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邪祓  作者: 白雪 慧流
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中学生の邪祓人

こんにちわ!邪祓第四話です!

今回は新たな邪祓人が登場します!

それでは本編をどうぞ

私の家系は元より邪祓(じゃばらい)を生業としていたそうだ、しかし、厄神(やくしん)を作り出せる人間が現れなくなり、その生業も廃れた。

「けれど、このわたくし春水黒子(はるみくろこ)が目覚めたからには、心配無用ですわ!」


 二回目の仕事、本堂(ほんどう)兄弟を達成した私と御影(みかげ)。今までは死ぬ機会を伺っていたが、死が決して幸せを呼ぶことは無いことを見せつけられ、私は生きることを決意する。

 いてっ、いてっ、御影の悲痛な叫びが部屋にこだまする。

「お黙り、髪をとかしてるだけだから」

「一々縛らなくていいだろうが!」

「長い髪をそのままにしてたら邪魔でしょ? 私じゃ御影の髪を切ることはできないし、美容院に連れて行っていいかわからないし」

お風呂でしっかりシャンプーとリンス使っているはずなのだが、御影の髪は絡まりやすいようで、とかすのも一苦労である。

「髪なんかテキトウに切ればいいだろ」

「だめよ、せっかく綺麗なんだから、はい終わり」

御影の肩をポンと叩き、くしをしまう。そういえば、厄神自体は普通に見えているようだが、一体他の人にはどう目に映っているのだろうか、本堂兄弟の時、(かず)さんも(さとる)さんも私に向けて話していた、御影が自己紹介した場面もない。多少の会話はしていたから声も姿も見えているはずなのだが。

「厄神ってのは、主以外に認識されなくてもいいもんだからな、相手も認識はしてるが、気には止めてねぇ、同じ邪祓人か、邪祓に関わってる人間でもなきゃ、無視だ」

「つまり一般人相手には影薄いんだ」

便利なものだ、声をかければ違和感なく答えてくれるし、記憶に残るものでもない。

「そりゃ手紙に感謝の言葉をがないわけだ」

御影のことを覚えてないんじゃ、感謝の言葉を言い様がない。なんとなく寂しく感じた、御影は確かに何かしたわけじゃない、しかし邪祓は彼なしでは成しえない。

「御影!」

「ん?」

「ありがとね」

キッチンで皿洗いをしていた御影が、皿を落とす。パリンと割れる音がした。

 歩き出す。目指すは近くの百均。

「なんで俺様まで」

「皿割ったのは御影よ?」

貴様が変な事を言うからだろ! と怒鳴られたが、割った事実は変わらない。別に弁償しろと言っているわけではないのだ、怒る必要も無いだろうに。鳥が囀り、虫が鳴く、暑い夏。近くとはいえ、暑さで鈍くなっている足では、いつもより遠くなる。

「あっつ……」

ジリジリと照りつける太陽が、無慈悲にも体力を奪う。

 そんな猛暑の中、パリンと何かが割れたような音が聞こえた。

「え、皿でも割れた?」

「皿だぁ? 何言ってんだよ急に……」

「我汝に命ず、我が邪魔をする者よ消しされよ」

何度聴いても慣れないであろう、鼓膜が破れそうな悲鳴と、目が痛くなる光。しかし、なにか私のと違うような……。

「こりゃ失敗するぜ」

「えっ?」

悲鳴が短い、光もいつもより弱い気がする、もしかして……。考えるより先に体が動く、光が出た方へ走り出し、両の手を合わせた。

「邪祓人……追い出す……邪魔……」

「きゃぁっ!」

「我汝に命ず人を惑わすモノよ体から抜け出よ!」

邪が少女を襲う寸前、私が唱えた事により、邪は少女から離れ、近くで倒れていた女性の中に入る。後から御影も追いついたのか、待て! と大きな声が降ってきた。

「貴女大丈夫?」

「か……」

「か?」

「かっ、かっこいいですわっ!」

先程の怯えはどこへいったのか、少女は私に飛びつくと、おねえさま! と呼ばれる。お、おねえさま?

