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元勇者の転生人生記録  作者: 冬こもり
【勇者卒業の章】
63/555

カッパ事件簿

「聞きたいことがあったんだ、ばあちゃんなら知ってると思って」

「何を聞きたいんだ?」

「カッパ様とテムル兄さんについて」


するとゴフッ!とハーシュさんとばあちゃんがお紅茶を吐いた。


「どこでそれを知ったの?」

「カッパ様本人にあって聞いたんだ」

「どこまで?」

「何気にハーシュさん聞いてくるね」

「カッパ様とテムルの件は数人しか知らない事実だからよ」

「ハーシュさんは知ってるんだ」

「えぇ…」

「話して良いと思う?ハーシュ…」

「うーん…人生に関わる出来事でしたからね…」


人生に関わる事だって…カッパ様よ本当に何を仕出かしたんだ…!


「テムルの報復は恐ろしいからねぇ「カッパに魔法をぶちこんで良いぞ!」ってルトラウスが許可を出したくらいだからね」

「余計に気になる…ばあちゃんとハーシュさんはどうしてカッパ事件の事を知ったの?」

「私は村に居ないときは水晶使って村を眺めていてね…最後の方はカッパを説教しにシルト湖の現場に行ったから最後まで知ってるよ」

「私はティアの所で星占いをして貰っている時に…ね」

「カッパに会ったのならば…あれがバレるわ」

「えっ」

「この事は墓まで持っていくんだよ?ティルクス」

「えっ」


◇◇◇


~約500年前のシルトフォール村~


マーメイド鮮魚店


「テムル遠くに行っちゃ駄目よ?」

「わかってるよ」

「ティ~…」

「テフィーどうしたの?」

「フィ~もいくぅ~…」

「テフィーはまだちっちゃいからダメ」

「ぶぅ~…」

「テフィアはあたしのお手伝いして欲しいなー」

「うぅ…わかった…ティ~もみあげよろしー…」

「もみあげじゃなくお土産なテフィー」

「あい~」

「母さん、テフィー行ってくる」

「行ってらっしゃい」

「しゃい!」


◇◇◇


コンコン


「テムルどうしたんだ?」

「ルトラウス爺、シルト湖に行ってくる」

「カッパに気を付けるんだぞ?」

「はーい」

「ほら、サニカが使っていた釣竿だ」

「ありがと!これよく釣れるんだ」

「弁当は持ってるか?」

「うん」

「そうか…気をつけてな」


◇◇◇


約500年前のシルト湖


「今日こそ主を釣るぞ!」


チャポンと浮きを浮かべのんびりと過ごし始めたテムル。


「よう、小僧また来たんか」

「カッパかよ」

「カッパかよとはなんや、ワイここの主やで?」

「ここに住む【エルダーフィッシュ】釣るために頑張ってるから邪魔しないでよ」

「テムル…ワイと勝負せーや」

「嫌だよ、カッパ相撲でしょ」

「違うで、どちらが魚を釣れるか勝負や」

「勝者には何をして敗者は何を失うんだ?」

「テムルが勝ったらワイの財宝をくれてやるテムルが負けたらテ…うっ!なんか寒気が!」

「急にどうしたんだよ」

「…テムルが負けたらお前の将来の嫁さんを貰うわ」

「絶対に嫌だ」

「ワイの財宝やで!」

「ルトラウス爺に殺されるよ」

「ルトラウスに半殺しにされても例えテムルが拒否してもヤってやるんや!秘技【カッパの嫁取り】発動や!」


辺り一面に珍しい魔法陣が広がり光を放ち…そして終息した。


「なっ!この腐れカッパ!やりやがったな!」

「テムルに勝ってやるわ!ふははは!」

「くっそう!呑気に釣りしてる暇はなくなったぞ!こうなったら…でも嫌だな…でもそんな事…ええいやってやる!」


テムルは服を脱ぎ始め下着の姿になった。


「準備運動しないとだな」

「そんな事をやる暇あるのかいな!」

「腐れカッパ後で覚えてろよ?」


準備運動が終わりテムルはシルト湖に入っていった…するとそこにはとても愛らしい人魚が現れたのでした。


◇◇◇


「ちょい待てばあちゃん!」

「どうしたんだ?

