表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
捕虜、ときどき聖女  作者: きなこもち
第2章
17/26

じゅうさん

シュレーヴァさんと顔合わせが終わり、そのあと部屋に案内され、魔王様と夕食をとった。夕食には見たことない美味しい料理が並んでおり楽しんだ。


そして翌日、早速浄化に向かうことになった。シュレーヴァさんとは中庭で纏わせている。だが、シュレーヴァさんは一向に来なかった。


……遅い。約束の時間どんだけ過ぎてると思ってるんだよ。


「フィリナさん彼は何かあったのだろうか?」


心配そうに魔王様が聞いてくる。優しいな。

私はイライラしながら答えた。


「知りません。っていうかもう行きません?」


「しばらく待ってそれで来なかったら行くことにしよう。」


魔王様の優しさに免じてもう少し待つことにした。


またしばらく待って私の堪忍袋の緒が切れかけている時にシュレーヴァさんが走ってくるのが見えた。


「遅いです!!」


怒ってそう言うとシュレーヴァさんは笑いながら


「ごめんごめん。俺朝苦手で。寝坊しちゃった。」


と言ってきた。


いやもっと真摯に謝れよ。


私のイライラはもうMAXだったけど魔王様が笑って許したので私も許すことにする。


シュレーヴァさんは私に早速近づいて話しかけてきた。


「ねぇねぇ、浄化ってどんな感じでやるの?俺すごく気になっててさ〜。」


……近い、凄く。パーソナルスペース消えたんか?


さりげなく向こう側へシュレーヴァさんを押しながら私は魔王様に言った。


「みんな揃ったのでそろそろ行きましょう。」


魔王様は頷いて私のことをずっと抱き寄せた。するとシュレーヴァさんが眉を釣りあげて言った。


「ちょ、ちょっと何してんの?」


「何って転移ですけど?」


きょとんとして答えるとシュレーヴァさんはため息をついた。


「はぁ、フィリナちゃんってさ。魔王に騙されてない?転移ってそこまで近づかなくてもできるし。触れなくても転移させられるよ?」


「そうなんですか?」


私は魔王様を見上げる。


まぁ、こっちの方がいいんだけどね。魔王様に近づけるし。


魔王様はこほんと咳払いをすると私に言った。


「転移酔いは近づいたほうが少ないからだ。フィリナさんを酔わせる訳には行かないだろう?」


魔王様の気遣いに嬉しくなる。


私のためだったんだ。優しいな〜。


そんな私を横目にシュレーヴァさんはなんとも言えない表情をしていた。


「……騙されてね?」


シュレーヴァさんを先に転移させ、私と魔王様はあとから転移した。


転移先は砂漠だった。リュレット帝国は広い。南へ行けば海、北へ行けば草原、西へ行けば砂漠、東へ行けば山脈がある。

今回の瘴気の発生源は砂漠のど真ん中だ。


うーん。思ってたより瘴気が濃い。やっぱり私が来るのが遅かったのかな?


もう少し早く気づいてればよかったと後悔しながら聖術式をかいて、瘴気の発生源に蓋をしていく。魔王様はいつもと同じように結界を張っていてくれていた。シュレーヴァさんは私の様子を興味津々で見ている。そして何を思ったのか瘴気の発生源へと近づいていき、私のかいた聖術式を触った。


は?何してんの?


驚いて止めようとした瞬間ばちっと音を立てて聖術式が壊れた。途端に瘴気が溢れてくる。


「ちょちょっと助けて!」


むせ返るほどの瘴気に立っていられなくなったらしいシュレーヴァさんが膝をつきながら叫ぶ。私は魔王様の張った結界で護られていた。


助けてって言われても自業自得だし!


急いでもう一度聖術式をかきなおす。魔王様がシュレーヴァさんを魔術で救出してくれた。


「ごほっ、ごほっ、た、助かった〜。」


咳をしながら一息を着くシュレーヴァさんに魔王様が怒っていた。


「どうしてあんなことしたんだ?危ないだろう。」


「いや〜研究のために調べたくて。」


「研究のため?」


発生源に蓋をし終わって、残った瘴気を祓うために聖術式をかきながら口を挟む。


「そう、研究のため。こう見えても俺、聖術とか聖女の研究やっててさ〜。あ、あと魔術もね。」


「だからといってあんな無謀なことをしてはダメだろう。すごく危険だ。」


呆れ半分怒り半分といった様子で魔王様が言う。


いや、ほんとだよ。まじで。びっくりしたし、余計な仕事増えたし。


怒りながら聖力を注ぎ込む。魔王様から突然ストップがかかった。


「フィリナさんもういい。充分だ。」


聖力を注ぎすぎてしまったらしい。砂漠にはいつの間にか緑地が出来ていた。


やってしまった……。


少しの罪悪感といたたまれなさに苛まれながら魔王様とシュレーヴァさんのところにいそいそと戻る。シュレーヴァさんが何かを熱心にメモしていた。


「ふむ、聖力には砂漠を蘇らせる力もあるんだな。」


いや、そんなこと言ってる場合じゃないでしょ。


とりあえず緑地は見なかったことにして転移で帰ることにした。行きと同じような方法で帰る。


ただの浄化なのにどっと疲れてしまった。








「いや、もううざいです、あの人!!」


魔王様に大声で愚痴る。魔王様は苦笑して言った。


「でも、彼の生業上しょうがない部分もある気がするけれどね。さすがにあれは私もないと思ったけれど。」


「でしょう!?」


私は盛大にため息を吐く。浄化が終わったあとも付きまとわれて大変だった。夕食にまで一緒に食べてたし。


「あーあ、魔王様と2人が良かったな……。」


ぼそっと呟く。


魔王様は優しいし気遣いができるから仕事しやすい。だからこそ役に立ちたいと思う。でも、はっきり言って今は浄化を頑張る理由がない。ほとんど聖女としての義務感だけでやっている。

ここに暮らしている人の事なんて思いやることが出来ない。


沈み込む私に魔王様は励ますように言った。


「そうだ、浄化が終わったら街に行こう。ヴォーク達へのお土産を買わなくては。」


街!行ってみたい!


魔王様の話を聞いたら俄然やる気が出てきた。


「2人でですか?」


「2人でだよ。」


やったー!!一緒に出かけれる!!


私は頑張ろうという気持ちに溢れていた。でも、心の端っこで何かが起こりそうな予感を感じていた。








読んで頂きありがとうございました

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