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奪われた贈り物

「逃げろー!!」

「お父さん!!」

「あなた!!」

「早く、こっちだ!!」

「村長さん!!」


『夜の女王様ノチェ』が使従(しと)を選んでわずか数年、この使従のいる小さな村に攻め込んできたのは、自国の兵士達でした。





 星降る夜に使従として選ばれた少女は、翌日から小さな手でせっせと働き “月の雫” を集めはじめました。それはそれは丁寧に一生懸命に、それが沢山の人達のためになると信じて。

 でもその時、王都ではとんでもないことが起こっていたのです。使従が選らばれてからまもなく国の第一王子様が亡くなり、一年後には賢王として知られた王様が突如として亡くなってしまわれたのです。

 王様の後を継いだのは第二王子様。ところがこの王子様は、とてつもなく心根(こころね)が悪かったのです。ある日、王様になった第二王子様は言いました


「星の雫をすべて持ってこい!」


 と。この国の王である自分にとって、この国のものは小さな石ころ一つにいたるまで、すべてが自分のものであると。

 心ある王達に仕えるは者達は、皆そろって反対しました。でも王様は、自分の命令に反対する者達の命をすべて奪ってしまったのです。そうです、前王様も第一王子様も、皆今の王様によって命を奪われたのです。





 使従(しと)の少女のいる村の人達は、突然自国の兵士達が攻め込んできて、小さな村の中を逃げまどいました。そんな中でも、村人達はなんとか少女を助けようと、小さな子供達までが助け合い協力しました。しかし、少女はおろか、村人の一人にいたるまで助かることはなかったのです。


「…………」


 使従の少女の気配が消えたことで、『夜の女王様ノチェ』は少女の住んでいた村にやってきました。そして『夜の女王様ノチェ』は見たのです。燃やされた家々、踏みつけられ人々を。

 村の中は真っ赤に染まり、訪れた一つの家の前で『夜の女王様ノチェ』はその瞳を真っ赤に染めて泣きました。傷ついた少女の身体を抱きかかえ、真っ赤に染まった少女の両親、生まれて間もない弟、少女を守ろうとしたらしい村長や村人を見て、声をあげて泣きました。

 自分が使従として選んだばかりに、自分を信仰してくれる者達に贈り物として “月の雫” を与えたばかりに、この哀れな少女と家族と村人達が大切な命を落としたのです。『夜の女王様ノチェ』の美しかった金色の髪は怒りと悲しみで銀色に変わり、その美しかった夜色の瞳も真っ赤に変わっていました。


「赦さない! 赦しはしない!!」


『夜の女王様ノチェ』の怒りが頂点に達した時、『夜の女王様ノチェ』の周りは木々に覆われ、村は消え去り深い深い森になっていました。そして、この国にあったすべての “星の雫” が腐りはててしまったのです。



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