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woman  作者: しは かた
23/102

第十九話

続きです。

びえろがあります。あえて読みにくい仕様にしていますが苦手な方はお気をつけください。


よろしくお願いします。

 


 私達は抱き合いながら、ぎゅっときつく抱いたり優しく抱いたり、私が脇腹に指を立てて擽って幸が笑ったりむずがったり、幸が私の頬に触れたり髪を撫でたりなぜかそこにある私の脇腹の肉を摘んだりと、ふふふくくくと笑ったり、やめろやめてよと文句を言いながらも互いの愛情をしっかりと感じあっていた。



「あ、そうだ」


「なに?」


「ちょっとね。待ってて」


 私は幸から体を離し、とことこと棚までいってストック用の化粧品をしまっている箱を覗き込んで、ある筈のお高めなフェイスオイルを探してみる。

 箱の中をごそごそと漁るとそれはすぐに見つかった。


「あった」


 私は見つけたそれを手に幸の傍に戻り、胡座をかいて幸の隣に座った。


「なにそれ?」


「フェイスオイル。ね、幸。ここ、ここに寝て」


 私はクッションを手に取って胡座をかいた脚の間にそれを置き、ここに頭を乗せてよねとそれをぽんぽんと叩いて幸に仰向けに寝転がってもらった。幸は訳も分からずといったところだけれど、なになにどうしたのと言いながらも私のいう通りにしてくれた。


「なにするの?」


「フェイスマッサージ?というかリンパ的な感じ?」


「できるの?」


「ふふふ。まかせてよ」



 先ずはオイルを手に出してみる。冷たくはなかったけれど、私はそれを温めるように手で擦りながらのばし、じゃあ、いきますよと幸の顔に触れた。


「冷たくないでしょ?」


「うん、あったかい。それに気持ちいい」


「でしょ」



 私はこういうことをするのも好き。そのうち幸の眉も整えさせてもらおうかなぁとか考えながら、幸のおでこや頬を指を細かく動かして優しくとんとんと叩いたり、リンパに沿ってくりくりと指を回しながら擦ったりしている。


「いいねー」


「そう?よかった」


 そう言われては、やりたがりでしたがりの私のやる気もますます増すというものだ。私は幸の綺麗なお肌をより綺麗にしてやろうと気合を入れた。

 老廃物を流すイメージでリンパに沿って鎖骨のところまで撫でるようにしてみたり顎のラインから耳の裏へと流すようにとしてみたりと、見よう見まねで習ったことはないけれど特に害もないだろうからそこは気にしないでいる。



「ひゃっ」


「あ、ごめんごめん」


「ちょっと。夏織」


「オイルだからさ、滑るの」


「もう。そんなこと言って」


「ふふふ」


 そして私がときどき鎖骨まで流したあとそのまま襟の間に手を入れて、どうしてもゆるくなってしまうブラのせいでできてしまっている隙間から幸のちょっとはある慎ましやかな膨らみまで手を滑らせたりなんかしていると、幸は、ちょっとやめてよと言いながらもそのたびに可愛らしい反応を見せてくれてもいた。


「うひゃ。もうっ」


「わざとじゃないから」


「嘘つき」


 幸は可愛らしく頬を膨らませているけれど、その顔は、しょうがないなぁと思ってくれているみたいでもある。幸は優しいのだ。



「確かカッサもどっかにあったと思う」


「カッサかぁ。懐かしいね。あはは」


「そうかも。ふふふ」



 こうしてマッサージをしているとたまに幸が下から手を伸ばして私の頬や髪を撫でてくれる。見つめあって微笑みあう私達。

 幸が私に向けて、んーと唇を尖らせる。私は嬉しくなって、体勢がちょっとキツいけれど頑張って体を曲げてその唇にそっと触れる。その間にもときどき手を滑らせてイタズラするのも忘れなかった。ふへへ。




「ねぇ夏織」


「ん、なぁに?」


 幸が私の髪を撫でる手を止めて私を呼んだ。その声は少し上擦っている。


「あの、さ」


 体をもじもじさせた幸が、私の脚の間から上目遣いで私を見ている。

 それもそのはず、マッサージをする私の手は既に顔を終えていて、今はかなりの時間を掛けてもはやブラとしての意味があるのかと思えてしまうその隙間を掻い潜り慎ましやかな幸のソレの脇のリンパの辺りを沿うように前後に優しく撫でているのだ。