「おいおい、貴様がしくじったのか」

「うるさいですわね! わたくしの名前は貴様じゃなくてよ、春水黒子ですわ!」

「「はる……み」」

私と御影の声が被る。春水……珍しい苗字だから覚えている。私の実家の斜め向かいの家、私にとってはあまりいい名前ではない。

「ん? ミム知ってんのか?」

「御影こそ……」

「ふふん、恐れ入ったようね! そうよわたくしこそ、春水家新たなる邪祓人、黒子ですわ!」

この子、流石に関わりはないはずだ、黒い、部類としてはゴスロリと言われる服を着た、見た目的に小学生か、中学生の少女。きっと分家か、むしろ黒子ちゃんの方が本家か、どちらにしても親戚くらいの繋がりだろう。

「黒子ちゃんは邪祓人なのね」

「そうですわ! おねえさまも邪祓人ですわね、わたくし感激致しましたわ!」

「あ、ありがとう……」

こんなに素直に好意を向けられると、照れるというか、むしろ困る。どう反応したらいいのだろう。

「うっ……」

いやいや、困っている場合ではない、女性のうめき声で邪祓を思い出す。

「御影!」

「チッ、余計な仕事増やしやがって」

黒子ちゃんの前に、人に入ってしまった邪を祓わないと、私は再び両の手を強く合わせ、唱える。

「我汝に命ず、人を惑わすモノよ体から抜け出よ」

悲鳴と光と共に、次こそ邪が消える。御影が着地すると同時に、視界はいつも通りとなり、邪に入られた女性も気絶しているだけで、命に別状は無さそうだ。

「ふぅ、一段落」

「なぁにが一段落だアホゥ、俺様の余計な仕事を増やすな仕事を」

「仕方ないじゃない、体が勝手に動いたんだから」

御影はヤレヤレと呆れているが、私は周りを見る。黒子ちゃんが邪祓人なら、この家は依頼主の家となる。もしかしてこの女性、元々邪が憑いていたのか。

「主様、この者たちは……」

「あっ! 白咲(しろさき)、遅かったじゃないの」

「周りに変な気があったのです」

ふわっと、白く長いウェーブのかかった髪に、白を基調とした、清楚なロリータ服の女性が目の前に現れる。

 私はその女性を見て目を見張った。なんだか薄い、というか浮いている。

「しろさき……」

「この小娘の厄神だろ」

「え、厄神?」

まるで幽霊のような佇まいに戸惑う。御影はこうやってはっきり見えてるし、確かに部屋の鍵を開けなくても部屋に入ってきたから、幽霊っぽいとこあるけど。しばらく、黒子ちゃんと厄神らしい、白咲さんは話をしていたが、急に私達の方を向く。

「あなた様達が、我が主を助けてくださったのですね、感謝致します」

「あ、いや……」

白咲さんが、丁寧にお辞儀をし、黒子ちゃんの隣に行く。なんでだろう、この厄神なんか苦手だ、私に対しての敵意のような、警戒心のようなものを感じる。

「白咲、おねえさまに失礼はダメですわよ、そうだ、おねえさま、わたくしの家にいらっしゃって!」

「え」

言い返す間もなく、黒子ちゃんは私の手を掴んだ。


 古そうな、明らかな豪邸が目の前にある。瓦張りの屋根に、大きな土地。旧家なのはわかった。

「春水家って旧家なの……?」

「そりゃそうだ、最古の邪祓の家系だぜ、最近は邪祓ができる人間が産まれず、手を引いたって聞いたがな」

つまり、黒子ちゃんが久々の邪祓ができる人間ということか、すごく重宝されてそうだ。

 上機嫌な彼女に連れられ、家の中に入ると、古民家特有の雰囲気と、暗さが妙に落ち着いた。黒子ちゃんの部屋なのか、居間なのか、案内された部屋の机の前に正座する。

「おねえさまの厄神はその方なんですわよね?」

「うん」

「ふーん、似てないですわね、服装といい立ち振る舞いといい」

他人から見ても似てないんだ、まぁ、御影と私は赤の他人だし、似てない方が自然か。改めて白咲さんをマジマジと見つめる。口調は違うが、服装はなんとなく似ている、雰囲気も遠くはない、ただ黒子ちゃんより落ち着いている、どことなく懐かしい気がした。しかしなぜ、厄神は主に似るのだろうか。

「ねぇ、黒子ちゃんはどうやって白咲さんと出会ったの?」

「どうやって? そんなのいつの間にかですわよ、だって厄神は邪祓人の中から産まれるものですもの、邪祓人の力量で厄神の力も変わりますわ、おねえさまの厄神だってそうでしょう?」