「テムル兄さんが!」

「テムルはその事を隠してるからね」

「私も初めて見たとき私も驚いたわ…超可愛かったわ…一部の人しか知らない事なのよね」

「マジでか!だから内緒の話なのか」

「テムルは水中に入ると…女性の人魚になるんだ」

「…でも男の人魚も居るよね?」

「…テムルの種族は特例中の特例でね【マーメイドプリンセス】と言う数百に一度生まれるかわからないと言われる珍しい人魚なんだ…それを持って生まれたんだ」

「テムルのコンプレックスだからねぇ~…」

「…そう言えばテムル兄さんが温泉に入ったの見たことないな」

「この村の噂である日突然現れる美女の話があるけど」

「雨が降ると人魚になっちゃうね」

「テムル兄さんが気の毒に思えるよ…」

「生まれもった性質は変えられないから」

「どうしてテムル兄さんが結婚したがらないかわかった気がする」

「結婚したら全て見せることになるからよねぇ」

「でも納得したよ」

「さてと続きを話すよ」

「うん」


◇◇◇


「なんちゅう可愛子ちゃんや!」

「絶対に負けないから」

「ワイの方が一歩リードしとるで!」

「人魚は世界一泳ぐのが上手いと言われてるからなめないでよ」

「勝負や!」


~三時間後~


「ワイの方が一匹多いで!ワイの勝ちや!」

「それはどうかな?この腐れカッパ」

「随分生意気な小娘?や!」

「地上だと男だわ!」

「どうしたらワイの勝ちを認めるんや」

「地上に残してある釣竿に掛かってる魚も釣り上げられれば俺の勝ちだ」

「はっ!そう言えば釣竿があったんや!…邪魔してやるわい!」


ザブンと欲望まみれの腐れカッパは水中に入っていった。


「この竿はサニカ婆の特製釣竿なのにな…」

「テムル!」

「サニカ婆…どうしたの?」

「見ていられないから来たんだ…カッパのやったことをルトラウスが怒ってたよ、テムル引き上げられるか?」

「……ひとりでもやって見せる!」


テムルが魚と勝負している時突然カッパが水中から飛び上がり「この釣竿は一体なんなんや!糸を触ったら痺れるぞ!」と叫びながらチャポンと水中に落ちていった。

そして数分後にはプカプカと緑色の生物が浮かんでいた。


「あと少しなのに!」

「この様子だと【エルダーフィッシュ】の中でも大物だね」

「うぅ…腕が持っていかれそう!」

「テムル私が手伝うのは嫌か?」

「ひとりで釣りたいけど…無理そうだから助けて!」

「わかった、この私も手伝うから釣り上げるよ」

「うん」


サニカはテムルを包みそして釣竿を掴み足に力を入れ一気に引っ張り上げ水中からとても大きく綺麗な魚が宙に飛んで居た…ついでにカッパもその勢いで地上にゴトッと飛ばされていた。

そして勢いよく飛び出した【エルダーフィッシュ】をシルト湖の回りに生える木に叩きつけ失神させた。


「サニカ婆!」

「テムルよく頑張ったね、あれは【エルダーフィッシュ】の中でも数万分の1で生まれてくる希少種だね、この勝負テムルの勝利だ…そこのクソカッパ覚悟は良いんだろうな?」

「ななななっサニカさん怖いことしんといてーな!話し合おうや!」

「逃げようとするなんて…サイテーだな腐れカッパ」

「問答無用!【電撃びりびり】!」

「ぎゃーっ!」


サニカはビリビリと緑色の生物に向かって静電気を放ちお仕置きをした「二度とこんなことするなよ?」と釘を刺して。


「へい…しばらく湖の浄化に集中するわ…」


そしてテムルにボコボコされた正座をしていたカッパがシルト湖に帰っていったのだった。


「さてと帰ろうかね」

「うん…どうやって持ち帰ろう…」

「アイテムボックスがあるじゃないか」

「…おれ苦手何だよな…」

「今回は私のアイテムボックスにしまって帰るか」

「うん」


そして村に帰っていったとさ。


◇◇◇


「……いろいろ濃い経験だね」

「その日は盛り上がったのよ?ティルクスちゃん」

「そうなのか?」

「シルト湖の【エルダーフィッシュ希少種】が釣れたのは数百年ぶりだったからね」

「へぇ…カッパ様をボコボコにして終わったの今でもやってるよね?」

「その出来事の後でテムルが好きだった村の子がいてその子は珍獣が好きでね…」

「その後はオレでもわかるよ、その子がカッパ様の元に押し掛けたのか…あっ…そう言えばカッパ様が護衛役って言ってたのがそうなのか?」

「カッパは認めてないのね伴侶として…人間がそもそも水の中だと住めないから姿を無理に変えてカッパの元に向かったのに」

「テムル兄さんはそこが気に入らないんだ」

「ティルクスも知ったからには生暖かい眼で見守ってやってくれ」


オレは「うん…」 としか返事が出来なかった…D◯を貫いちゃってんだな…時々凄い表情でオルセ兄さん見てるときあるもんな…テムル兄さんドンマイ。



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