 けれどマッサージだから周りだけ。そこは仕方ない。だってこれはあくまでもマッサージなんだから。


「なぁに?」


 幸は下から私を見つめたまま少し息を荒くしている。胸が上下に大きく動いているのがマッサージをする私の手にも伝わってくる。こうしているあいだにも幸の胸の動きは徐々に速くなっていく。


「夏、織」


「してほしい?」


「…うん。だめ?」


「だめじゃない。してあげる」


 私が妖しく小声でそう囁くと、幸は少し震えて吐息を漏らした。幸の顔と体が恥じらいと期待が入り混じったモノを私に感じさせる。

 私は一度だけ頂に触れてマッサージをやめた。それにかわいく反応した幸の横に体を起こすようにして寄り添った。


 私は微笑みながら手を伸ばし恥ずかしそうに顔を横に向けている幸の頬を擽るように指の背をそっと這わせていくと幸はひゃっと小さな声を出して首をすくめて頬を赤く染めた。そしてうるうるさせた瞳で私を見つめて少し掠れて上擦った声でもう一度、夏織にしてほしいと私の耳に囁いた。


 乙女ながらもねだってくるというさすがな幸に、な、ななにこの可憐で可愛らしい女性はと、私は私で内心とてもどきどきしてしまっていた。

 それに、今の幸はなんかもの凄く…


「えろい」


 つい思ったことを呟いてしまった私を可愛く睨み、もうっとか言って怒ったように頬を膨らます幸。


「ぐっはぁ」


 そんな声を上げて私は即座にいってしまった。瞬殺だった。

 だってね、こんなものに耐えられる筈がないの。絶対むりだから。今の乙女な幸の破壊力は明らかに私のゆるふわに匹敵する代物だから。



「大丈夫?」


 そして、いつもいってしまった幸を笑ってしまう私と違って幸は照れたようにというか確実に恥ずかしそうに照れていながらもこうして私の心配までしてくれる。

 これで私が萌えない…いや、違うから。燃えないはずが…あ、いや、やっぱりこの場合は両方ともだから。萌えて燃えてというヤツだから。


「へいきへいき」


 内心のどきどきと萌えを隠して、敢えて余裕を見せながら私は唇を幸に寄せていく。背中に左手を廻し、もう片方の手はすでに慎ましやかな幸のソレに服の上からそっと触れている。幸は恥ずかしそうに腕で顔を隠している。


「幸」


「夏織」


 腕をどけて私に向いた幸の唇に私の唇を重ねて、私は奥へと入っていった。浅く深くを繰り返しながらそれに合わせて右手もまた弱く強くを繰り返しながら左手で背中から服をたくし上げて中に入ってその綺麗で滑らかな肌を撫で上げると幸はまたひゃっと声を出し私に体を預けてきた。私は幸を抱えるように抱き直し着ているものを潜って直に慎ましやかな膨らみとその頂に触れ始めると声を出しかけて慌ててそれを我慢しようとしている幸に私は声を聞かせて欲しいなと耳元で囁いた。幸はいやいやと首を振りながらも切なそうな声を私に聞かせてくれる。その愛しい声を聞きながら私は幸を慈しむ手をさらに下へと這わせていく。辿り着いたその場所で幸を隠す布の上から指をそっと前後左右に遊ばせながら頬やおでこや閉じた瞼に唇を寄せて少しのあいだ幸を慈しんだ私の唇は頸から鎖骨へと降りていきそしてついには慎ましやかなその頂もついに私のものになった。それから暫く幸の漏らす切ない声を聞きながらふたつの頂と布越しの幸を私の好きなように愛してから布の上でそっと遊ばせていた指先で優しく直に幸に触れた。幸は一層切ない声を聞かせてくれて早く私を招き入れようと自らそれを求めるように逃さないようにきつく私にしがみつき期待するように唇を寄せて私の首や頬にキスをしながら体を震わせて甘えた声で夏織もうお願いと伝えてくる。けれど私はもう少し待っていてねと妖しく微笑んでそのまま優しくゆっくりと時間をかけて幸を好きなようにしているともう一度お願いと震える幸の声がした。幸を私にされるがままでそれでも自身の内側から沸き上がるモノに耐えている幸の艶姿に感動しながら私はいよいよ幸の奥へと入っていく。私が愛する幸に優しく強く触れると直ぐに幸は体をさらに震わせて一瞬硬くしてはあはあと呼吸を荒くしているけれど私が止めずにゆっくりと動かし続けていると今よりも大きな波が幸を包み込み幸の体ははもう一度震えて硬くなった。それを何度か繰り返しているうちにこれまでよりももっと大きな波が幸を包んで攫っていこうとしていた。幸のあれやこれやな姿を目にして実際に幸に触れていてすでに昂ぶっていた私ももう準備ができていた。私は慌てて私を幸に合わせて幸に遅れないようにけれどあくまで優しくゆっくりと動き幸と私自身を導いていく。そしてついに大きな波の衝撃が容赦なく激しく私達を襲いその体だけでなく心をも満たしつつ私達を攫っていった。攫われる瞬間あまりのその衝撃に私達はあとで恥ずかしくなってしまうくらいの大きな声を上げていた。



