女子だけの悪巧み
「ふぁ……イベリスは相変わらず早いな…」
「あぶぅ……」
「トウリも起きてたか……連れてくか…」
息子を連れ居間に行くと…
「おはようございますティルクス、トウリ」
「おはようイベリス」
「カルミアはもう出たのか」
「えぇ、アスエルとユフィと約束が有るそうですよ」
「そっか…」
「私も今日は村の女性たちと村の外に出ますね」
「わかった、無理は」
「わかってますよ、トウリを頼みますね」
「トウリ、今日はオレと留守番だ」
「うー…」
「マジ天使だ」
「ふふ…朝ごはんは出来てますから用意しますね」
「助かる」
家族で少しの間のんびり過ごした。
「イベリス早いわね!」
「カリーナさんこそ」
「アガーテは母さんたちに預けてきたわ…女たちで活動するのも楽しいわよ」
「そうね~話し込んだらもう夕方になっちゃったってあるもんね~」
「どうしてわたしまで…子供たちは母さんたちに預けてきたけど…」
「ミリアもたまには運動しなさいな!」
「シカナさんは無理しないでね」
「ラミーは凶器の金棒を仕舞いなさい、今日の目的は男たちには薬草とかの採集と言ってあるけど実際は魔神教の団体さんを追い返す事です」
「魔神教が来る方向は?」
「アリン…せっかちが出てるわよ」
「子供たちには見せたくないもの」
「私たちも親になって父さんたちの気持ちが理解できるようになるなんてね」
「先に出ているアスエルたちからの情報だと追い詰めるのに成功したからこのまま下った先に来るそうだ」
「ならそこで仁王立ちでもして待ってれば良いのね」
「仁王立ちって…アリンがますますオルセに似てきたわ」
「男の子の母親になると強く逞しくなるものよ~」
「ラミー…あと何個その凶器ある?」
「一応サニカ婆以外の全員分のを用意してあるわ」
「サニカ婆は刀抜かないでよ」
「抜かないよ、待ってきてないから私は魔法を中心部に繰り出すよ」
「余計に心配になってきたわ」
「なるようにしかならないわ…だから来るまで待ってましょう…」
数十分後
『来たわよ…話し声を聞いてみましょう…』
「あの村の者たちとの対立は3000年にも及びます…受け入れてくださるでしょうか」
「村には入れてはくれないでしょうが…話ぐらいなら聞いてくださるでしょう」
「魔神様の封印された肉体までも食われるとは…アレは一体何だったんだ」
「コレからどうなるんだ……大半の者は魔神様を食らった者に付いていってしまった」
「我々はふたつに別れ…殆どの者は向こうに行ってしまわれました…ここに居るものは向こうに馴染めなかった」
『そろそろ出ようかね…出てきて良いと言うまで出てこないんだよ?わかったね』
『わかったわ』
「おや…随分と珍しいお客さんだね」
「その声はサニカ…か」
「村に何の用だい?」
「そこまで読まれてましたか…」
「お前さんが居るとは…よっぽどの分裂みたいだね…ワダミル教皇様」
「そうだな…3000年以上の長い歴史が奴の出現で1日で終わったよ」
「どんな理由があろうとも悪いけどこの先は進ませないよ」
「!……この魔力…!…くっ…やはり!」
「ふぇぇえ!…ふぎゃあ!」
「赤子も連れているのか…でも容赦はしないからね…お前さんたちがしてきた事の重さはわかっているね?」
「ほんの少しでいい話をー」
「……そろそろ出てきて良いぞ」
「情けないわねバルセイルとアルーヴ」
「!…シカナか」
「私たちも居ますけどね?」
ぞろぞろと女性陣全員が出てきた。
「いつの間にか新顔も増えているのか」
「えぇ」
「ミリアが外に出てるなんて」
「人は変わるものよ…」
「女性陣しか居ないが」
「止しなさい…ヤバイ凶器持ってますよ」
「取り敢えずコレが必要だね」
ポンっととても大きいテーブルセットを出した。
「コレで良いか、時間ならたっぷりある、それにお腹を空かせた子供たちも居るんだろ?私はそこまで鬼畜になるつもりはない…と言っても用意出きるのは限られているけどね」
「……助かる」
◇◇◇
「それにしても良く食べるね」
「まともにありつけなかったからな」
「サニカ婆が炊き出ししてる」
「サニカ婆らしいわ…」
「サニカさんたら…敵に塩を送ってるわ」
「……ミストルの奴…イベリスにガン飛ばしてる…」
