王太子視点
「くそっなんでこんなに怪我人が多いんだ!!」
バンッと机を叩く。近くにいた側近がビクッとしたので睨んでおいた。
報告しているやつが目を泳がせながらしどろもどろに答える。
「それが……魔物を退治しようとして反撃されたようで……。我々では全く歯が立たず……。」
「なんだと?!俺が行った時には何も無かったぞ!!」
もう一度バンッと机を叩く。ひぃぃと声を上げて報告してきたやつが持ってる資料で顔を隠す。側近はいつの間にかいなくなっていた。
まったくどいつもこいつも役に立たないやつばかりだ!!
俺たちはフィリナが倒れたあとすぐに城に返された。そう慈悲でだ。
極悪非道な魔王のやつに情けをかけられるほど俺は弱いのかとムカついたが、あれはフィリナを捕虜にするためのものだと気づいてからはあれを取り戻すために何度も魔界に人を送っていた。
正直ルルア達を冒涜するような能無しをわざわざ取り戻す必要があるのかと思ったが、父上がなんとしてでも取り戻せと言っていたのでパーティーを何組か送っているが、みんな揃って大怪我をしておめおめ帰ってきた。
なんて、無能な奴らだ。俺がいた時は怪我は疎か魔物にすら襲われなかったぞ!!
まぁでもそれは俺が優秀すぎたのかもしれんがな。
納得していると報告をしてきたやつがそっと言った。
「あ、あのっ……。先程ルルア様が倒れられたそうです……。」
なに?!ルルアが倒れただと!!
「なぜ早くそれを言わん!!」
報告をしてきたやつの顔を1発殴る。やつは涙目になりながら謝ってきた。
……こいつには構ってられん。
俺は急いでルルアがが運ばれた医務室に駆けつけた。そこには顔面蒼白のルルアが眠っていた。
俺はそばにいた医師の胸ぐらを掴んで聞いた。
「おい!!ルルアはなぜ倒れたのだ!?」
「落ち着いてください、殿下。ただの魔力切れです。お休みになられれば治ります。」
医師は冷静に答える。と、その時ルルアが目を開いた。
「うるさいなぁ……ってルドリフ様……!!」
すぐさま俺はルルアの元に駆けつける。ルルアは焦ったような表情を浮かべていた。
「わざわざお見舞いに来てくださったんですか?」
「ああ、もちろんだよ。身体は大丈夫か?」
「ええ、もうだいぶ楽になりました。」
ルルアがそっと微笑む。その表情は痛々しくてルルアを魔力切れまで働かせた奴らに怒りが湧いてくる。
「ルルアをこんなことになるまで働かせたのは誰だ?処罰してやる!!だいたい今までは魔力切れになるものなんて居なかっただろう。いくら魔界に軍を送っているからといって……。誰か仕事をサボってるんじゃないか?」
「いえ、みんな働いています。」
「ならどうしてこんなことに?」
ルルア以外にも魔力切れのものが多数いるこの現状は異常としか言いようがなかった。俺の疑問にルルアがぽつりと返事をする。
「今までは…………今まではほぼ全ての負傷者をフィリナさんが治していたんです……。」
予想外の答えに俺は少し動揺する。あいつが?そんなこと出来るわけないだろう。
「あいつは、聖女は、瘴気を祓うことしかしてなかったんじゃなのか?」
少なくとも俺が把握している仕事は瘴気を祓うことだけだ。父上が他にも仕事を命じていたような気がするがそれも大した仕事ではないだろう。
そんな俺に医師が怪訝な目をする。
「聖術は瘴気を祓うだけでなく、魔術の無効化、解術、怪我の治癒までできることはご存知ですよね?でしたらそのお仕事を陛下から仰せつかっていることぐらい想像つくでしょう。」
医師の物言いにイラッとしたが寛大な心で許すことにした。
それにしてもあいつがそんなに役に立つものだったとはな……。
「それで、どうして聖女はさらわれたんですか?貴方たちが着いていながらも。それとも魔王は貴方より強かったんですか?」
「そんなはずは無いだろう?!あれはフィリナが勝手に倒れて勝手に捕まったんだ。俺達は大して戦闘をしていない!」
「倒れた?!まさかそうなるまで働かせたんですか?!」
医師のあまりの剣幕に俺達はしどろもどろにそうだと返事をする。医師はため息をつくとまた話し始めた。
「いいですか。どんなに役に立つ道具でも壊れてしまえば意味がありません。貴方は将来王となるのですから、道具の扱いくらい覚えていて欲しいですよ。」
医師の諭すような話し方になんだか納得してしまった。
確かに道具の使い方は覚えねばな。そうだ、どうせあいつのことだ魔王のところでもろくな扱いをされていないだろう。この俺が直々に助けに行ってやったら泣いて喜んで、俺に忠誠を誓うのではないのか?
よし!そうと決まったら助けに行ってやろう。あいつの反応が楽しみだ。
俺はルルアとリアムとレフリートにこのことを話した。俺たちは父上から5万の大軍の指揮を任された。
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