 その波が引いたあと幸は体の力が抜けてしまったかのように私にしな垂れ掛るようにもたれかかってそのまま動かなくなった。そして私もまた苦しく息を吐きながら幸にもたれていた。

 私は幸を知っている。幸はこれで充分に満たされたのだから、私はこのまま幸を休ませることにした。



 そして今、幸よりも早く復活した私はいまだに呼吸を荒くしている幸を片手で抱きながら、頬やちょっとはあった胸にキスをしたり乱れた幸の髪をそっと撫でたり指ですいたりしながら幸せそうに、けれど少し苦しそうにしている幸を、愛しさいっぱい溢れるほどに優しく見つめていた。



「あ」


 またしても降りてきたのだ。幸を抱くこの感じはもしかすると、先週お風呂で想像した赤ちゃん的なナニを彷彿とさせるなぁと思いつき、私が頭の中で大丈夫でちゅかー、幸はいい子だねーとかそんな言葉を浮かべていると、幸が目を開けてもぞもぞと動き出し、顔を上げてじっとというか寧ろじとっした目で私を見つめだす。そして何かに気づいたのかその幸がにまっと微笑んだ。


「あ、夏織ママー」


「あ゛誰がママだ、って…あれ?」


 なぜかバレてる私の妄想ひとり母親プレイ。幸は忍ばすくくくと笑っている。余韻に浸っていた筈なのに見抜いてしまうとはさすが幸。


「くくく」


「何でバレる?」


「さぁ?なんでだろねー」


「いや、ちょっとてかかなり恥ずいんですけど」


「ママあのね、くろいやつがね、ママにあいにくるよ?」


「こら幸。そんなこと言っちゃダメでしょう?」


「でもママうしろうしろー」




 ヤツは来た。そのせいで幸の笑いが収まるまで私の身悶えは終わらなかったけれど、またまた全てをなかったことにしようと私は決めた。

 そんなプレイ、私は知らないししたこともないししたりもしない。だから私はもう平気だしと、ふんすっと幸に勝ち誇った顔を向けたけれどその幸は私に抱かれたまま真面目な顔を私に向けていた。



「どうしたのそんな顔して」


「夏織はさ、子供欲しい?産みたい?育てたい?そう思ったことはある?」


「いや全然。まったく。ぽっちも思わないけど、何でまたいきなりって、ああ、幸は今のヤツでそう思ったんだ」


「うん。もしかしてそうなのかなってね」


「私は欲しくない。望まない。要らない。思ったこともないよ」


「そっか」


 幸は明らかにほっとしていた。その幸の様子に私もまたほっとしていた。取り敢えず私と幸は同じ方向を見ていると分かったから。

 私が心から望んでいること、私が一生を閉じるまで幸の傍にいるためには、まだ話し合わないといけないことはあるけれど、先ずは一つ、このことで揉めずに済むのは素直にありがたいと思う。



