老人の秘めた力
「おばあちゃん!どうしてココに居るの!危ないわよ!」
「シカナたちは休みなさい」
「ナシュタちゃん行くぜ!」
「そうね…モードチェンジ【解除】」
ピカッと光りそこには若返ったふたりが現れたのであった。
「この姿になったのはいつ振りだ?」
「そうねぇ…約2000年振りかしら?」
「その姿は【獣王】と【翡翠姫】だと!既に死んだはず!」
「ワシらは…魔神がこの世から消えぬ限り死ねないのでな?」
「ルトラウス様たちに鍛えられた技を存分にお見せしましょう」
「3000年前の戦争の続きを始めようか」
「ひっ!ひぃい!」
「撤退しろ!予想外の奴らが生きていやがった!」
「撤退ーー!」
【だから魔神教は姑息な手段で人を拐い数を増やし…弱いと言われるんだ愚か者ども!潔く魔神カストルファ様の贄になれい!】
「何だと!」
「コレだから弱いんだ…ナシュタちゃん」
「…この姿にならなくても良かったのでは?」
【死にさらせ!3000年前の亡霊ども!!ドラゴンブレス!】
「ワンダン…プレイボールです」
ナシュタがドラゴンブレスを玉状にした。
「こい!…ルトラウス様に作り方を学び作ったバットで打つ!」
カキーーン!と幻聴が聞こえるぐらいのフルスイングで打ち返した。
【ギャアアアア!アチチチ!あっつ!!】
「飛び火してこっちにも来た!アチィイイイイ!」
「イヤァ!枢機卿の様に禿げる!!」
髪が燃える魔神教信者たち…
「今自分の所の枢機卿の事禿げって言ったわ」
「効くんかい!」
「自分で吐いたブレスでダメージか」
「コレだと他の所も同じような感じだな」
「堕竜だけど本物じゃなさそうですね」
「やはりか?」
「手応えがありません」
「どういう事なんだい?」
「人工的にその辺の巨大な竜を堕とした感じか」
「そんな感じよ」
「マグナ爺の剣とかでも効かなかったわ~」
「3000年経てば向こうも何か発見して対策を練ってくるだろうさ」
「試しにやってみようてきなノリだな向こうは」
「厄介ねぇ~」
「属性付けすれば斬れるかもな」
「あっ…忘れてた」
「あんまりしないものね…」
「このやり方を試してみて効いたら外の国の野郎共に教えてやるか」
「そうですね…」
「ナシュタ婆たちのお陰で休めたしあたしたちも行けるわ!」
「ふふふ…村の子供たちはホントに逞しいな」
「わたしも負けないわよ~」
とその時ポンっ!とお爺たちの解除が解けた。
「保つのムズカシクなってきたな」
「そうねぇ」
「ふたりは無理しない程度頑張ってくれれば良いわ」
「肉弾戦も時々やってるから強いわよ?」
「そうね…あたしも熊踊り投げしてるご老人たちみて驚いたもの」
◇◇◇
「マノリちゃんハッスルしてるかー!」
「おー!…それにしても弱いねぇ…3000年前の方が強かったよ」
「マグナ爺が!ガテン系の超イケメンに!」
「マノリ婆は可愛い系だ!」
「にしてはマリーナとマリウスは綺麗系だけど…」
「お母さんのクロエに似てるのよん」
「綺麗な子だったからな」
「アスルとエレス!余計なこと言うな!」
【くっ!村に向かった奴はもう駄目か!それにしても強すぎるだろこの村人!聞いた話と違うぞ!コチラにいた人間は吹き飛ばされた…なら!】
「逃げた」
バサバサと羽を広げ逃げていっていたが、マノリたちが元のご老人の姿に戻ったが槍投げの準備をしていて走りその槍が羽を貫通したが必死に飛びながら逃げていった。
「あらら…逃げられちゃった」
「でも群れには帰れんし次会うときは意思を奪われ命令を聞くだけの獣と化しているだろう」
「しばらく来て欲しくないな」
「確かにな」
◇◇◇
「もう~無茶するんだから~」
「ホッホホ…楽しかったわい」
「昔を思い出しますねぇ」
「肩慣らしにはなったのう」
「ねえ…あちら側の様子が変よ?」
「ホントだ…」
◇◇◇
【どういう事だ!カストルファ様の望む御子様は居なかっただと!】
「そうなんですよ~あの【世界樹の理想郷】に攻め入ったら見つけたらしいんですよ」
【御子様は確保されたのか!】
「それが異世界から召喚された【勇者】によって邪魔をされたらしくて」
【小癪な!人間ゴトキが!】
「直ちに向かって貰っても良いですか?」
【任せよ!】
「隠れてるふたりも向かってね?」
「それを早く言って欲しかったんだけど?」
「無駄になりましたわ!」
「そこは後で埋め合わせしてあげますよ~」
「了解しました!」
◇◇◇
「どうする?邪魔しとく?」
「しなくて良いと思うぞ」
「へ?」
「あそこには【始まりの勇者の子孫】が門番をしておるからな…ワシらと違う意味でのヤバイのが居るぞ」
「ルトラウス父さんたちと同じような強さを持つらしいからねぇ」
「ふふふ…世界樹の理想郷の外なら認められればウロウロしても怒られないからね」
「あそこは別次元よ、花見しに行くくらいがちょうど良いのよ、もし門番が負ければルトラウス様たちよりさらに長生きのあの御方がいらっしゃいますからね」
じいちゃんやばあちゃんより長生きな人が居るのか。
「ふふふ…とても博識でこの世界の歴史を知っている方ですから」
「彼女は気まぐれだからね」
「それくらいじゃないと数万年と言う年月を生きられないよ」
「ティルクスは見たことないけどあたしたちは一度だけ見たことあるのよ」
「マジか」
「凄い綺麗な人よ」
「でも砕けた性格してるからとても話しやすいし」
「へぇ」
「あたしたちが花見をしてどんちゃん騒ぎしていると時々現れるのよね…」
「所でこの後どうする?村に引き返す?」
「そうね、もう危険も無さそうだし帰りましょうか」
「……このまま山頂まで行きましょう」
「えっ」
「どうしたのミリア」
「モヤモヤするのよね…さっきから落ち着かないわ…」
まだ何かあるのかよと皆が心の中で思った。
「なら子供たちは結界維持して土ごと持っていきましょう」
「わたしとティルクスのふたりで持ちましょう」
「わかった」
土を抉り子供たちをふたりで両端を待ち山頂まで移動した。