花畑に花摘とベリー摘みに行ったら
麓の村 シルトフォール
あの後シカナおばさん、カリーナ姉さん、テルム兄さん、マグナじいちゃん、アルーヴさんたちが居なくなってばあちゃんも「調子のったトカゲども懲らしめてくるわ」と何処かに行った。
じいちゃんはばあちゃんたちが居ないから今日は村を守るためにお泊まりだと言って、今さっき「ちょっくら〆くるわ」と言って出て行ったアルーヴさんと奥さんのイシェーラさんが経営している宿屋でお泊まりになった。
朝になって村のご老人たちと一緒に体操をしてから友人であるミストルと一緒に宿で朝ごはんを食べていると。
「なぁティルクス?」
「どうしたんだ?ミストル」
ミストルはおれと同じ年で男同士気が合うので良くつるんでいる…そもそも前回生まれてなかった、アルーヴさんは前回独身貫いていたはず何だけどね。
「母ちゃんに許可貰ったからピクニック行かね?」
「イシェーラさん良く許可くれたね」
「ティルクスとシルトの花畑にピクニックに行くっていったら許可をくれたんだ」
「村のすぐそばの花畑か」
「そこじゃないとまだ許可くれないよ」
シルトの花畑はドライアドのメリアンヌさんの所とは別に村の近くにある花畑で子供しか入れない薮の先に木苺等の果物もなっているので、ばあちゃんとかに持って帰ると喜ばれる。
男同士なのに花畑?って思うかも知れないけど子供が遊べる安全な場所は花畑しか無い…川なんてもってのほかで川なのにシーサーペントポイのとか生息してるから。
お前の魔法でなんとかなる?出来るけどそんな事したら川の主が死んじゃうからしないよ、水を清めてくれてる主様を傷つけるわけには行かないからね。
「おれはじいちゃんに許可貰ってくるよ」
「ぼくも一緒に行く!」
イシェーラさんがふたり分のお弁当を作って渡してくれた、ふたりでじいちゃんが居る村の集会所に向かった。
「じいちゃん」
「テスとミストルどうしたんだ?」
「シルトの花畑にピクニックに行きたい」
「花畑にか…うーん今は熊とか猪が村の近くに来ているからな…ミストルも着いていくとなると危ない気もするんだが…」
「母ちゃんが許可くれてんだ!」
「イシェーラが許可を出したのか」
「あと木苺が生ってる時期だから取って来てほしいって言われたんだ」
「木苺か…まぁ平気か昼ご飯までには帰って来るんだぞ?」
「うん!」
「これ持っていけ」
「なにそれ?」
「俺が作った魔除けのお守りだ…ミストルにもやろう」
「「ありがとう!」」
おれとミストルは村の外に出た。
「ふたりでお出掛けなんて最近出来なかったもんね」
「仕方ないよ魔物がうろうろしてるから、村の子供は今のところはぼくたちと赤ちゃんの妹しか居ないんだもん」
「心配になるんだろうね」
「ルトラウスさんのお守りキラキラしてて綺麗だよね」
「何だったかな…ミスリルっていう鉱石で出来てるって言ってたな」
「マグナじいちゃんがミスリルを腐るほど作ってもう使わねぇって放置したからその辺にゴロゴロ転がってるやつだね」
ミスリルは秘術によって作られる鉱石…ミスリルで作られたものは重要な物として国が管理していることが多い…村で使ってる金属は全てミスリル製品…前回の冒険は何だったのかな?