「幸は?」


「私もいらないけどさ」


 敢えて訊いてみたけれど幸はやはり興味すらない感じ。べつに欲しくないと幸は首を横に振った。


「そっか」


「うん。子供を望んでいる人達はすごいよね。覚悟とか」


「うん。けどやっぱり大変なことも多いみたい。話を聞くとさ」


「そうみたいだね」


「うん」


「それだけ頑張ったのに子供を産んだあとに別れちゃったってカップルの話、わたし聞いたことあるよ」


「あー、私もあるかも」



 もしもそのカップルが結婚できていたら、その結婚を法律上の婚姻として認められていたのなら、その結末はまた違ったものになっていたのだろうか。

 ふと、そんな考えが浮かんできてしまった。


 たかが紙切れ一枚、されど紙切れ一枚以上の重みがある、提出して受理されれば法律上の婚姻を認められる婚姻届。

 けれど、私達にいま用意されているものはパートナーシップ制度を導入している各自治体が条例を根拠に、または要綱(ようこう)通りに発効するパートナーの証明書。

 痒いところに手の届くのかそうじゃないのかよく分からないソレを、私達のことを尊重して導入してくれる意思というか意識というか気概というか、そのこと自体はありがたいことだと思う。

 けれどソレすらも、その自治体を出ていけば、転出せざるを得なくなってしまったら無くなってしまうもの。


 又聞きだから事情はどうだか知らないけれど、パートナーが授かった子供ですらそのカップルの(かすがい)にはならなかった。

 けれど、もしもそのカップルが法律上の婚姻を認められ、異性間の婚姻と同じ権利とそれに伴う義務を認められていたならどうだっただろう。この国や社会や周りを取り巻く人達も認めていたのならどうだっただろう。


 それなら別れずにいたのかもしれないなんてことをつい思ってしまう。そんなことを思ってしまうのは、たぶん私には手にすることのできない現状の婚姻届だからこそ、その効力にそういった抑止力的なものもあると感じてしまうからなのかも。


「うーん」


 そこまで考えたけれど、まぁ、もちろんそんなことは誰にも分かりはしないから考えるだけ無駄なこと。

 そうだった。私達はたらればの話をしたら切りがないのだ。



「ま、いっか」


 まぁべつにいいかなとそれを頭から追い出そうとする私の手に柔らかく温かなものが触れる。

 細くて長い、けれど力強くて温かい幸の手だ。私を心配しているのだろう、幸は私を優しく見つめながら私の手を指を絡めてぎゅっと握ってくれた。


「終わり。意味ないし」


「だね。意味ないよ」


「さちー」


「おっと、どしたの夏織?」


 あまり楽しくない思考をちゃちゃっと追い出して、私は幸にしがみついてぐりぐりと顔を擦り付ける。なんとなく幸に甘えたくなったから。なんとなく慰めてほしくなったから。


「あはは」


 幸は、あらまかわいいねと笑って私を包み込み、暫くのあいだ私を抱き締めて髪を撫でてくれた。やはり幸は私に凄く優しいのだ。


「夏織には私がいるよ」


「うん。幸には私がいるから」


 幸が私を抱き締める腕に力を込めた。それだけで凄く癒される。こうして私を気に掛けてくれる女性(ひと)がいる。私の傍に幸がいる。私は幸せ者なんだと思った。





「ありがと幸」


「夏織はそんなこと、いちいち気にしなくていいの」


「うん。でもありがと」


「いいよ」



 優しい幸のお陰で何となくささくれ立っていた私の気分は落ち着いた。

 それを理解したした幸が待ってましたとやる気を出そうとしているのが分かる。


「じゃあ、さ」


「してくれる?」


 相手の心の動きを読み取って先に仕掛ける的な、よく分からないけれどいわゆる先の先みたいな何かそんなヤツ。

 幸にみなまで言わせずに、はやく私を愛してほしいな的な、期待に満ちた潤んだ瞳を向けるゆるふわ攻撃三の型((いざない))。照れてもじもじしながら幸の腕を抱え込むのも忘れない。



