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元勇者の転生人生記録  作者: 冬こもり
【勇者卒業の章】
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報告会

【天の島 ミルキーウェルスト】


《ルミナレス邸本宅兼日天の宿屋》


「ルトラウスちゃんお久し振りね♪」

「すまん用事を思い出した」

「ちょっ失礼ね~…照れなくて良いのヨ」

「止めろ気色悪い」

「ラブナシカ殿来たんだ」

「えぇ来ちゃったわ…サニカちゃんたらもうラブちゃんって呼んでくれないのね。でも良いわ、あなた達が元気そうだから」

「そうか?…ふぅ」

「どんな理由であれ良いじゃないの」

「ラブナシカ殿の所は?」

「…城がほんの少し壊れただけね…あの子達親子が強かったから不安だったけど途中から弱くなったのよね」

「貸してた力を返して貰ったからね」

「えげつないことをするわね…でもそのお陰で押し返せたから良かったけどね」

「取られなかったのか」

「私のエンジェルちゃん達は強いわよ~」

「それで何しに来たんだ?」

「あなた達に報告しに来たのよ…魔神教の動きについてね」

「そうだった…すまんな」

「別に構いはしないわ、あなた達はあたしと一蓮托生なんだから♪」

「そうですね」


夜の蝶達が拝める主によって説明会が始まった。


「それじゃあ報告を始めるわね…コホン…地上ではヴァンちゃん達が居るから下手に動いてないわ、でも四大王国の一角が無くなった事によって燻り始めてるわ。

国と国との争いに対しては関わらないと決めてるからその辺は放置して良いかも…ルーミリアちゃんの作った宗教のお陰で今のところは小競り合いで済んでるし」

「ルーミリアが作った宗教は正式に認められてるもんな」

「えぇ、3代目の主神が推してくれたからね…だからこそ汚職とか蔓延らないものね」

「常に監視され何かやろうものなら神罰が落ちるからね」

「それで魔神教本部は?」

「場所を移した見たいね」

「そうか」

「でも直ぐに見つけられるけどね」

「禍々しい所を調べれば直ぐだもんな」

「えぇ」

「他に報告は?」

「エンシェントドラゴン達が動き始めたわよ」

「もしかして」

「堕ちた竜達の復活を阻止するためみたい」

「だとすると【至竜】が伝達したか」

「あの子達は常に動いていて忙しいものね、普通なら関わってこないけど【至竜アーリアシェスナ】は慈悲深いからね」

「魔神教が言っていた【堕竜】の復活に関しては始めようとしているのか」

「【堕竜】の封印の場所には私のエンジェルちゃん達の中でも精鋭達を派遣しておいたわ、だからあなた達は村の修復を始めなさい」

「そうさせてもらうか」

「カフェルネの兄と姪は平気そうか?」

「あの子達なら平気よ…久々にそこが知れない腹黒な子達だから」


ルトラウス、サニカ、ラブナシカは遠い目をした。


「そろそろ報告会はお開きにするか」

「そうね、あたしも戻らないと…忙しくなるかしら~」

「ラブナシカ殿も気を付けて」

「わかってるわよ」


夜の蝶達の主が帰っていた。


「出て来ていいぞ」

「地上荒れますね」

「恐ろしい方達だ」

「ティルクスのお母上についてわかったことお話してくれるのですよね?」

「あぁ」


ティルクスの祖父母達は【賢者モーリン】の異空間の研究の余波によって1000年前の【エンディハラン王国】に送られ、そこでは妖精に愛されし者としてティルクスの祖母サイネリアは数多の才能を開花させていた事で商会を始めてその時代に娘スイセットを産み育てながらあれよあれよと商会を発展させ大商人となった。

商会が狙われるとティルクスの母であるスイセットを安全な場所で育てるために稼いだ大金で田舎の土地を買い余生を過ごすことになる。

スイセットが16才の時に【エンディハラン王国】は内戦によって崩壊しサイネリアも病気にかかり亡くなりマリンティアも海泡となり自然に帰って行った。

飛ばされ悲しみに暮れることなくスイセットは商会を継ぎ数多の国で名の知れた商人となったがティルクスの父であるルフェールに嫁ぎ5人の後継者にそれぞれ店を託し商人として引退した。

その商会は今となっては無くなっている。


「コレが調べた内容を組み立てた感じだよ」

「【エンディハラン】って50年前の時にシルトフォールに攻めてきた国よね?あれ?矛盾が生まれてるわ」

「【オルシェリア】と【エンディハラン】の周囲だけが1000年前のまま時が止まっていたのだろう【時空移動】の弊害でな【エンディハラン】はある日に突然世界に現れたからな」

「ティルクスを包む水泡はティルクスの母スイセットがティルクスに普通の人間として暮らさせたくってかなりの心身の負荷が掛かった時に限り【妖精牢】を発動するように仕組んでいたみたいでね」

「それが発動したのね」

「以外とダメージを受けていたって事だろうからな」

「この村は意外にモラルないからそこまで気にすることないと思うがな」

「ふたりまとめて嫁にしたお前が言う?」


この村は意外に数多のカップルの形があるのを幼少の時から見ているためそこまで気にしていないのだった。


「ティルクスはいつ目覚める?」

「カフェルネか」

「復活早いな」

「あぁ…あの父娘は転んでもただじゃ起きないからな…それに我輩もオルセ殿のようにハーレム作りたい」

「欲望駄々漏れだなおい」

「ティルクスは起きたいと思ったら起きてくるだろ」

「それまでは村の修復やシルトフォレスト山の散策をすればいい、しばらく外には出るのはなるべく止めて欲しいが今まで通り過ごしていれば良いと思う」

「ルトラウスさんが今言った事を父に伝えてきます」

「…カルロはどうした?スノア」

「弟はトルヤと共に木を伐採しにどこかへ向かっていきました」

「…スノア」

「良いのですよルトラウスさん…次男ってこんなもんです…あの厨二野郎はカウントしてませんから」


そう言ってカリスの次男であるスノアは去っていった。


「スノア居たんだ…」

「アイツ影薄いよな」

「昔からかくれんぼするとアイツだけ見つけられないんだよな」

「スノアは儚系男子だから…」

「それじゃあ、あたしはこれからの事を見据えて調合とゴーレムを一から作り替えて見ようかしら」

「あたしも母さんが心配だから果樹園に行ってくるわね」

「それぞれいつもの日常に戻るか、ティルクスもそうしてた方が気が楽になるかも知れねぇからな」

「あたし達はヴァン先生の所に行ってお手伝いしてきましょう」

「魔物の素材も必要になりそうだからね」

「俺はカッパの所に行って浄化を早めろと急かしてくる」


それぞれに言いたいことを言って村の日常にもどって行った。



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