


 危なかった……


 「どうしましょう」


 「私の服を貸してあげるから」


 「サイズが合うとは思えませんが」


 お嬢様は女性の平均よりも高い百六十四センチ、対して僕は少なくとも十センチ以上の差がある。

 

 「あんた、お母様に言われて私の小さい頃からの服とってあるでしょう?それを貸してあげるって言ってるのよ」


 「よろしいのですか?」


 「いいのよ、私が言ってるんだから拒否しない!私が選んであげるから!」


 そう言うと、お嬢様はクローゼットに向かいしばらくして戻って来た。


 手渡されたものを見て僕は愕然とすることになる。


 お嬢様の下着……後、これはワンピース。確か中学一年生の時に気に入って着ていたもの…


 「お、お嬢様、僕にこれを履けと?」


 パンツとブラジャーを両手に持ちながら、ビクビクとお嬢様に問いかける。


 「もちろん」


 そう言った時のお嬢様の顔は何を当たり前のことを?という表情。僕は知っている、この顔をした時のお嬢様は絶対に意見を曲げないことを。


 「み、見ないでくださいね」


 「なっ何、一丁前に羞恥心持ってるのよ!ほらっ、後ろ向いてるから早く着替えなさい」


 抵抗感が僕の手を下から上にすることを、拒否させる。

 

 ええい、ままよ。


 漫画でしか見たことがない掛け声と共に、一気に引き上げる。


 男の時にはなかったフィット感に、僕の体が変わっていってしまったことを実感してしまう。


 そして、さらに抵抗がある今まで一度も身につけたことがないそれをつけたところで、事件が起こった。


 きっ、キツイ。


 実はずっと思っていたのだが、この小さな体の割に僕の胸は大きかった。


 前にも言った通り、お嬢様の胸はDカップ。それよりも確実に大きい上に、体格差のことを考えると……


 「あっ、あのーお嬢様」


 「何、終わった?見るわよ?」


 「あっ、ちょっと待」


 下着姿の僕を見て、お嬢様は顔を赤くする。


 そして、僕の圧倒的な重量に耐えることができなかったブラジャーのホックの金具が、歪んで外れてしまった。


 上裸になった僕を見たお嬢様は鼻血を出してまたすぐに、後ろを向き直す。


 「バカッ!着替え終わってないじゃない!」


 「すみません、ええとですね、見ての通りサイズが……」


 「じゃあ、サラシでも巻きなさい。そのサイズじゃあつけない方が逆に辛いでしょ?」


 言われてみればその通りで、動くたびに確かな重量感がある。


 「サラシですか?どうすれば?」


 「はぁ、全く駄目執事改め駄目メイドね。見るわよ、胸は手で押さえてなさい」


 「申し訳ありません」


 弓道をやっているお嬢様は、いつもサラシを巻いて練習に向かう。それを貸してくれるのだろう。


 「触るわよ」


 脇から手を入れられ、胸に触れられる。


 「ひゃん」


 変な感じがして思わず声が出てしまう。


 「何変な声してるのよ」


 「申し訳ありません」


 お嬢様は借りて来た猫のように動けなくなった僕に、スルスルとサラシを巻いていく。


 「終わったわ」


 「ありがとうございます」


 そうして、半ばヤケクソにチェック柄のワンピースを着て僕は買い物に出かけて行こうとした。


 「ちょっと待ちなさい!」


 またお嬢様に止められる。


 「私も行くわ」


 「いえ、これ以上手を煩わせるわけにはいきません」


 「あんたね、こんなに可愛い女の子が一人でこんな時間に買い物に行ったら連れ去られちゃうわよ!」


 「まだ十七時ですし……ここらへんは治安もいいですし大丈夫です」


 「うるさい!私の言うことが聞けないの?」


 お嬢様のあまりの剣幕に、僕は何も言い返すことが出来ず、一緒に買い物に行くことになった。

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