「でも余裕で流してる辺り村に染まったわね」
村の女性陣はサニカとイベリスの様子を見ていた。
「ティルクスがたまに話してくれますが……ミストルさんティルクスと別れてくれてありがとうございます…別れてくれたお陰で私は最高の夫に出会い最高に可愛い息子に出会う事が出来ました」
「なっ!」
「ふふふ…ティルクスはいろいろと逞しですし…頼りがいがあります♥️」
グサッとイベリスはミストルに300のダメージを与えた。
「眠っているはずじゃ…」
「3年前にとっくに起きてますよ?」
「彼女の言う通りティルクスは目覚めて覚醒したわ」
「あの頃より魔力の質も良くなって…最高になったわよ…」
「ガタイも良くなってきたし~男らしくなったわ~」
「そうね、薬草育てるのも磨り潰す加減も上手くなったわ」
「結婚してさらに強くなったね」
シカナはミストルに100のダメージを与えミストルは震えている。
「出会いは衝撃的でしたが…ぽっ」
「もう…顔赤いわよ?こっちまで恥ずかしくなってきたわ」
「ホントにティルクスを思ってくれるのね」
「ピンクオーラ全開ね…」
「守りたいこの笑顔的な?」
ミストルはイベリスを襲ったが…イベリスはがっしりとミストルの両腕を掴みミストルの動きを止めた。
「あら…どうしました?」
「惚気るな!人前で!」
「余裕無さそうですね」
「くっ!腕力が意外にある…!」
「そうですか?村だとかなり下の方なのですが…そうでした私たちは強化されているのでしたね」
「さっきからチクチクと!」
「私の夫が受けたダメージのお返しです」
その様子を見ていた村の女性陣は…。
「イベリスの周りから吹雪が」
「サニカ婆の方もバチバチし出したわね」
「そんな場所には住めるわけないだろ!……何だ!…この腹の痛みは!……ぐぉお…!」
「君と私にさっきからチクチク攻撃しているバカには特別に下剤を仕込んで置いた…これぞ戦わずして勝つ戦法さ」
「なっ!……ぐぉお!ヤバイ!」
「きっ来た……!」
「はっ腹が!」
「やっヤバイ!」
「コレで会うことは2度と無いだろうか?最後の情けを掛けてやる、この世の果てまで飛んで行け【テンペストタイフーン】!」
意外にも荒々しい風じゃなく優しい風に包まれながら魔神教の信者たちはどこかへ飛ばされていった。
「こんな女に負けるのは嫌だーー!」
「サニカ義母様直伝ジャイアントスイング!」
「んぎゃぁあああああ!」と叫びながら優しい風に包まれながら飛んでいった魔神教の方と同じ方向に投げ飛ばされていった。
「あんまり強くなかったですね…ティルクスはアレのどこが良かったのでしょうか?」
「交渉決裂…常識を説いても駄目だったね」
「私たちが動く事はなかったわね」
「この金棒は脅し用に持ってきたけど」
「向こうは丸腰だったから使うことはなかったわね」
「そこまで激しい争いにならなくて良かったわ~」
「サニカ婆が食事に仕込んでいたからね」
「そこまで悪に染まってない母親と子供たちには仕込んでないよ」
「コレでしばらくは平気かしらね?」
「たぶん大丈夫…」
「どこに飛ばしたの?」
「【絶壁の孤島ザンリア】だよ、そこなら猛獣は居ないし食料はあるし温暖だけど虫を食べて育つ植物が居て感染症になること無いし近くに最果ての村【エンピエンド村】があるからね」
「あぁ…魔神教のギリギリ良心がある?残党はそこで静かに暮らすようになるわね」
こうして新たに誕生した【魔神ラディオルエンド】と名乗る者から離れていった魔神教の残党は【絶壁の孤島ザンリア】に運ばれた。
島に着いてから5年後にミストルは【エンピエンド村】と交流し音楽の才能を子供たちと共に開花させた。
音楽の力で発展させると言った事で親世代と争いそれに勝利して代表の座を手に入れた、そこから【絶壁の孤島ザンリア】は劇的な発展を遂げるようになる。
後にこの島は良心を取り戻した罪を償う者が集まる様になり後の世まで続くどの国にも所属しないそして手を出しては国の恥と呼ばれる独自の発展を遂げる街となるのであった。
そこの代表は吸血鬼を先祖に持つ事によって夜に行われる【夜の演奏会】と言う名物が誕生し音楽家が憧れる街としても有名になるのであった。




