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捕虜、ときどき聖女  作者: きなこもち
第1章
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よん

話が終わったら魔王様とリテアちゃんは部屋を後にした。


誰もいなくなった部屋で一人考える。

自分が思っていたよりも自分の立場というのは大切だったらしい。


なんというか少しプレッシャー。

でも、人とは違う力を持って生まれたっていうことは、自分しか出来ないことがあるっていうことなのかもしれない。そして、それをするのは力を持った人の義務な気がする。

だったら私は頑張らなきゃいけない。


もちろん見返りは求めるけどね。


難しい話を聞いて色々考えたからなのか少し疲れた。


伸びをしたあと、お風呂に入りたくなったのでソファから立ち上がる。

そしてドアの近くにあるボタンの前に立った。


確かこのボタンを押したら、誰かが来るんだっけ。

ひとまずボタンを押してみる。


なんか至れり尽くせりだな。

執事を呼ぶお嬢様みたい。


しばらくして、ノックの音が響く。


「はーい」


返事をすると、ドアの外からグレースさんと誰か知らない人の声が聞こえてきた。


「捕虜ちゃん〜。何か用かしら。」


「グレース、本当に聖女が居るんだな?」


ん?誰だ?

声だけ聞く限り若い男性みたいだけど……。

またイケメンとかなのかな?


私は扉越しに返事をした。


「あの、お風呂入りたいなって。」


「ふっ風呂だと?!おい!グレース!まさか、女性の入浴の見張りをしろといってるのではないだろうな?!」


扉の向こうで焦った声が聞こえる。


てか、この扉て私が開けられるのかな?

勢い任せてドアノブに手をかける。

すると簡単に開いてしまった。


……まじか。

いや、セキュリティはどうなってるんだ??


扉の向こうにはグレースさんとあともう1人灰色の狼がいた。


……え?……狼?

私の頭の中ははてなでいっぱいだった。


どこからどう見ても狼。もふもふの藍色の狼。

でも、そのオオカミが平然と二足歩行をし喋っているのだ。


だから、私は戸惑っているその狼と笑いを堪えているグレースさんの前でこんなことしか言えなかった。


「うわ〜。凄いもふもふ。」


「は?」


狼が戸惑った声を上げる。

グレースさんは堪えきれずに吹き出した。


「んふふふふっ。やっぱり予想通りの反応ねぇ。んふふ」


グレースさんが笑いながら狼の肩をバンバンと叩く。

それによって毛がもふもふと波打つ。


狼は毒気を抜かれた表情でため息をついた。


「はぁ〜。まったく……。おい、聖女!聞いているか?」


「はっはい聞いています。」


「俺は断じてもふもふではない。れっきとした狼の獣魔で第3軍団団長のヴォークだ。」


は、はぁ……。

第3軍団団長さん……。ってことは魔物か。


で、その方が私になんの用だろう?


「私に何か用でもあるんですか?私お風呂に入りたいんですけど。」


私、魔王様と戦ってから1度も風呂に入った記憶ないから、このままはいやなんだけどな。

一応着替えてるみたいだけど。


「ふっ風呂はあっあとで入れ。」


真っ赤になるヴォークさん。

なんでそんな照れてんだ?


「貴様には確認したいことがあってだな。」


確認したいことか。なんだろ。


「単刀直入に聞こう。貴様、魔王様に楯突く気はあるか?」


「ないです。」


あっけらかんという私に、ヴォークさんは若干の戸惑いを見せる。


「貴様……。人間共の手の内のものでは無いのか?」


「いや、人間代表になった気はありませんよ。ていうか、魔王様と戦おうとしてるのあの王太子達だけだし。」


肩をくすめて言う。


あの馬鹿のせいで疑われてたんかい。

こんな至れり尽くせりで魔王様に楯突く気はないよ。


「そ、そうなのか……?」


「はい、他の国は魔物と共存してますし。ていうか、そんなことよりお風呂入りたいです。」


ここぞとばかりにお風呂を要求する。

ヴォークさんはそれならまぁいいと立ち去っていった。


あれ……?お風呂は……?


華麗に無視されて、ショックを受けているとさっきまでずっと笑っていたグレースさんが口を開いた。


「ごめん、ごめんねぇ。あまりにも面白くて。んふっ。お風呂、お風呂ね。着いてきて。」


グレースさんは歩き出した。

でも、私の足には鎖がついている。


「あの、鎖……」


「大丈夫よ。それ、どこまでも伸びるから。お風呂場入ったら勝手に外れるわ。」


え、すごいハイテク。


私はそのままグレースさんについて行く。

歩きながらもグレースさんはずっと笑っていた。


「そんなに面白いですか?」


若干ムカついてきた私が聞くとグレースさんが私の方を向いて言った。


「だって、面白いじゃない。あのヴォークのことをもふもふって。んふふ。」


だって、もふもふしてたんだもん。

処理落ちした脳がそれしか読み取らなかったんだからしょうがないでしょ。


「てか、あんた、捕虜だってのに随分とくつろいでるじゃない。よく、面の皮が厚いって言われない?」


「面の皮が厚いとかは言われたことがないですけど、でも、捕虜に有るまじき待遇じゃないですかこれ?」


グレースさんは呆れた表情を浮かべる。


「あんたねぇ……。捕虜って言っても聖女は本来こんな扱い受けるのよ?どんだけ雑だったよの。あんたんとこ。」


雑って言うか、酷かったんだけどね。だいぶ。

何も言わない私にグレースさんはため息をついて立ち止まる。


「はい、この扉の向こうがお風呂よ。あとこれ、スキンケア用品。あんた可愛いんだからもっと気を使いなさい。」


どっさりと荷物を渡される。

その後、美容や肌に対するアドバイスを沢山貰ったあと。グレースさんは


「着替えもそこに入ってるから。」


と言い、去っていった。


私は扉を開けて中に入る。中は高級感溢れる品のいい脱衣所だった。

いつの間にか鎖が消えている。


うわっお風呂の扉がガラス張りだ。ホテルかよ。


荷物を置いて、服を脱いでお風呂に入る。

湯船には暖かい、肌に良さそうなお湯が溜まっていた。

髪と身体を洗い、お湯に浸かる。


ふぅ〜。気持ちいい。久しぶりのお風呂だ。


ゆっくりとお湯に浸かっていると疲れが取れていく感じがする。


なんか、聖女って凄いんだなぁ。


しばらくぼーっとしながらお湯に使ったあと上がった。


グレースさんに貰ったスキンケア用品を使ってみる。


おぉ〜肌がつやつやもちもちだ。髪もトゥルントゥルンになってる。

シャンプーもトリートメントも凄く良いやつそうだし。魔王城のもの、全部質がいいな。


渡された着替えはシンプルで可愛いパジャマだった。

薄い紫色で少しのフリルが可愛さを足している。


くっ、なんでこんなにも好みを熟知されてるんだ?


服を着替えて、髪を聖術で乾かして部屋に戻る。

なんか、傍からみたら捕虜が自分から部屋に戻るのって変だよね。


扉をしめると足には枷がはめられていた。

いやもう、この枷意味無いのでは?


少しだけ、本棚にある小説を読む。

ミステリーもので面白かったが、眠くなったので机の上に置いてあった栞を挟んで本を置く。


そのままベットに入り目を閉じるとあっという間に心地よい眠りに誘われた。








読んで頂きありがとうございました

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