ん? 邪祓人の中から産まれる? どゆこと? 黒子ちゃんの説明が理解出来ず、キョトンとする。そんな私を見て黒子ちゃんもぽかんとした。

「我々厄神は、主の力により産まれます、故に厄神を創り出せる事が出来るほどの力が無いと邪祓人にはなれないのです」

「そ、そうなの? そんな話薬蘑(やくま)さんからは聞いてないけど……」

「ミムに教えても意味ねぇからだろ」

相変わらず御影は人の家でも我が物顔でダラっとしている。少しは白咲さんを見習って欲しいものだ。

「その御反応ですとあなた様の厄神は違うのですね」

「御影とは、私が迷い込んだ神社で出会ったのよ、そんで無理矢理巻き込まれた」

ムスッとして言ってやると、白咲さんはあらあらと上品に、黒子ちゃんは、分かりやすく驚いて見せた。ただ、驚いたのも一瞬で、不思議ですわねと笑う、その笑顔に私は安堵した。

 その後、この家の使用人らしき人がお茶を淹れて持ってきてくれ、私達はたわいもない話をした。それでわかったのは、黒子ちゃんはまだ中学二年生であること、こちらは本家で本来は分家におり、姉と両親との四人で暮らしていたが、厄神を生み出した為に本家へ移ったこと。

「そして今日が初めての邪祓だったのですわ」

「そ、そうだったの、ごめんなさい、そんな大事な仕事を邪魔してしまって……」

「そんな! わたくしはおねえさまに会えて嬉しいですわ!」

本当に真っ直ぐ好意を伝えてくれる。むしろ怖いくらいに、純粋なんだなと思うと同時に、あまり近付かない方がいいかもしれないと感じる、考えを改めても過去が変わるわけではない、あまり彼女の私像を崩したくはなかった。夢を壊してしまう気がしたから。

「あら、もうこんな時間、おねえさま帰らなくて大丈夫ですの?」

「そうね、そろそろ帰るわ、あまり長居するのもだし」

玄関まで黒子ちゃんは送ってくれた、手を振ると元気に振り返してくれる。こうしてると普通の子供だ。

「やっぱり子供ね、普通のいい子よ、黒子ちゃん」

「そうかぁ? 春水の者だぜ、ろくなもんじゃねぇよ」

吐き捨てるように言い、家の方面へ歩いて行く。御影結構嫌いな人多いのかな、人というか、春水家は家系だけど。

「未無様」

「白咲さん?」

春水家から少し離れ、御影も先に歩いて行くので少し離れた距離。

 白咲さんはこの期を待っていたかのように話しかけてくる、一般の厄神でも主から結構離れられるのか。

「御影さんですが、あれはやはり厄神です、しかし未無様のではありません、他に主がいたと考えていいと思います、普通厄神は主が亡くなると同時に消えますが、どうもあの者は肉体を持っているようです、警戒することをおすすめします」

「肉体? 厄神ってやっぱり幽霊みたいなものなの?」

こくりと頷かれ、少々違いますが同質のようなものですと説明される。つまり、厄神には肉体は存在しない、しかし御影には肉体があるから、前の主が亡くなっても存在を保てるわけか、御影の前の主ってどんな人だったのだろう、御影に肉体を与えるくらいだから大事にしていたのだろうか。

「白咲さん、忠告ありがとう、でも大丈夫よ、多分ね」

ばっと、手を挙げ、またねと挨拶する。そしてスタスタと先に行ってしまった御影を追いかけた。

 ひょこっと我が主が顔を出す。

「白咲? どうしたんですの?」

「いえ……」

あの、御影という厄神、どうして肉体など持っているのだろう、もしや主の体を取ったのか? いやまさか、そんな事できるはずは無い。

「未無様苦労しますね」

「おねえさまが苦労する? 大丈夫大丈夫、あんだけ強くてかっこいいんだから!」

そうでしょ? ドヤ顔の主を見てそうだといいのですがと返すしかなかった。ゾワッとした感覚、言葉にできない不安感と、会ってはいけない者に出会ったような感覚。春水家と御影はなにか関係あるのだろうか、それに未無様も……。

「考え過ぎですね」

初対面の者だから警戒しているのだ、そう思うことにした。

読んでくださりありがとうございます。

段々とややこしくなってきましたね

黒子ちゃんはこれから出てくる回数が多いキャラの1人です。

そして未無に良い影響を与えるキャラでもあります。

楽しんでいただければ幸いです

感想等はいつでもお待ちしております、是非……是非……

それでは第五話でお会いしましょう!

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