旅路と誓い
「ティルクス…」
「どうしたイベリス」
「……サニカ様とルトラウス様に挨拶を」
「………来て欲しくない日が…いつかは来ると覚悟は持ってたが…来てしまったんだな…」
「ティルクス…あなたに渡す言葉は今日の夜に…トウリにも今日の夜に…それまでは…恨まれるかもですけどね」
「オレたちの息子はそんなやわじゃないぞ?カルミアにはどうする?」
「あの子はもう寝所に居ないので…」
「だとするとばあちゃんたちも起きてるかもな」
「ですね…あの方たちはホントに勘が鋭いですからね」
「歩けるか?」
「はい、今日は身体がすこぶる軽いのです」
家を出て歩いていると…ばあちゃんが居た。
「ティルクスとイベリス…と言うことは今日なんだね」
「はい」
「!…なら今日は家族で過ごー」
「いいえ、いつも通りでお願いします」
「そうか」
「こちらの方がトウリも混乱しませんから」
「聡いからなトウリは」
「どうか宜しくお願いします」
「なに言っているんだ…家族は支えるもんだ」
「今日を存分に楽しみなさいね」
「はい」
「それじゃばあちゃんたち一旦家に戻るわ」
「あぁ」
去っていくふたりを見守る3人…
「この時が来たんですよね…うぅ…ぐすっ…」
「…カルミア…大丈夫か?」
「無理ですよう…!…お姉ぢゃん!」
「イベリスはここまで頑張ったんだよ」
「知ってますよぉ…」
「カルミアをこのまま出したらトウリに悟られるな」
「感情無くす魔法有りませんか~!」
「止めときなさい能面のようになるよ」
「あっ…止めときます…涙引っ込んだわ」
「…カルミアもいつものテンション頼むぞ」
「はい…出来るかな……もう甘える年じゃないのに…ね…」
「さてこちらもいつも通りにね」
「そうだな」
「ルトラウスさん…足かくかくしてますよ?」
「不安が残るな……今日…今日だけは許して欲しい…【タイム・スロー・ファクトリー】…」
◇◇◇◇◇◇◇◇
「トウリ~」
「分かってます…かあさん…おはようございます」
「ふふふ…おはようございますトウリ」
「とうさん…きょうは早いですね」
「おう…今日はさっぱり起きられてな」
「めずらしいこともあるんですね」
「…トウリも寝坊しなかったな」
「ほっといてください」
「今日はオムレツですよ」
すっとトウリはすぐさま座った。
「先に食べて良いですよ」
「いいえ、きょうはかあさんもいっしょがいいのです」
「そう?…なら少し待っててね」
「…トウリどうした?」
「たまにはいいじゃないですか?…だめですか?」
このすました顔…くっ!イベリスに似てる分超可愛い!
「いや…母さん孝行の良い息子だ」
愛息の頭をなで回した。
「それじゃ皆で一緒にいただきます」
「「いただきます」」
こうして家族3人での朝ご飯を過ごした。
「それじゃ…いってきます」
「気を付けて行って来るのですよ」
「はい」
トウリはばあちゃんの授業を受けに向かった。
「ティルクス!イベリスちゃん!」
「お姉ぢゃん!」
「タイミング見計らってただろ」
「当たり前だろ!」
「「トウリはちゃんと勉強しに向かったから平気よ」」
「あら…アリンさんにソリンさん」
「我輩たちも入るぞ」
「カフェルネさんに」
「あたしたちもね」
「皆さんどうして…」
「……今日行くんだろ?」
「!」
「ルトラウス爺…演技下手なんだよ」
「そこからバレたか」
「もう…挨拶くらいさせてよ…イベリス本当に良く努力したわ」
「イベリス…良い旅路になると良いわね」
「今日は存分に過ごしてね」
「ティルクスとトウリなら安心してね…見守るから…」
カリーナたち…泣いてんじゃないか…。
「………我輩の寿命を分けたい」
「それは無理だぞカフェルネ」
「ルトラウス爺…」
「サニカに役に立たんと追い出されてしまったよ」
「…もう…こんな風に別れたくないのですが」
「すまんなイベリスちゃん…長生きなのが多いから別れるのは慣れてねぇんだ」
「私の事でしんみりしてくれる人たちが居てくれるなんて…嬉しいものですね」
「イベリスちゃん…また…また会おうな」
「はい」
「お姉ちゃん…ティルクス義兄さんと楽しんできてね」
「カルミア…幸せにならないと許しませんからね」
「わかってますって」
そう言ってカルミアたちは帰っていった。
「イベリス…泣いたって良いんだぞ?」
「いいえ…皆さんには笑顔の私を覚えていて欲しいのです」
「そうか…なら何も言わないよ」
「ティルクス…デートします?」
「公明正大にデートか…ならあそこが言いな」
「あそこ?…きゃ!」
「飛ぶぞ?」
「わかりました」
イベリスを抱え【星の海】に飛んだ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
【星の海】……星屑の浜辺
「こんな常に星が見える場所があるのですね」
「安心してくれテムルとオルセと一緒にここの主〆たからモンスターは出てこないからな」
「そうなのですね…こうしてふたりで過ごすのは新婚生活振りです」
「そうだな…」
「もし良いじょ」
「イベリス以上の女は出てこない」
「えーと…」
「オレはイベリス一筋だ」
「はうぅ…」
「イベリスとトウリは世界一だから」
「…もう…ティルクスたら」
イベリスの照れた表情は本当に綺麗だ。
ふたりでトウリが自宅に帰ってくるまで砂浜でたくさん話をしてゆっくり過ごした。
「ただいまもどりました」
「お帰りなさい…トウリ」
「とうさんはまだなのですか?」
「えぇ…でももうすぐ帰ってきますよ」
「てあらいして…とうさんがかえってくるまでへやでべんきょうしてます」
「ふふふ…」
「なんですか?」
「本当に可愛いなと思って」
「……うぅ」
照れくさそうにトウリは手を洗い自分の部屋に向かった。
「お帰りなさいティルクス」
「ただいま…トウリは戻ったか」
「はい」
「ばあちゃんとじいちゃんが共同で作ったケーキ貰ってきた」
「今日はトウリの5歳の誕生日ですからね」
「オレも料理手伝わせてくれ」
「わかりました…沢山…沢山作りましょう」
夫婦で息子の為に沢山の料理を作り上げた。