「くはぁ、かわいすぎだよ」


 効果は抜群。幸はそんな声を出しながら嬉しそうに襲いかかってきた。

 私だけ愛して終わる筈もなく、やはりこうなったかと思いつつ私は顔を綻ばせ幸を全身で受け止めた。


 んっ


 これからあれやこれやと時間をかけてなされるがまま従順に、私は文字通り全身で愛しの幸を受け止める。


 んっ


 こうして幸に愛される私は今とても幸せなんだからって、ひゃあ、ちょっ、と幸、ったら、いき、なりそ、んなと、ころぉぉぉ……


 んんっ



 もうむり、むりだって、むりだからぁぁぁ……


 んんんっ





「大丈夫?」


 そしてことの終わり、私は幸に優しく抱かれている。その腕の中で気怠く疲れ果てながらもやはり心身ともに満たされている私。苦しかった息遣いは殆ど収まっている。


「うん、へいき、へいき」



 こうして幸に抱かれる前に私は疲れた体をどうにか引き摺って幸をぽかぽかしてやった。このっこのっという感じで。


「もぉ。いき、なり、あんな、の」


「だって、夏織がかわいくって。嫌だった?」


「そり、ゃあ、嫌…じゃ、ない、けどさぁ」


「そっか。ならまたして、あ、げ、る」


 妖しく笑って私をからかう幸。私は照れ隠しにまたぽかぽかと幸を叩いたけれど、へろへろパンチはぺちぺちと音を立てただけで幸は気にもならないようだった。


「く、そう」


「残念だねー」


「お、ぼえ、てろ」


「あはは」



 そして今、いつものように幸の可愛らしい愛情表現を頬や胸、髪やおでこに受けながら私もまた幸をもっと近くに感じようと汗とか諸々で湿った体をさらにもぞもぞと寄せていく。もう既にぴたりと密着しているけれど、そこはほら、気は心というヤツだから。

 ぐいぐいとやっているうちにだいぶ幸に近づけたかなとそんな気がして満足すると、私はおとなしくして愛しの幸に身を委ねた。こうしていると凄く落ち着ちついてだんだんと眠たくなってくる。


「ふわわぁ」


「眠たいの?」


「うん。少しね」


 私がぐいぐいやっていても幸はあははと笑っているだけで文句のひとつも言わないし、今も幸は私を優しく抱いてくれている。私の愛しさは満タンどころか、それを通り越してもはや溢れてしまっていた。


「ありがと幸」


「なぁに?」


「なんでもない」


「へんなの」


「いいのいいの」



 愛しさをダダ漏れさせながら、私はふと思う。毎回これだけめちゃくちゃあれやこれやとがんがん攻められて体力的にはかなり辛いのに、なんで痩せな…体重は落ちないんだろうか。

 まさにほんこれ、人間不思議不思議だねというヤツだ。


「不思議」


「また?どうかしたの?」


「ううんべつに。ただね、好きだよって思ったの」


「おっ、私も大好きだよ」


 私の髪に唇で触れた幸は私を抱く腕に力を込めた。溢れ出した愛しさは全然止まらない。私はそれを伝えようと幸の胸にキスを返した。


「あのさ」


「んー?今度はなに?」


 さすがに少し呆れた口調で訊ねる幸。今度もすかされると思ったのだろう。

 私はその期待を裏切らなかった。今はなんか凄く眠いから。


「ふわぁ。やっぱなんでもない」


「やっぱりかぁ。なんだそれ」


「怒らないで」



 私に幸の時間をちょうだい。この先の一生を閉じるまでの時間を。私はずっと幸と一緒にいたいの。私は貴女を愛してる。



 そう言おうと思ったけれど、結構な疲れと愛しの幸に抱かれている温かさのせいだと思う。やっぱり凄く眠くなってきたからまたそのうちにしようかな。はい残念。


「ふわわぁ、少し寝る。いい?」


「いいよ。おやすみ夏織。またあとで」


「うん。おや…すぴー」


「えっ。はやくないっ」


「すぴぴー」





 あのね、ひとつ言っておくけれど、私の鼻の中に笛が入っているわけじゃないから。それ絶対違うから。


 私はいまそんな言い訳を幸にしている夢を見ている。





あらためまして、ブックマーク、感想、読んでくれている方、励みになります。ありがとうございます。これからもお付き合いのほどよろしくお願いします。


真面目か  いいのいいの


読んでくれてありがとうございます。



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