に
「うわぁぁ〜!!」
目の前に豪勢な食事が広がっている。
ふかふかの白いパンにあたたかそうなポタージュスープ。色とりどりの野菜を使ったサラダにメインディッシュはステーキだ。
捕虜がこんな食事していいのか?!
「魔王城の料理は美味しいのよ。料理長の力作なの〜。」
料理を運んできてくれた女の子がにこにこしながら言う。
彼女が動くと彼女の高い位置で結われたツインテールがゆらゆらと揺れる。
「っていうか、捕虜さん随分可愛いのね!!」
か、可愛い!?
「そうですか……?」
「そうよ!とっても可愛い!ボクお友達になりたいのよ。」
女の子はずいっと近づいて私の手を取る。
「ボクはリテアっていうの。第二軍団団長をしているのよ。貴女のお名前は?」
「わ、私はフィリナって言います。」
「フィリナ!!名前も可愛いのね!」
女の子ーーリテアちゃんは私の手を握ってぶんぶんと振る。
「これでもうフィリナとボクはお友達よ!」
リテアちゃんはにこっと笑った。
か、可愛い〜。
リテアちゃん可愛い。
リテアちゃんはピンク色の髪にくりくりした赤い目、ちっちゃくていい匂いがする。
そして背中からは小さな羽が生えており、ぴょこっとしっぽが伸びていた。
たった今できた小さな可愛いお友達に私はデレデレとしてしまう。
「そうですね!私たち友達ですよね!」
「そうよ!だから敬語はなし。ボクのこともリテアって呼んでちょうだい。ボクもフィリナって呼ぶから。」
「はい、リテアちゃん。」
「ちゃんづけもなしだってばぁ〜」
「こら、リテア。急に距離を詰めたらフィリナさんも困るだろう。」
いつの間にか来ていた魔王様がリテアちゃんを窘める。
「あ、まおーさま」
リテアちゃんが振り向いて魔王様の方へ駆け寄る。
「どうしたの?様子見に来たの?」
「ああ、リテアが何か問題を起こしてないか気になってな。」
「もう!ボクは仕事は出来るタイプなのよ!」
リテアちゃんが怒ったように頬を膨らませる。
どうやら魔王様と他の魔物たちは随分仲がいいようだ。
王太子達とは大違いだなぁ。
王城では常に王太子や王の様子を常に伺う人達ばかりで、張り詰めた空気が流れていた。
でも、ここは働きやすそうな空気だ。上司と部下の仲がいい。
「フィリナさん、遠慮せずに召し上がってくれ。」
「あ、はい。」
魔王様が促してくれたので椅子に座る。
その時ふと思った。
みんなご飯食べたのかな?
もう晩御飯の時間では?
「あの〜皆さんはもう食べられたんですか?もし、まだだったら一緒に食べません?」
言ってみて、これは少し突飛すぎたかと思う。
リテアちゃんも魔王様もぽかんとしている。
「ボクたちはまだだよ?」
「フィリナさん……?」
私は慌てて続けた。
「い、いやっ1人じゃ寂しいから、一緒に食べたいな……って……」
言ってて恥ずかしくなり最後は小さくなってしまった。
仲のいい2人の空気に安心して、変なことを口走った……。
魔王様とリテアちゃんは顔を見合せたあとにっこり笑って
「いいよ!」
「わかった。一緒に食べよう。」
と言ってくれた。そして、2人分の食事を追加で用意してもらう。
私たち3人は一緒の食卓を囲んで食べ始めた。
「いただきます。」
まずはふかふかのパンを手に取る。ちぎって食べてみたら小麦の味がしっかりして美味しい。
サラダはかかっているドレッシングの味がとても美味しく野菜にあっていた。
お肉はとっても柔らかい。美味しい。
スープは温かくてトロトロで空腹の身体に染み渡った。
私は夢中で食べ、あっという間に食べ終わってしまった。
魔王様とリテアちゃんはまだ食べている途中だった。
私は2人のことをじっと見つめる。
2人とも顔がいい。
リテアちゃんは絶世の美少女だし、魔王様は美しすぎる。
まつげ長いし、足長いし、スタイルいいし。どうなってんだ?魔物はみんな顔がいいのか?
私の視線に気づいた魔王様が困惑した様子で言った。
「私の顔に何かついてるのか……?」
「いっいえ、かっこいいなと思って見てただけで……」
って何言ってんだ私。
魔王様は思いのほか照れていた。
「かっこいい……?私がか?」
「そうですよ?あれ?よく言われません?」
「いや、特には何も。」
魔王様は予想外の答えをかえしてきた。
私もちょっとびっくりする。
あれだけ顔が良ければもてはやされるだろうに。
するともう食べ終わったらしいリテアちゃんが口を挟む。
「確かにボクたちはまおーさまのことあんまりほめないけど、かっこいいと思うのよ。ボクの部下たちも言ってたのよ。」
「そうなのか?」
少し驚く魔王様。
なるほどあんまり褒めたりしないんだね。
しばらくして魔王様も食べ終わり、お皿が下げられ食後のデザートのレモンシャーベットが出される。
デザートまでついてるのか。相変わらず捕虜に有るまじき待遇だな……。
シャーベットはひんやりしていて甘く程よい爽やかさだった。
みんなでデザートに舌鼓を打っていると、魔王様がふと聞いてきた。
「そういえば君の今までの話を聞いていなかったな。」
「ふぁい?」
突然の事だったので食べながら返事をしてしまう。
魔王様はもう食べ終わっていた。
リテアちゃんもスプーンを置いて言う。
「なにそれ?ボクも気になる。」
私は今までのことを思い出しながら話し始めた。
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