手先まで全裸だけどね。
おれは耳を疑った。
そんなものがあるならどうして最初から言ってくれないんだよ?くそ!
「雲野様があまり私のことを必要とされていないように思いましたので。」
ああ、そう、そういうことね。ごめんなさい。仲良くしましょう。めんどくさいやつだな。おっとこれも聞かれているのか。迂闊なことは考えられないな。おっぱいおっぱい。
さて、アイテムボックス!
ヴヴンという効果音と共に目の前に画面が現れる。
画面左上部にはアイテムボックスとの表記。
その下には冒険始まりセットという表記がある。
おい。おれは驚愕した。
冒険始まりセットの中には先程クロモが言っていた言語スキル、村人装備一式、木の剣があった。
くそ。こんなものあるなら先に…
「先程は必要とされていな」はい。ごめんなさい。
機械的な音声の割にどこか感情を感じるんだよなあ。ひとりぼっちだしもっと優しくしてくれてもいいのよ?うふん。
それでこれはどう使うのでしょうか?クロモ様おっぱい。
「…アイテムボックス内のアイテムは使用したいと思うだけで使用可能です。直ちに使用されます。」
いまちょっと反応あった気がするのでクロモにはこれからも積極的にセクハラしていこう。
思うだけで使用可能とはなんと便利な。それでは。
「冒険始まりセットを使用します。」
これは平原で服やらを出した時と同じ音声だ。クロモとはまた違うみたいだな。
などと考えていたのだが気付くとおれは服を着て、靴も履き、剣まで装備していた。
なんと便利な。
さて、この状況どうしようかな。クロモさんどうしたらいいの?
「その質問には答えかねます。」
ああ、はい。どうやらクロモさんはこの世界の摂理的な?システム的な?ことしか答えてくれないみたいね。はいはい、頑張りますよ。
さて、おれは盗賊ルックガイに向き直る。
いきなり服を着て木剣を装備したおれに驚く山賊ルックガイ。そして男は叫ぶ。
「悪魔!悪魔の手先!!」
どうやら悪魔の手先は全裸でもなれるようだ。
いやいや、悪魔の手先ではないですよ。手先まで全部全裸でしたけどね。あ、それは多分こいつにひんむかれたんだろうけどさ。