「ティルクスどうしたんだよ、ぼぉーとして」
「何でもないミストル行こ?」
「そうだね…蜂蜜の花あるかなぁ~」
「あれ美味しいよね」
雑談しながら花畑に着いたのだった。
「花畑が光ってるよ!」
「いつもよりキラキラ光ってるね」
「ティルクス」
「ミストルどうしたんだ?」
「見てこの花達宝石見たいだよ!」
「本当だ…この花が咲いてるから花畑が光ってるんだね…蜂蜜の花はないね」
「うん…その代わりこの花を摘んで行こうよ」
「そうだな…ばあちゃん喜ぶかな」
「ぼくも母ちゃんと妹のために摘んで行こ」
夢中になって花摘をしてから子供しか入れない薮の中に入って木苺を摘み取って居るとキレイな馬が現れた。
「何だあの馬…金ぴかの馬だ」
「魔物かな?」
「だとしたら大人しくしとこう…おれたちが仕出かさないとなにもしてこなそうだし」
「う…うん」
すると花畑におれでも見たことがないトカ…ドラゴンが現れてお互いに間合いを取り出してお互いに頭突きし始めた。
「…怖いかなぁーって思ってたけど父ちゃんたちがトカゲ狩りをするときより怖くないね」
「うん(ミストルもドラゴンをトカゲって言うんだね)」
シルトフォールで生まれ育った者たちはすでに毒されていた、普通はドラゴンやこの村付近に生息している熊と猪が山の外に出ると町ひとつ滅ぶ災害級の魔獣として国の軍隊かAランクかSランクの冒険者が緊急依頼として呼び出しをくらうレベルである。
「木苺とか取って時間をつぶそうか」
「母ちゃん喜ぶかな?」
「ミストル見てこれ」
「何かあったのティルクス」
そこにはキラキラと光る木苺がふたつだけ生っていた。
「何だろうねこの木苺」
「見たことないね…食べる?」
「悪い感じはしないけど…怖いね」
「ぼくたちに食べてって言ってるみたい」
「…鑑定スキルがあればな」
前回の時には見たこともなかった木苺が生えている…どうしようか。
「あれ?ドガーンとか音しなくなったね」
「ホントだ…いなくなったんじゃない?」
ミストルと一緒に後ろを向いたらおれたちが居る薮の方に大人しく鼻先を突っ込んでしっぽ振ってるドラゴンと金ぴか馬の姿があった。
「どうすんのトカゲと馬」
「そうか!この金色の木苺が欲しいんだ」
「人間が食べるとヤバいやつなのかな?」
「多分食べても平気だよ」
「ヨダレが凄い出てる」
「……食べさせる?」
「うん」
ミストルがトカ…もうトカゲでいいやに金色の木苺をあげておれが馬にあげた。
「ヒヒィーーーン!!」
「がぉおお!!」
「狂喜乱舞を踊ってるよ」
「嬉しそうだねぇ~」
「…良くみたら小さな魔物だったね」
「生まれて間もないのかも」
「帰ろうかじいちゃんたち待ってるし」
「うん!」
村に向かって歩き出してると後ろからパカポコパカポコとバサバサと後をつける音がする。
「ミストル走れる?」
「うん」
【【ブースト!】】
すたたたと肉体を強化してスピードを上げて走り出したが向こうもスピードを上げて来たみたい、でも追いつけてない。
「ティルクス!あと少しで村に着くよ」
「うん………見えた!」
「母ちゃんがでまちしてるぅ!」
「じいちゃんもでまちしてる!」
それぞれにミストルはイシェーラさんの所にぴったし止まって、おれはじいちゃん向かって飛び付いた。
「ずいぶん楽しんだみたいだな」
「「うん」」
「ルトラウス殿…ミストル達に着いてきたあの子馬とドラゴンはなんじゃ」
おれたちに着いてきた子馬とトカゲがぷるぷる震えている…。
「あれは……イダテンホースの子供と結晶ドラゴンの子供だな」
「何と!…伝説の魔獣の子供か!」
「神速のイダテン、幻影の結晶と呼ばれるSランクの魔物の血族か」
「そんなに凄いの?」
「あぁ…実物を見るのは千年振りだな…しかも子供か珍しい」
「ミストルとティルクスを見とるようじゃな…何かなつかれる事をしたのかえ?」
「うーんとねぇ…金色の木苺をあげたの」
「金色の木苺?」
「何だと!?」
「じいちゃん知ってるの?」
「それは【秘宝果実フレンドベリー】だ…その果実を食べさせるとどんな魔物ですらなつくと言われている果実だな」
とじいちゃんが衝撃的な事を発したのだった。