とある一族の終り
「じいちゃんたちただいま」
「おかえりティルクス」
「早かったな」
「良かった戻ってこれたみたいだね」
「申し訳ありませんでした」
イベリスさんが謝った。
「大丈夫、敵意が無かったから直ぐに解けたよ」
「500年の重みを感じたな」
「姉ちゃんの術を食らうと普通は倦怠感とかに襲われるのに…ピンピンしてる」
「元気なのが取り柄だからな」
トントン…とドアを叩き外からカリーナ姉さんがやって来た。
「ルトラ爺!サニカ婆!」
「どうしたんだ?そんなに慌てて」
「ドルクトスに堕竜がやって来たの!」
「ついに来たか」
「それはドルクトス周辺を根城にしている【ガルトレンディア】が担当して居るはず」
「それが一瞬で氷の中に閉じ込められたの!」
「…可笑しいなガルトレンディアの対の堕竜は【瑚雷】のはずだが…氷属性のブレスは吐けないはずだが」
「ドルクトスの国王様が一人で挑んでると情報が入ったの兵士たちがかなりやられたみたい」
「…クオルスか」
「心配なら助太刀に行ったらどうだ?」
「ルトラウス留守は頼んだよ」
ばあちゃんが家に飾ってある【秋和泉・豊幸】を持っていった…後ろ姿がゴル○○3の様だった。
「一発で終わらせるつもりだな」
「あれわたしだと言うこと聞かないのよね」
「触ると怒られるよね刀に」
「意思を待つ刀ですか…」
「姉ちゃん…規格外過ぎて怖い」
「さてと俺達は儀式の準備を始めるか」
「そうだった」
「…何からなにまで感謝します」
「この家の地下は祭壇として使えるからそこでやるぞ」
「じいちゃんオレはなにすれば良い?」
「テスは魔塗料をカリーナと作ってくれ」
「ん?」
「ティスと呼ぶのは止めてテスと呼ぶことにした」
「そこまで変わってないけど?」
「なんか気に入らないからそれでも良いだろ」
「わかったよ…」
「なになにティルクスさん恋人が居たの?」
カルミアちゃんはニヤニヤしていたが。
「最悪な別れかたしたけどね」
「…なんかスミセンでした」
「もう終わったことよねティルクス?」
「ははは…」
◇◇◇
魔のペンで見たこともない字を書き数時間後に始めた。
「準備は良いか?」
「はい」
「この儀式を行えば【護永の力】の継承は途切れ一族の終りを迎える」
「姉ちゃん…」
「この儀式は当代の後継者を媒体に自然界に力を戻し返す事で終了だ…終わらせ方は知ってるな?」
「はい…【我は当代の後継者…魔神の知恵と世界の護衛を永久に護り続ける誓いを当代にて終りとします…アンロック・プレリュード】」
瞬間に部屋が清らかな光に包まれたが途端に禍々しい魔力も現れだしたがオレには眩しすぎて見えない音が聞こえない。
【過去のの罪を終わらせるのか?】
「やはり現れたか【正常の門の番人】よ」
【観測者よ、この護永の一族は元は魔神を奉る大司祭の一族の末裔であり過ちを認め悔いて抜けた一族。
やり直すチャンスとしてこの役目を与えたが】
「そろそろ許してやっても良いんじゃないか?」
【魔神教の繋がりを断ち流星の大渓谷に住む清らかな種族【プチ星】たちと友好を結び付くまでに至った…そしてプチ星たちを天に上げた功績もあるのか】
「プチ星は気まぐれでイタズラ好きであり亡くなった偉人たちの魂でもある(記憶あり)…なかなか天に上がろうとしない厄介な奴らだ…俺も手玉に取られたぞ…冒険者時代にな」
【そうだな…良かろう…谷底に眠るこの者たちの一族の魂も許し天に登り世界の流れに戻る許可を与えん!……願わくは2度と過ちを踏まぬことを…望む。
願わくは………我は役目に戻りふたたび【世界の流れの門】が開かれない事を…】
◇◇◇
光が収束していった。
「姉ちゃん!」
「カルミア…コレでもう私たちは自由です…償いは終わりました」
「そうだね」
「これで裁断の遺跡は機能しなくなるだろう」
「魔神の頭脳はどうなるんだ?」
「封印されている魔神の元に戻って行っただろう」
「大丈夫なの?」
「そこは魔神に会わないとわからん、だか魔神教の枢機卿たちは人形の魔神の器を作り出しているだろうから戦況は変わってくるだろう」
「外の国とかヤバくない?」
「魔神はそう簡単に動かんだろう…3000年前にされた事を覚えていて学んでいるであればな」
「そっか」
ドサッ
「姉ちゃん!」
「イベリスさん!」
「解放された事で今まで溜めていた疲れがどっと出たんだろう」
「このまま二階にある部屋に寝かせておけば良い、運ぶぞ」
「わかった」
◇◇◇
「ルトラウスさん…姉ちゃんは」
「……残酷だぞ?」
「それでも聞きたい」
「そうか………持って五年だろう」
「!…もう…そこまで消費してたんですね」
「ここにいれば衣食住は面倒を見よう」
「良いんですか!」
「カルミアちゃんもひとりで生きていけるように鍛えてやる」
「マジですか!」
「あぁ」
「ならここで住ませてください!」
「もし色んな場所に行きたかったら護衛としてテスを貸すぞ?」
「ティルクスさん姉ちゃんが元気になったら色んな場所に連れていきたいので付いてきて貰っても良いですか!」
「うん、良いよ」
ガチャ…「ただいま~」とばあちゃんが帰ってきた。
「早かったな」
「一刀両断して氷を砕いてきた」
「それでドルクトスは平気そうか?」
「大丈夫だ、軍隊が私の一撃を見て引いていたがしばらく蘇れないようにキラキラ塩撒いたよ」
「そうか、魔神教もその様子を見ていただろうからしばらくは大人しくなるな」
「計画書作らなきゃ!」
「その様子だと成功したんだね」
「これから姉共々お世話になります!」
「その辺の話を聞きながら今日はもう休むか」
じいちゃんたちと話し合いしながらオレも村の日常に戻って行った。




