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元勇者の転生人生記録  作者: 冬こもり
【勇者卒業の章】
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キレた六人VS通常運転の四人

「準備運動完了と…」

「わたしも良いよ」

「…念入りにしないとな」

「私も良いですかね…バレるまでは歩きながら隠れ移動しましょう…バレたら全力疾走でね?」

「相手が相手だから……大丈夫かしら…」

「自分の力を信じるしかありませんよ…ラセスの加護がなくなる前に着きたいですね…では動きましょう」


一斉に歩き出した。


「この様子なら目的地まで着きそうだね!」

「逆に静か過ぎて怖いな」

「確かに…」

「…!…見られてるな」

「誰に!」

「森全体から視線を感じるんだが…」

「…なら居場所バレてますね」

「まだ百メートルしか歩いてないのにな」

「なめて掛かるとヤバいんだろうな」

「…なら走るしかないよな!」


ビュンッ!と弓矢が飛んできた!


「「「「ひっ!」」」」

『あれ?当たらなかったな』

「この声はシオン!」

『この森は僕の広場だから…早めが良いよ?』

「遅かったのは仕様です」

『そう…頑張るんだね…僕たちも全力で捕まえに行くからね?』

「ヒィイイイイ!」

「やっべ!」

「逃げろー!」

「みな使いますよ!【ハイブースト】!」

「うぉおおおお!」


奥の手その1をすぐさま発動しラセスの加護を合わせた走りとセルクシアの加護で障害物の破壊活動をしながらハイスピードで進んで行った。


大樹までの距離残り20キロ


「何なの!あのマッスルな花たちは!」

「シオンが私たちの知らない種を持ち込んでいたか自ら作り出したかですよ」

「結構な距離走った感じがするけど」

「この橋を渡らないと行けないのか…」

「ジャンプで乗り越えるか?」

「出来なくはないと思いますが…失敗したら終わりです」

「わたし…ハイビーストに変身するよ!」

「パエール…それは最後の手段だ、ここでやるべきじゃないぞ」

「わたしの変身した姿の背中に乗れば…時間の省略を出来るよ」

「ベルトはあるのですか?」

「うん、お父から持たされてるよ」


パエールはハイビースト(聖獣)と言われる伝説上の種族として生を受けました。

母シカナさんはクイーンコボルトで父ヒュースさんは伝説に残るワーキャットの義賊王【ルイーゼ】の子孫で今となっては人間の血がとても濃いのにヒュースさんの血筋に伝わる【変身用のアイテム】を使うことで3メートルほどの逞しい猫型の獣の姿に変身することが出来るのですが、パエールだけは伝説のハイビースト(聖獣)に変身することが出来るのです…最後に見たのは2年前ですね。


「変身してある程度距離を稼いじゃおう…わたしまだ30分しか変身出来ないし…」

「良いのかパエール?」

「うん」

「わかりました…なら頼みました」

「変身!」


ポンッとハイビースト(聖獣)の姿にパエールは変身しました……前回は3メートル程でしたが約5メートルぐらいの大きさになってます…いつみても神々しいと言うか四枚の翼が生えたフェンリル?の様な見た目をしてますが…可愛い顔をしてます。


『みんな背中に乗って!』

「背中を借ります」

「相変わらずモフモフしてて最高だな…」

「乗せて貰うぞ?」

『みんな、ちゃんと掴んでてね?ハイスピードで飛ぶわ!』

「うっひゃーー!高いな!ここまでなら攻撃届かないんじゃないか?」

『これ以上は高く飛べないみたい』

「……攻撃が来ますよ!」

「うぉ!まじか!…【バリアエレメント風】!」

『にゃ!…急いで行けるとこまで行かないとね』

「守りは任せてパエールは安心して飛んでください」

『わかったわ!』

「それにしてもよくここまで届くな!【バリアエレメント水】」

「向こうは覚醒してますからね【バリアエレメント炎】」

「こうなれば【スピードアップ】!」


ぐんぐん進み残り1キロの距離までパエールのお陰で絞る事が出来た。


「ふぃ~…疲れたぁ~」

「パエールは休めおれが背負いながら動くよ」

「ありがと~」

「オイラが先頭を歩くよ大樹が見えてきたしな」

「私が最後尾で歩きます」

「あと少し!気を抜かないで歩くぞ」

「なんかヤバそうな魔力が近付いてくるのを感じるんだが…」

「早足で向かいましょう」

「まぁーてぇーー!」

「キャーーー!来たーー!」


残り500メートル


「後ろに六人全員いますよ!」

「私たちに捕まりなさーーい!」

「お兄ちゃん!待ち!」

「あたしたちの攻撃網からは逃げられないわよ!」

「まてゴラ!マナトぉお!」

「何で名指しでオイラ!?」

「素直に捕まろうや」

「シオンの口調が!いかつく!」

「大樹様!助けてぇえ!」

「あと少しで…!」

「あっ…」


マナトが木の根っこに足を引っ掛けました。


「お前たちは逃げきれー

「一緒に逃げるんだよ!オラァア!」


ラカンが根性出してパエールを背に乗せたまま腕を掴みました。


「私もやります!ここで出来なければ男が廃ります!」

「このまま走るぞ!コレで助かるんじゃぁああ!」

「行きますよぉお!」


ラカンと共にマナトを掴んだまま走り抜けました。


ゴーーーール!!


「何だ…はぁ……何か……聞こえたぞ…」

「もう…動け…ません……」

「ラカンコケたけど平気?」

「大…丈夫…だ…」

「少し…休憩…させて……ください…」

「……………」

「マナト気絶してるわ」

「…だいぶ息が整ってきました」

「失禁してないだけ良いんじゃないか?」

「今はなぜか向こうは入れないみたいですからね…今日の内に登って安全を確保しましょう」


どうにか残った体力を使い大樹の頂上に登り安全を確保し何も食べずに寝ました。


◇◇◇


「根性出したわ…ラカン」

「そうだなラカンは途中で手を抜いたり甘いからな…ネムリアの魔法は凄かったな」

「ほぼ当たってたよ」

「パエールさらに大きくなってたわ」

「俺とシカナの才能全て受け継いだ天才娘だからな」

「………ゼッタイニユルサナイ…」

「ティルクスから黒いオーラが…」

「ヨクモトウリヲ…」

「コチラもだ」

「あれだけの事をされたからな」

「トウリ可愛かったわね~…この事は胸の奥に仕舞っておこうね~」

「「何か不安になってきたわ…」」

「残りの4日だ…見守るしか出来ねぇからな」


子供たちの頑張りを見ていた親たち……このサニカ式キャンプの後でとあるギルドマスターととある教会のお偉いさんにブラッティーな惨劇が起きたとか起きなかったとか…。


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