そしてオルシェルアは染まってしまった
「コレが事の顛末よ」
「……肉体を分解してそのままふたりの肉体を要らないものを切り捨て必要な物だけを混合して再構築か」
『ピプルクルセルの今の肉体はティルクスの両親の肉体を元に再構築したものか…』
「ティルクスちゃんアタシをママって呼んで良いわよ」
「絶対に断る」
父さん、母さん…あなたたちは本当に自分勝手な人たちだな…それでも1度だけでも会って話をしてみたかったよ。
「さてとルフェールちゃんとスイセットちゃんとの約束を果たさないとね」
「オルシェルアを畳むにしろどうする気だい?」
「オルシェルアの子たちを今のままだと外に出すわけには行かないから…アタシが教えを唱えようと思うの」
「オルシェルアがオカマの巣窟になっちゃうよ」
「アタイは二度と近付かなくなるだろうか」
【少し位は気にかけなさいよ】
『教典はどうせ桃色教典でしょ?』
【あら~アタシを信仰してくれるのね~嬉しいわ~!】
「悪魔がオカマ神を信仰するだと…!」
「別に良いじゃない桃色教典で、今のアタシは悪魔王ピプルクルセルじゃないわ!アタシは愛の使徒キトリエスよ!オルシェルア…いいえオルシェルアは無くなるから新生王国【ピンクバタフライ】として生まれ変わるのよ!」
「蝶か…蛾の間違いじゃないか?」
「もう!ランディちゃんはどうしてアタシに毒を吐くのよ!」
【それはね…あなたの見た目が好みだからよ】
『そして中身が残念なのが気に食わないだろうね』
「これだからペドは…」
…確かに美丈夫な父と美人な母の肉体を混ぜたえげつないほどの綺麗系なのがオカマ口調で喋ってるし…オレとしては複雑な感情が…
【ランディちゃんの浮気者っ!セティエちゃん一筋何じゃないの!】
「気色悪いこと言うな!オカマ神とルノカ!」
「気にしたら負けなんだろうな…」
『ティルクスが悟りを開きかけてる…』
「サニカちゃん何しに行く気なのかしら?」
「帝国主義者をちょっと」
【それなら安心してちょうだいな】
『嫌な予感がするよ』
【もう!ルノカったらアタシに対してキツいことばっかり言うんだから!】
『君の胸に聞いてみなよ、どうしてボクが君に対してキツいことを言うのかをね』
【…まぁ良いわ】
なんかはぐらかされたような気がする。
【吹き飛ばされた帝国主義者達は皆【地底の奈落】にスポンっスポーンってホールインワンしてたから安心なんじゃないかしら?】
「本当にかい?ラブナシカ殿」
【信じてくれても良いじゃないの】
『君は時々自分の欲望のために動くからね』
【でもアタシは1度もヘマしたことは無いわよ?】
『こちらとしてはハラハラするときが有るんだよ』
【心配性なんだから…】
「オルシェルアの事はアタシに任せなさい、きっといい国にして見せるわ!無理矢理はさせないから安心して」
『ヤバイ国の誕生を見ているみたいだ』
「ティルクスはどうしたい?」
「オレは父親が望んだ通りに自由に生きていくよ、オルシェルアを背負う覚悟は持てないからな」
「アタイは帰らせてもらうよ」
【あなたは1度アタシの所に来て大乱闘した帝国主義者の様子をアタシと共に見に行くわよ】
「嫌だー!オカマの巣窟に行きたくない!」
「アタシも同行するわ!」
ランディさんは逃げたがピンクの光がカッ!とランディさんを照らし拐っていった。
「それじゃお開きにしましょ…ティルクスちゃん…オルシェルアはアタシが全うな国に戻すから安心してね」
「悪魔が全うな国作る宣言したよ」
「…悪魔と言ってもね悪いやつらばかりじゃないのよ?イタズラ好きなのが多いの」
『またバカをしたら今度こそこの世から消すから』
「あの頃は若気の至りよ…魔神カストルファが復活してもアタシはもうバカをしないわ、ふたりから貰った体を大事にするわ」
「そうかい…それじゃ私たちも戻るとするか」
「…あぁ」
◇◇◇
「ばあちゃん聞きたいことがあるんだが」
「何を聞きたいんだい?」
「オレの母親は海泡の妖精のハーフって言ってたけどオレにその特徴出てないよな?」
「異種族のハーフが出ること自体が珍しいんだよ…ミストルとシェリナが良い例だ、アルーヴの母親は人間なのにハーフでなく吸血鬼としてアルーヴは生まれただろう?異種族の結婚だと片親の特徴が出ることが多いんだよ、だからハーフは少ないんだ」
「へぇ」
「ハーフの子と人間が結婚すると人間の特徴の方が出やすいんだ、逆にハーフの子と異種族の子だとハーフである親の種族と異種の片親の特徴と7通りの子供が生まれてくるんだ」
ばあちゃんの話を詳しく話すとハーフエルフの男性とドライアドの女性との子供の場合はエルフ、人間、ドライアド、ハーフエルフ、ハーフドライアド、エルフとドライアドのハーフ、人間とエルフとドライアドの混血の子供となるらしい。
先祖返りの場合も突然人間同士の夫婦の所に異種族の特徴を持って生まれるらしい、だからこそ貴族や王族達は結婚するときその人の先祖を徹底的に【返り血の探求】と言う魔法を使い調べるらしい。
「オレには出なかったって事なんだな」
「海泡の妖精か…ティルクスをルトラウスと一緒に調べたけど異種族の血は引いてないと出たんだけどねぇ…」
「そうなの?」
『だからこそティルクスが小さい時はボクが常に一緒にいたでしょ?』
「必ず側にルノカは居たな」
「ティルクスの出生を知る本人たちは居ないからね、調べようにも調べられない」
『ティルクスはティルクスだし気にしたら負けだよ』
ルノカの発言を最後に一件落着として無理矢理オルシェルアの出来事を終わらせた一行であった。
◇◇◇
この出来事から数年後突如現れたピンクだらけの王国を数多の国々は怯えヤバいとビビっていたが実際はそんな事なくティルクスとサニカとルノカはほっとするのであった。
そして【新生オルシェルアピンク王国】の王であるキトリエス(ピプルクルセル)は常にフリフリの衣装を着させた元帝国主義者を側に侍らせ目が死んでいるのを確認するとティルクスたちは「あっ…水晶で見た宣言通りにオモチャになったのね」と謎の言葉を残すのであった。