チュートリアル的な?
ピコーン…ジジジ…ジジジ…
またあの音だ。周りを見渡すが誰もいない平原だ。
となると、これはおれのピコジジか。
無事レッツゴーできたようだな。さて、どうしたもんか。しかしやけにすうすうするな…
はてとおれは自分の体を触る。
「嘘…だろ…」
なんとまさかのすっぽんぽんである。ギンモめ。こんなに気の利かないやつだったとは…
しかし誰もいない平原なのは確認済みだ。大丈夫。ただの全裸の紳士だ。そう。おれは紳士だ。
とりあえず身を隠すため草むらに入ろうとすると聞き覚えのある音が響く。
パンパカパーン
お、これはギンモか!気の利かないやつとか思ってごめんな。質問は後でって言ってたもんな!信じてたぜギンモ!!!んんん???
目の前にあらわれたのは銀色の靄ではなかった。
なんだこれは?黒い靄?
「これはこれはどうも雲野様。私はナビゲーターシステムです。」
ああ、これはどうもご丁寧に。ナビゲーターシステムか。もうなんでもありだな。こいつに質問でもすれば答えてくれるってことか?黒い靄だからクロモでいいのかな?
「そうでございます。後ほど質問を受け付けるとの説明を受けていると思います。それが私です。貴方様の思うようにクロモとでも呼んでいただいて結構でございます。」
また心読まれたぞ。これ結構恥ずかしいな。そして思ったこと先に答えられるのもちょっと不愉快だな。ってこれも読まれているのか。くそ。
「そうでございます。質問が有れば返答しますのでなんなりとどうぞ。」
ふむ。とりあえずこの世界がなんなのか、世界を救うことあたりは知っといた方がいいか。あと服だな。全裸はさすがにまずいか。装備は装着しないと意味がないからね。全裸のおれに意味はないのだ。
ぼふん。
よしよし、ちゃんと望んだ能力は与えられてるみたいだな。これで平原の紳士は回避した。
「村人の服を手に入れました。」
おおん??なんだこりゃ?
「この世界は今危機にあります。それを救って欲しいのです。服は解決なされたようですね。貴方様に意味が生まれました。それはシステムアナウンスでございます。」
おお…ちゃんと答えてくれたけどなんというか…気の利かない答え方だな…これならなくてもどうにかなるんじゃないか?
「そうでございますか。では雲野様のご無事を祈っております。」
ピンポンパンポーン
あ…なくてもどうにかなるって思ったから消えたのか…やってしまったか?
しかし能力はとりあえず有ることは分かった。仕方ない。
あとは靴と、リュックでも有ればいいか。それ!
ぼふん。
「平凡な靴、普通のリュックを手に入れました。」
よしよし。あとは…地図とコンパスでもあれば…
あれ…?
視界が…ゆら…ぐ…
△
さぶっ。
どこだここは?
真っ暗で寒いし、手足が冷たい。
ガチャン
動けない。手枷と…足もか…ん、嘘だろ?また全裸だ…服がない…
さてどうしたもんか。確か靴とリュックを出して。
移動先を決めるために地図とコンパスも作らなきゃなあって思ったんだが気を失ってしまったのか。欲を出したからか?この欲張りさんめっ!ってことか?
ガチャリ
おお、そこは扉だったのか。ということはここは何かしらの部屋か?扉の外には明かりがあるのか少し明るいが光が揺れているため火の灯りか。この世界の文明レベルがわからん。ぐぬぬ。
「※△◇×○!」
おおん?
扉を開けて入ってきたおっさんはなにやらこっちを見て叫んでいるがなんだ?
このおっさんどう見ても山賊ルックなんだよなあ。薄汚い肌着に毛皮の腰布とベストだ。顔も汚いし多分臭い。いや、どうせ臭い。
しかしずっと訳のわからん言語で叫んでいる。参ったな。言葉も通じないのか。クロモにそこらへん聞くべきだったか。ギンモといい気の利かないやつめ。
山賊おっさんはこちらに近づいてくる。
「※△◇×○!※△◇×○!」
ずっと同じこと叫んでるけどなんなんだ?
ボゴォ
ふええ。蹴られたぜちくしょう。親にも蹴られたことないのに!!
腹蹴られると呼吸も苦しくなるのな。
とにかく言葉が通じないことにはラチがあかない!
何かないのか?神様仏様クロモ様!ってこんなんであんなに気の利かないやつが来るわけないか。
パンパカパーン
嘘…だろ…
「これはこれは雲野様。いかがしましたか?そうですか。現状に関しまして、ここはヨアクル村を根城にする盗賊団のアジト、の、倉庫でございます。言語が共通でないため会話はできません。」
おお、思ったことにそのまま答えてくれるクロモ様!!!ありがたい。ウゴッ
また蹴られたぞ、ちょっと待ってくれ。
そう思い両手を前に出してストップストップとジェスチャーする。どうしたら会話できるんだ。
「アイテムボックスと心で唱えてアイテムボックスを開きます。その中に言語学習スキルがありますのでそちらを使用することで会話ができます。」
はい?